第1022回 ボルドーも首位で折り返し(1) 終盤のゴールでマッカビ・ハイファに勝利

■第2戦を迎えるボルドーとマルセイユ

 前回と前々回の本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグの前半戦を3連勝で折り返したリヨンについて取り上げたが、今回からはボルドーとマルセイユの戦いについて紹介したい。第1節の戦いについて、ユベントス(イタリア)と対戦したボルドーについては本連載第1009回で取り上げ、激しい雨中のアウエーの試合でドローに持ち込み勝ち点1を獲得したことを紹介し、ACミラン(イタリア)と因縁の戦いとなったマルセイユについては本連載第1010回で、ACミランのベテラン選手の活躍の前にマルセイユが1-2と敗れたことを紹介している。
 両チームの第2戦は9月30日に行われた。両チームともグループ内では第3シードで開幕戦は上位シード相手の対戦となった。グループAのボルドーはホームで第4シードでイスラエルリーグのチャンピオンであるマッカビ・ハイファ、そしてグループのマルセイユはアウエーで第2シードのレアル・マドリッド(スペイン)と同じ20時45分にキックオフを迎える。

■好調な滑り出しのボルドー

 前回までの本連載で紹介したリヨン同様、ボルドーも今季は順調な滑り出しである。シーズン開幕前はカナダのモントリオールで行われたチャンピオンズトロフィーでギャンガンを下し、シーズンが始まってからは9月末の段階で6勝1分でリーグ首位を走っている。チャンピオンズトロフィーを制したチームがリーグを制す、という格言どおりの道を歩んでいる。公式戦で無敗(リーグ戦6勝1分、チャンピオンズリーグ1分、チャンピオンズトロフィー1勝)、昨季から通算すると20試合連続で無敗、さらにホームゲームではほぼ2年間負け無しである。そして相手は第4シードのチームと繰れば余裕を見せたいところであるが、必ずしも楽観できない。
 マッカビ・ハイファは直前の週末はユダヤ教の祝祭日であるヨム・キプルのため試合がなく、休養十分でボルドーに乗り込む。また、マッカビ・ハイファはチャンピオンズリーグの第1節でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れているが、3月以来久しぶりの敗戦である。また、11年ぶりのフランス遠征となるが、これまでのフランス遠征の成績は2勝1分と負け無しである。

■ユダヤ人が発展させたボルドーワイン

 ボルドーと言えばワインであるが、このボルドーワインはユダヤ人無しにここまで繁栄を築くことはできなかった。ボルドーワインと印象派はフランスで評価される前に英国で評価され、世界で評価されたわけだが、ボルドーワインを英国に輸出したのはボルドーに住むユダヤ人たちであった。ボルドーにはシナゴーグがあり、地元に住んでいる多数のユダヤ人もシャバン・デルマス競技場に集まった。

■終盤に決勝点をあげたボルドー

 試合は予想通り、ボルドーにとっては厳しいものになった。マッカビ・ハイファは若い両ウィングを基点としたサイド攻撃を幾度となく繰り返し、ボルドーのゴールを脅かす。ボルドーのGKはユベントス戦で負傷退場したセドリック・カラッソが復帰、現役代表らしい動きを見せ得点を許さない。前半は両チーム無得点で終わる。
 後半開始時にヨアン・グルクフの姿が見えない。前半負傷したグルクフをローラン・ブラン監督はあきらめたのである。グルクフの離脱は大きな痛手であるがボルドーは大幅に攻撃陣を入れ換え、次第にリズムをつかむようになる。しかしゴールはうまれず、時間は過ぎてゆく。シャバン・デルマス競技場には時計はなく、観客もベンチも腕時計や携帯電話を目にする機会が多くなる。ボルドーが攻めるが、マッカビ・ハイファはボルドーを恐れることなく、果敢に反撃を試みる。
 そして83分にようやくボルドーの観客は歓声を上げることになる。CKを途中出場のグレゴリー・セルティックが蹴り、このボールを1メートル89センチの長身ストッパーのミカエル・シアーニがヘディングでゴールを決める。ボルドーはグループリーグで初勝利をあげたのである。(続く)

このページのTOPへ