第1006回 最後の山場、9月の連戦(7) セルビアとドロー、プレーオフ出場が濃厚に
■オウンゴールのジュリアン・エスクーデをはずした布陣
フランスにとってワールドカップ予選最後のアウエーゲームとなったセルビア戦、これまで3戦して3敗と言う相性の悪いベオグラードのマラカナが戦いの舞台である。この試合でセルビアが勝利すれば、ワールドカップ行きが決まるとあってスタンドには4万人のファンが訪れた。
フランスの先発メンバーはGKウーゴ・ロリス、DFは右サイドはバカリ・サーニャ、左サイドはパトリス・エブラ、中央にはウィリアム・ギャラスとエリック・アビダル、守備的MFは右にラッサナ・ディアラ、左にジェレミー・トゥーララン、攻撃的MFは中央にヨアン・グルクフ、右にニコラ・アネルカ、左にティエリー・アンリ、そして1トップにアンドレ・ピエール・ギニャックである。9月5日のルーマニア戦と入れ替えたのはストッパーのジュリアン・エスクーデに代えてアビダルを起用しただけである。
■ベンチ入り選手に大きな変更
そして、先発メンバー以外のベンチ入り選手は大幅な入れ替えがあった。今予選では18人の選手がベンチ入りすることになるが、ルーマニア戦では、途中から試合に出場したカリム・ベンゼマ、フランク・リベリーを含む、スティーブ・マンダンダ、エリック・アビダル、ロッド・ファンニ、アルー・ディアラ、ロイック・レミの7人がベンチでキックオフを迎えた。セルビア戦ではマンダンダ、ベンゼマ、リベリー、セバスチャン・スキラッチ、ガエル・クリシー、アルー・ディアラ、フローラン・マルーダの7人がベンチに入った。ルーマニア戦で痛恨のオウンゴールを記録したエスクーデはベンチ入りからも外れたほか、ファンニとレミがベンチ入りから外れる。そしてルーマニア戦ではスタンドから観戦したマルーダ、クリシー、スキラッチがベンチ入りした。
この中でマルーダは8月12日のフェロー諸島戦でまずまずの動きをしていただけに、ルーマニア戦でベンチからも外れたことに疑問の声が上がっていた。マルーダなき攻撃陣は攻め続けたが、1得点しかあげることができず、マルーダ待望論が持ち上がった。
また、ルーマニア戦はエスクーデのオウンゴールによって追いつかれたが、エスクーデのボールコントロールだけではなく、このエスクーデがコントロールミスしたボールをキャッチできなかったロリスにも厳しい意見があった。ロリスはルーマニア戦が代表4試合目、ホームとはいえ、スタッド・ド・フランスでの試合はデビュー戦となった昨年11月のウルグアイ戦以来2試合目のことであり、特有の雰囲気に飲まれたのではないかという見方もあった。ドメネク監督はロリスを起用し、6月のトルコ戦から4試合連続の出場となった。
■ウーゴ・ロリス、開始早々にレッドカードで退場
首位突破に向けてわずかな望みにかけるフランスだったが、実に厳しい立ち上がりとなった。開始からセルビアの攻撃陣がロリスの守るフランスゴールを襲う。ロリスは5分にはきわどいシュートを防いだが、9分のことであった。新たなストッパーのコンビのギャラスとアビダルが、ニコラ・ジギッチに抜かれてしまう。ロリスがジギッチを倒してしまい、イタリア人の主審はロリスにレッドカードを突きつける。ここでフランスはマンダンダを投入し、1トップのジニャックをベンチに下げる。久しぶりの出場となったマンダンダであるがPKをとめることはできず、フランスは1点を先行され、残り80分を10人で戦うことになった。
■ティエリー・アンリの代表通算50点目でドローに持ち込む
ここで意気消沈しないのがこの試合のフランスであった。フランスは守勢であったが、31分にアネルカのシュートをセルビアのGKがこぼし、それをアンリが得点に結びつける。アンリにとって代表113試合目で通算50得点となる記念のゴールでフランスは追いつく。その後もフランスはセルビアの攻撃をかわし、1-1のドローに持ち込んだ。難敵に対し、勝つことができず、セルビアとの勝ち点差4をつめることはできなかった。
フランスを追うオーストリアはルーマニアと引き分け、残り2試合の段階で首位セルビア(勝ち点19)、2位フランス(15)、3位オーストリア(11)となった。
この結果、セルビアは次のルーマニア戦で勝利すれば、首位が確定する。フランスも次のフェロー諸島戦で勝利すればプレーオフ進出が決定する。フランスはプレーオフ出場となる可能性が高く、熱い11月を迎えることになるであろう。(この項、終わり)