第1021回 復活リヨンの快進撃(2) ロスタイムのゴールでリバプールに逆転勝ち

■リバプール戦で問われる真価

 チャンピオンズリーグのグループリーグに出場しているリヨンは、第1戦はホームでフィオレンチーナ(イタリア)を下し、第2戦はアウエーでデブレツェニ(ハンガリー)を4-0と一蹴し、連勝スタートとなった。10年連続でチャンピオンズリーグの本戦に出場しているというリヨンの実績を考えれば驚くに値しないと言う辛口の読者の方もいらっしゃるであろう。そしてそのリヨンの第3戦はアウエーでのリバプール戦である。リバプールは、このグループの中で第1シードであり、リバプールに勝利してこそ、第2シードであるリヨンの強さを認めることができよう。

■負傷者続出、直前のリーグ戦では敗れた両チーム

 リヨンの所属するグループEは第2節でフィオレンチーナがリバプールをホームで下す。したがって第2節が終わった段階でリヨンが2勝、リバプールとフィオレンチーナが1勝1敗、デブレツェニは2敗でいまだ無得点である。グループEの第3節は10月20日に行われた。
 リヨンはリーグ戦でも首位、開幕から8試合連続で無敗を続けていたが、このリバプール戦の直前のソショー戦で0-2と敗れ、今季初黒星を喫する。今季公式戦13試合目での初めての敗戦である。
 一方のリバプールであるが、17日に行われたサンダーランド戦では観客がビーチボールをピッチに投げ込んだ混乱をついて失点し、0-1で敗れてしまう。これでリーグ戦連敗となり、その前に行われたフィオレンチーナ戦から通算すると公式戦3連敗、フェルナンド・トーレスも負傷欠場中であり、チーム状態はよくない。
 直前のリーグ戦で敗戦を喫している両チームであるが、リヨンはリサンドロ・ロペス、リバプールはスティーブン・ジェラードが復帰する。一方、リヨンのDFラインは負傷者だらけであり、守備の成否が問われるアウエーゲームでは厳しい戦いが予想された。リバプールは負傷者続出のリヨン相手に勝利して、チーム状態を戻したいところである。

■最後のDFクリスも負傷、先制点を許したリヨン

 リバプールの本拠地アンフィールド競技場で行われたこの試合、ジェラードが先発し、地元ファンの期待は高まる。試合開始直後はアウエーのリヨンのリズムであった。そして25分にはジェラードが負傷退場となる。しかし、レッズはこれで結束を固め、次第に試合を支配するようになる。さらに36分にはDFの中で唯一のレギュラーメンバーであるクリスも負傷し、ピッチの外に運び出され、一旦はリヨンは10人で戦う。リバプールの攻撃をフランス代表GKのウーゴ・ロリスが守る。しかしながら、41分、リバプールはついに先制点を奪う。リバプールのクロスを負傷したクリスがミスコントロール、このボールをリバプールが2回シュートし、ゴールネットを揺らす。リヨンはここでクリスをあきらめ、今季からトップチームに昇格した20歳のマキシム・ゴナロンに重責を託すが、なおもリバプールの攻勢はやまず、追加点を奪う勢いの中ハーフタイムを迎えた。

■20歳のゴナロン、プロ入り初得点、ロスタイムにデルガドが決勝点

 後半もリバプールのリズムで試合は展開する。負傷者続出のリヨンであるが、本来はMFの選手が最終ラインに入っている。このことが功を奏し、最終ラインの選手も攻撃参加をする。71分のCK、ゴール前にはストッパーのジェレミー・トゥーラランが頭ではなく足でCKをシュートする。この混戦から同じストッパーのゴナロンが同点ゴール、実にプロ契約して初めてのゴールである。
 試合はこのまま引き分けかと思われたが、ロスタイムにドラマが生まれた。前節のデブレツェニ戦のヒーロー、ミラレム・ピヤニッチが同じ右サイドのシドニー・ゴブーにつなぎ、ゴブーがセンタリング、このセンタリングに複数の選手が反応した。リバプールのGKペペ・レイナ、リヨンのFWバフェタンビ・ゴミスはともに触ることができず、途中出場のリヨンのアルゼンチン代表FWのセサール・デルガドがタッチし、91分に決勝点、これまでイングランドで1勝しかしたことのなかったリヨンは11年ぶりのイングランドでの勝利、グループリーグ3連勝で折り返し点を迎えることになったのである。(この項、終わり)

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