第1020回 復活リヨンの快進撃(1) アウエーのデブレツェニ戦で4-0と大勝

■他チームに比べて地味な印象のリヨン

 この秋のフランスサッカーは9月上旬にワールドカップ予選2試合、10月上旬に同じくワールドカップ予選が2試合、さらに11月中旬にプレーオフが行われ、毎月2試合と言うペースで真剣勝負が行われている。3か月間に6試合もワールドカップや欧州選手権の予選が行われたことはこれまでのフランスサッカーの歴史ではないことであり、ファンの関心も代表チームの動向に集中しがちである。
 一方、クラブシーンでは通常通り、国内リーグが8月から始まり、欧州カップもチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグに再編成されて、8月までに予備戦やプレーオフが行われ、9月からグループリーグが始まっている。このフランスサッカーのクラブシーンで序盤戦の主役となったのがリヨンである。本連載では第998回と第999回でプレーオフでリヨンがベルギーのアンデルレヒトに勝利したことを紹介し、第1011回の連載ではグループリーグの開幕戦でイタリアのフィオレンチーナを1-0と下したことを紹介してきた。しかしながら、昨季リーグ優勝を果たし、25季前のチャンピオンズカップの準決勝の相手であるユベントス(イタリア)と対戦したボルドー、かつてのライバルACミラン(イタリア)と対戦したマルセイユと比較するとやや地味な印象がリヨンにあったことは事実である。

■チャンピオンズリーグ本戦初出場のデブレツェニ

 ACミランやユベントスに比べれば、フィオレンチーナの力が一段落ちることは事実である。したがってリヨンがホームでフィオレンチーナに勝利してもさほどの驚きは与えなかった。しかし、第2節、第3節とスケジュールが進むにつれ、フランス内外にリヨンの力を示すことになる。第2節のリヨンの相手はハンガリーのデブレツェニである。昨季のハンガリーリーグを制し、チャンピオンズリーグには予備戦2回戦、3回戦、プレーオフと3つの相手と計6試合戦い初めての本戦出場権を得たチームである。ハンガリーリーグでは過去5年間のうち4回リーグ優勝を果たしているチームである。2004-05シーズンにリーグ初優勝を遂げてから国内3連覇を果たし、リヨンと類似している。9月16日に行われた記念すべきチャンピオンズリーグ本戦のデビュー戦では、リバプール(イングランド)とアウエーで対戦する。アンフィールド競技場では0-1と惜敗したが、マジック・マジャールの系譜をイングランドのファンは垣間見たであろう。

■満身創痍のリヨン、大幅にメンバーを入れ替えてブタペスト入り

 そして9月29日には本拠地で初めてチャンピオンズリーグの試合を主催する。国際試合慣れしたリヨンであるが、今季は開幕前の親善試合を含めてもスペイン、ベルギーと隣国にしか遠征しておらず、今季初めての長旅である。そして怪我人続出のリヨンは、大幅なメンバー変更を余儀なくされる。本来は守備的MFのジェレミー・トゥーラランをストッパーに、サイドDFのフランソワ・クレルクをサイドのMFと本来とは異なるポジションで臨む。そして攻撃陣は中央にサンテエチエンヌから移籍してきたバフェタンビ・ゴミス、右に第1011回でも紹介したボスニア・ヘルツェゴビナの神童ミラレム・ピヤニッチ、左にシドニー・ゴブーと層の厚さを示す。
 一方のデブレツェニは本来の本拠地のオラー・ガボー・ウート競技場は1万人しか収容できないため、代表チームの本拠地でもあるブタペストのフェレンツ・プスカシュ競技場に舞台を移して記念すべきデビュー戦を迎える。

■神童ピヤニッチの活躍で4-0と完勝

 しかし、このハンガリーを代表する競技場に集まった3万5000人の慣習は完全に沈黙してしまう。まず、3分、ピヤニッチのCKからキム・カールストロームが先制点を奪う。そして13分にもこのピヤニッチが活躍する。ゴールから25メートルの位置で得たFK、昨年までであったならばここはジュニーニョの独壇場であるが、ピヤニッチが見事に直接ゴールに叩き込む。背番号8の活躍である。さらに24分、今度はピヤニッチからのパスをつないで、ゴブーがヘディングで3点目、これで勝負あった。
 後半に入って51分には相手のミスに漬け込んだゴミスが無人のゴールに4点目を入れる。余裕のリヨンはこの試合の最大の香料者のピヤニッチを早々とベンチに下げる。リヨンは5点目、6点目も奪う勢いであったが、結局4-0と敵地で大勝、クラブ史上初めてのハンガリー遠征でチームは一気に加速したのである。(続く)

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