第995回 真夏のワールドカップ予選(1) 8月の予選に臨む22人のフランス代表
■8月に行われるワールドカップ予選
8月8日にフランスリーグは開幕、長いサッカーシーズンが始まった。そしてシーズン開幕直後の8月12日にはフランス代表の試合がある。これまで8月にフランス代表が国際試合を行うのは恒例となっており、ファンにとっては楽しみとなっていた。しかし、これはバカンスを終えた新チームが秋から本格化するシーズンを迎えるために準備をする親善試合であった。バカンス中のファンは8月の親善試合をバカンス気分で観戦し、9月初めに行われるワールドカップや欧州選手権の予選は真剣に応援すると言うスタイルが定着していた。ところが今年は8月にいきなりワールドカップ予選が組まれたのである。
■3大会連続で同じグループになったフェロー諸島
このワールドカップ予選の相手はフェロー諸島であるが、アウエーでの戦いとなる。もちろん、現在の世界ランキングで9位のフランスと163位のフェロー諸島との自力の差は明白であり、今予選もこれまでのフェロー諸島の戦績は1分4敗であり、最下位である。
フランスは、フェロー諸島とは最近の予選では縁があり、2006年のワールドカップ予選、2008年の欧州選手権予選でも同じグループに入っており、これで3大会連続の予選での対決となる。そしてこれまでの成績を振り返ると、フランスは4戦4勝、16得点で無失点である。アウエーでの対戦も初顔合わせとなった2004年9月は2-0、2007年10月は天候の関係で直前に現地入りするという悪条件にも関わらず6-0とまったく相手を寄せ付けないスコアであった。
■キャリアの浅い選手が多いメンバー構成
このような過去の戦績から、今回のフェロー諸島戦は例年通りの夏の親善試合の延長線であり、多少力の落ちる相手との親善試合、と軽く考えることもできるであろう。そしてここで準備を兼ねた試合を1試合こなし、9月初旬のルーマニア、セルビアとの連戦に備えるという位置づけである。
したがって、大胆なメンバーの選出があるのではないかと、メンバー選出に注目が集まった。フランスリーグがまだ開幕していない8月3日にレイモン・ドメネク監督は22人のリストを発表した。
GKはスティーブ・マンダンダ、ウーゴ・ロリス、セドリック・カラッソの3人である。マンダンダがようやく代表出場試合数を2桁にしたところで、キャリアの浅いメンバーばかりである。DFはウィリアム・ギャラス、エリック・アビダル、ジュリアン・エスクーデ、パトリス・エブラ、ロッド・ファンニ、バカリ・サーニャ、セバスチャン・スキラッチの7人である。この中で代表歴が20試合以上あるのはギャラス(72試合)、アビダル(42試合)、エブラ(20試合)の3人だけである。
守備的MFはアルー・ディアラ、ラッサナ・ディアラ、ジェレミー・トゥーララン、ムッサ・シソッコの4人である。パトリック・ビエイラの名前が消えて、シソッコが初めて代表入りした。攻撃的MFはヨアン・グルクフ、フローラン・マルーダ、フランク・リベリーの3人、所属チームのバイエルン・ミュンヘンではまだ試合に出場していない体調不十分のリベリーをメンバー入りさせたことは注目である。
攻撃陣はニコラ・アネルカ、カリム・ベンゼマ、アンドレ・ピエール・ギニャック、ティエリー・アンリ、ロイック・レミの5人である。
■唯一の初の代表選出となったムッサ・シソッコ
この中で唯一の代表初選出であるシソッコは19歳でトゥールーズの選手である。シソッコはイタリアのユベントスで活躍するモハメド・シソッコの弟である。イングランドのトットナムが関心を示していると言われており、国内のクラブに所属しているうちにその将来性を確認しておきたい選手である。名門復活の名にふさわしいトゥールーズは、2009年になってからギニャック、カラッソ(今季ボルドーに移籍)、そして今回のシソッコと3人を代表入りさせており、今季はヨーロッパリーグにプレーオフから参戦する。
フランス代表のメンバーはこの5年間で3回目となるフェロー諸島のトースハウンでの試合に臨んだのである。(続く)