第1016回 最終章を迎えたグループ7(5) オーストリアに快勝、プレーオフへ弾み

■欧州で2番目の観客動員を誇るフランス

 フランスが、10月10日のフェロー諸島戦で勝利し、同日にセルビアがルーマニアに勝利したことから、グループ7はセルビアの首位、フランスの2位が決定した。フランスは11月に行われるプレーオフへ南アフリカ行きを託すことになった。
 10月14日にはグループ7の最終戦が行われた。相手はオーストリア、試合会場はフランス代表の本拠地であるスタッド・ド・フランスである。すでに順位が決定しているとはいえ、本拠地の試合であり、相手はこの予選の開幕戦で敗戦を喫したオーストリアである。
 スタッド・ド・フランスには78,098人の観衆が集まった。4月1日のリトアニア戦(79,543人)、9月5日のルーマニア戦(78,209人)にはわずかに及ばないが、昨年9月10日のセルビア戦(53,027人)を大きく上回る観客動員である。フランスはスタッド・ド・フランスで開催された4試合で29万人近い観衆を集めたことになる。代表チームの人気低下は全世界的な傾向であるが、フランスはその位置を保ち、欧州の代表チームではイングランドに次ぐ観客動員力を誇っている。

■フェロー諸島戦と9人を入れ替えた先発メンバー

 プレーオフと言う新たな戦いを迎えるフランスにとって、このオーストリア戦が最後の調整試合である。フランス代表のメンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右サイドはロッド・ファンニ、左サイドはガエル・クリシー、中央にはセバスチャン・スキラッチとジュリアン・エスクーデ、守備的MFは右にムッサ・シソッコ、左にアルー・ディアラ、攻撃的MFは右サイドにシドニー・ゴブー、左サイドにフローラン・マルーダ、そして2トップは、ゴールに近い位置にカリム・ベンゼマ、下がった位置にティエリー・アンリという布陣である。
 10日のフェロー諸島戦と比較すると、11人中9人が入れ替わっている。特に中盤より下のメンバーは全員入れ替わり、フェロー諸島戦で途中から出場して代表デビューを果たしたシソッコは初先発となった。一方、攻撃陣についてはフェロー諸島戦で2トップを務めたニコラ・アネルカとピエール・アンドレ・ジニャックがメンバーから外れ、マルーダとベンゼマが入り、フォーメーションも変わった。フェロー諸島戦でようやく爆発した攻撃陣であるが、その真価を見極めたいと言うのが、レイモン・ドメネク監督の狙いであろう。

■序盤目だったGKウーゴ・ロリスの活躍

 今回の予選の開幕戦で1-3と苦汁を飲んだ相手に地元で勝利し、11月のプレーオフを迎えたいフランスであるが、立ち上がりからピンチを迎える。しかしながらオーストリアの得点機をロリスの活躍で阻む。夏以降、正GKとして起用されているロリスであるが、9月9日のセルビア戦で退場処分を受け、フェロー諸島戦には出場できなかった。ポジションを奪われる危険性もあったが、この最終戦では復帰、そして開始早々活躍した。しかし、ファンの期待しているのはロリスのファインセーブではない。フェロー諸島戦でようやく爆発した攻撃陣の活躍であり、昨年のアウエーでの試合で敗れているオーストリアへのリベンジである。

■次々と活躍した攻撃陣、プレーオフへ高まる期待

 18分、フランスは初めてのチャンスを迎えた。CKを起点とする攻撃でマルーダがクロスを入れ、ベンゼマがヘッディングで先制点、攻撃陣のうちフェロー諸島戦と入れ替わった2人がゴールを演出した。26分には攻めあがったファンニがペナルティエリアの中で倒される。主審はペナルティスポットを指差す。このPKを蹴るのは主将のアンリである。アンリは慎重に決めて代表通算ゴールを51とする。
 後半に入り、開始早々の48分にオーストリアは反撃し、1点を返す。フランスはアンリに代えてジニャックを投入する。このジニャックが66分にすばらしい個人技からゴールを決める。マルーダ、ベンゼマの活躍だけではなく、プレーオフに向けてダビッド・トレゼゲの復帰もささやかれている中で、見事にゴールを決めて攻撃陣の中で主役であることを照明するかのようなゴールであった。
 フランスはオーストリアを3-1と下し、最終的な成績は勝ち点21、6勝3分1敗、総得点18、総失点9というグループ2位であるが、最後の2試合は攻撃陣が活躍した。11月14日と18日に行われるプレーオフへ弾みをつけて望むことになったのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ