第983回 例年以上にリーグ戦開幕が待ち遠しいシーズンオフ
■リーグ開幕とその前に行われる公式戦
これまでの本連載で紹介したとおり、今年のフランスサッカーのシーズンオフは、国際大会への出場もなければ、ワールドカップ予選もなく、ファンにとっては移籍市場が最大の関心事となった。6月末から7月初めにかけて各チームはバカンスを終え、チームが始動したのである。
2009-10シーズンのフランスリーグの日程と開幕前のイベントを確認しよう。8月8日の土曜日に1部リーグは開幕し、その前日の7日に2部リーグが開幕する。
シーズン開幕前には前年度のリーグチャンピオンとフランスカップの勝者によるチャンピオンズトロフィーが行われるが、今年はこのタイトルはカナダのモントリオールで行われる。
リーグ戦よりも早く開幕するのがリーグカップであり、8月1日に1回戦を戦うが、この1回戦に出場するのは、3部に相当するナショナルリーグの5チームと2部の5チームだけであり、1部のチームはまだ登場しない。
また、これまではUEFAカップの予選に当たるインタートトカップがリーグ開幕前に行われていたが、これまでの連載で紹介したとおり、今季から欧州カップはチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグに再編成されるため、インタートトカップそのものはなくなってしまう。そのかわりに、昨季リーグ5位でヨーロッパリーグに参戦するリールが7月30日と8月6日に試合を行う。
■アンダルシアで開催されるピースカップに参加するリヨン
公式戦以外でもこの時期には様々な大会が行われる。シーズン前の試合をある程度の観客の前で行うことは、チームの調整という点では意味のあることであり、チームの営業という点でも重要なことである。今年はリヨンとパリサンジェルマンが招待を受けている。
リヨンはスペインのアンダルシアで行われるピースカップに招待されている。このピースカップは2003年から奇数年に行われている大会で、これまでは韓国で行われてきたが、今年はアンダルシアに舞台を移し、スペインのレアル・マドリッド、セビリア、イタリアのユベントス、イングランドのアストンビラ、韓国の城南一和天馬、エクアドルのリガ・デ・キトーなどが出場し、リヨンはトルコのベスキタス、ポルトガルのポルトとグループリーグで対戦する。
■ロンドンのエミレーツカップに出場するパリサンジェルマン
またパリサンジェルマンはロンドンで開催されるエミレーツカップに参加する。この大会はエミレーツ航空がスポンサーとなっているイングランドのアーセナルがホストとなって行われ、2007年に始まり、今年が3回目の開催となる。2007年の出場チームはアーセナルに加え、パリサンジェルマン、インテルミラノ(イタリア)、バレンシア(スペイン)、2008年の出場チームはアーセナル、レアル・マドリッド、ユベントス、ハンブルガーSV(ドイツ)と豪華なチームがシーズン前の土日にアーセナルの本拠地であるエミレーツ競技場で戦ってきた。
今年はグラスゴー・レンジャース(スコットランド)、アトレチコ・マドリッド(スペイン)、パリサンジェルマン、アーセナルが8月1日と2日に試合を行う。エミレーツ航空はアーセナルだけではなくパリサンジェルマンのスポンサーでもあることからパリサンジェルマンは2回目の参戦となったが、エミレーツカップではパリサンジェルマンとアーセナルが戦うことはなく、エミレーツ航空のスポンサーシップを受けたアーセナルとパリサンジェルマンが、グラスゴー・レンジャースとアトレチコ・マドリッドを迎え撃つことになる。
■リーグ開幕前に国内では開催されなくなったトーナメント
2年前の2007年の夏に執筆した第738回の本連載でも、シーズン前の状況を紹介したが、国外での大会に参戦するのはリヨンとパリサンジェルマンだけであり、しかもいずれも同じ大会である。フランス国内では、かつてはパリサンジェルマンなどがこのようなトーナメントを開催してきたが、そのような力を失ってしまったことは残念である。
公式戦だけでなく、それ以外のシーズン前のトーナメントを含めても、国内で1部リーグのチームが試合を行うのは、リールが出場するヨーロッパリーグのホームゲーム1試合だけである。例年以上にフランスのサッカーファンにとってはリーグ戦開幕の待ち遠しい夏となったのである。(この項、終わり)