第990回 国外の大会で惨敗したリヨンとパリサンジェルマン

■スペインで開催され、出場チーム数が増えたピースカップ

 前回と前々回の本連載ではサッカーのシーズン到来を告げるチャンピオンズトロフィーについて紹介した。第883回の本連載で紹介したとおり、各クラブはシーズン前に親善試合で準備を進めるが、その中で国際的な大会に出場するのは、ピースカップに出場するリヨンと、エミレーツカップに出場するパリサンジェルマンである。
 ピースカップについては2003年に始まり、奇数年に開催されており、今回で4回目の開催である。今大会の舞台はスペインのアンダルシア、12チームが参加する大規模な国際大会である。これまでの3回は韓国で開催され、出場チームは8であったが、欧州で行われる今回は12チームがアンダルシアに集結した。韓国以外の国で開催され、さらに出場チームも拡大し、いよいよこの大会が軌道に乗ってきたことを示している。出場チームは地元スペインからセビリア、レアル・マドリッド、マラガ、その他の欧州からイタリアのユベントス、イングランドのアストンビラ、ポルトガルのポルト、トルコのベシクタシュ、そしてフランスのリヨンである。欧州以外からは韓国の城南一和天馬、サウジアラビアのアルイテハド、メキシコのアトランタ、エクアドルのリガ・デ・キトーという顔ぶれである。リヨン、ポルト、ベシクタシュの3チームがグループDとなり、首位チームが準決勝に進出する。

■4回目の出場で初めてグループリーグで姿を消したリヨン

 これまで3回出場し、優勝1回、準優勝2回という抜群の成績を誇るリヨンであるが、初めてリーグチャンピオン以外のステータスで参加となる。また、初優勝した2007年大会のヒーローであるカリム・ベンゼマがレアル・マドリッドに移籍してしまい、戦力ダウンは否めない。
 リヨンは7月25日にベシクタシュと第1戦を戦う。ポルトガル国境に近い大西洋岸の港町ウエルバで行われた。ほぼ同時刻に大西洋の西側ではボルドーとギャンガンがチャンピオンズトロフィーをかけてモントリオールで戦っている。リヨンはこの1週間前にランスと親善試合を行い2-2と引き分けている。リーグ開幕を前に国外とのチームと戦って調子をさらに上げたいところである。まばらな観衆の前で試合はキックオフされた。前半、リヨンはテンポよく試合を進めるが、無得点に終わり、後半を迎える。後半に入って65分にキム・カールストロームが先制点をあげるが、残り5分となったところでCKから失点し、初戦は 1-1のドローとなったのである。
 リヨンの第2戦は中1日あけた27日にポルトと対戦する。ポルトは7月18日にモナコと親善試合で戦い、3-0と一蹴している。準決勝進出のためには勝利が必要なリヨンであったが、前半立ち上がりの9分、そして後半の75分、ポルトのブラジル人選手にゴールを連取され、0-2で敗れてしまう。4大会連続出場のリヨンは初めてグループリーグで敗退してしまったのである。

■変則的な大会形式のエミレーツカップ

 そしてエミレーツカップに出場したパリサンジェルマンも苦戦した。2007年から始まって今回が3回目となるが、パリサンジェルマンは第1回の2007年についで2回目の出場である。このエミレーツカップは4チームが出場し、2日間で行われる。初日に2試合行い、2 日目に勝者同士の決勝戦、敗者同士の3位決定戦というのが、通常のケースであるが、このエミレーツカップは変則的なリーグ戦であり、あらかじめ組み合わせが決まっており、2試合の通算成績(勝ち点と得点の合計)で順位を決定する。不完全なリーグ戦という点では日本の大相撲と似ているが、シーズン前の強化という点ではあらかじめ対戦相手がわかっているほうが好ましいであろう。

■1分1敗で最下位に終わったパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンは初日の8月1日にグラスゴー・レンジャース(スコットランド)と対戦する。ピースカップとは大違いで5万人の大観衆が集まった中での試合となる。しかし、76分にフランス生まれのアルジェリア代表であるマジッド・ブゲラに決勝点を奪われ、ポイント0に終わる。翌日はアトレチコ・マドリッド(スペイン)と対戦したが、メンバーをがらりと入れ替える。この試合も41分にPKで先行されるという苦しい展開となる。ようやく終盤の76分にルドビック・ジュリーのゴールで1-1の引き分けに持ち込むのが精一杯であった。
 結局、アトレチコ・マドリッド戦の勝ち点1と得点1を加えた2ポイントにとどまり、参加4チームの中で最下位に終わってしまったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ