第1024回 巻き返しを図るマルセイユ(1) レアル・マドリッドの集中攻撃を受け、連敗スタート
■ACミラン戦の敗戦が尾を引き、バランシエンヌ戦も黒星
フランス勢が3チーム出場している今季のチャンピオンズリーグのグループリーグ、第1020回から前回まで紹介したリヨンとボルドーは首位で折り返し点を迎えた。一方、前半苦しんでいるのが今回紹介するマルセイユである。グループCのマルセイユはホームで行われた第1戦で因縁の相手であるACミランと対戦したが、あえなく1-2で敗れてしまい、オールドファンをがっかりさせる。
マルセイユはACミラン戦まで国内リーグでは3勝2分と負けがなく3位の座をキープしていたが、このACミラン戦の敗戦が尾を引く。マルセイユはACミラン戦直後のモンペリエ戦こそ勝利したが、9月26日に行われたアウエーのバランシエンヌ戦では2-3と敗れてしまう。マルセイユにとってアウエーのバランシエンヌ戦は16年前の八百長事件を思い出させるこれまた因縁の相手である。かつてのライバルに敗れ、かつての八百長事件の相手に敗れる。サッカーの歴史は世紀を超えて受け継がれるのである。
■第2節も強豪レアル・マドリッドと対戦するマルセイユ
そしてバランシエンヌ戦の直後に行われる第2節も引き続き強敵との対戦となった。チャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの黎明期にタイトルを連取したレアル・マドリッド(スペイン)である。数年前に銀河系軍団と言われたほどのメンバー構成ではなくなったが、第2シードに甘んじているのが不思議なチームであり、国内リーグ戦でも開幕以来5連勝で首位、チャンピオンズリーグの第1節もFCチューリヒ(スイス)をアウエーで5-2と一蹴している。
そのレアル・マドリッドとの対戦は9月30日にレアル・マドリッドの本拠地サンチャゴ・ベルナベウ競技場で行われた。前半はマルセイユが健闘する。フランス代表カリム・ベンゼマをトップにし、クリスティアーノ・ロナウド、カカ、シャビ・アロンソなどの世界のスターが支えるレアル・マドリッドの攻撃をスティーブ・マンダンダを最後尾とするマルセイユの守備陣がよく守り、前半はほぼ互角の内容でハーフタイムを迎える。
■6分間に3点をあげたレアル・マドリッドの攻撃力
しかし、後半に入って口火を切ったのはやはり地元の白い巨人、レアル・マドリッドであった。58分にパスを受けた昨年の欧州最優秀選手であるクリスティアーノ・ロナウドがこれまで好守を続けていたマンダンダからゴールを奪う。ここで白い巨人は点火した。60分にはその先制点を決めたばかりのクリスティアーノ・ロナウドに対しマルセイユのスレイマン・ディアワラがペナルティエリア内でファウル、ディアワラはこの日2回目の警告を受け、主審はレッドカードを差し出し、ペナルティスポットを指差す。このPKをカカが冷静に決め、マルセイユは1点と1人を失った。ここで勝負あったが、レアル・マドリッドの攻撃は続く。66分にはベンゼマとカカが決めたワンツーパスからチャンスをつかみ、最後はまたクリスチャーノ・ロナウドのゴールである。わずか6分間にレアル・マドリッドが3点を奪い、マルセイユは0-3と敗れ、第1戦に続き連敗となり、グループ最下位になったのである。
マルセイユはレアル・マドリッドと6年前のチャンピオンズリーグのグループリーグでも対戦している。本連載第244回と第270回でも紹介しているが、まずマドリッドで対戦し、マルセイユの先制むなしくレアル・マドリッドが4-2で逆転勝ちしている。マルセイユでの試合でもレアル・マドリッドはデビッド・ベッカムの活躍で2-1と勝利している。マルセイユにとってはレアル・マドリッド戦はこれで3連敗となってしまったのである。
■ミランではFCチューリヒがACミランを倒す
さて、グループC第2節のもう1つの試合はミラノでのACミラン-FCチューリヒ戦であった。スイス王者とはいえ、ACミランとはメンバー層が違ううえにアウエーゲーム、ACミランの勝利を疑う者はいなかったが、番狂わせは起こる。10分にFCチューリヒはこの試合最初のCKのチャンスを得るが、このCKから得点が生まれ、先制点となる。それ以降ACミランは猛攻を仕掛けるが逆転どころか同点にも追いつくことができず、FCチューリヒが勝利し、勝ち点でACミランと並んで2位になったのである。(続く)