第1026回 ボルドー、リヨンとも決勝トーナメント進出決定
■後のないバイエルン・ミュンヘンと戦うボルドー
本連載の第1020回から第1023回で、リヨンとボルドーがチャンピオンズリーグのグループリーグの前半戦では好調であったことを紹介した。両チームともこの諸聖人祭の休暇中に第4節を戦っている。
グループAのボルドーは第3節で逆転勝ちしたバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)とアウエーでの戦いである。前半戦を終えた段階でグループAの順位は1位ボルドーが勝ち点7、2位ユベントス(イタリア)は勝ち点5、3位バイエルン・ミュンヘンが勝ち点4、4位マッカビ・ハイファ(イスラエル)は勝ち点0である。。
バイエルン・ミュンヘンにとっては勝たなくてはならない試合となった。まず、勝てばボルドーと勝ち点で並ぶこと、そして勝ち点で並んだ場合、規定では直接対決の成績が優先されるので、ボルドー相手に1勝1敗、そして得失点差でも上回りたいところである。
逆にボルドーが勝利すれば、バイエルン・ミュンヘンに勝ち点で6の差をつけることができる。残り2試合でボルドーが連敗、バイエルン・ミュンヘンが連勝すれば勝ち点で並ぶが、その場合、該当チームの直接対決の戦績で優劣が決まるため、ボルドーはバイエルン・ミュンヘンを上回ることになり、決勝トーナメント進出が決まる。
■ヨアン・グルクフ、値千金のヘディングシュート
両チームにとって勝ちのほしい一戦、会場のアリアンツ・アリーナは満員になった。国内リーグの順位はボルドーは首位、バイエルン・ミュンヘンは6位と差がある。さらに、2週間前の対戦で逆転勝ちしたボルドーに勢いがあった。試合は後のないバイエルン・ミュンヘンが優勢に進めるが、ボルドーの攻撃の中心であるヨアン・グルクフがワンチャンスを者にする。37分にブラジル人のウェンデルの蹴った長いFKはファーポストでノーマークのグルクフにわたる。グルクフはヘッドでネットを揺らし、アウエーでの貴重な先制点となる。今大会でボルドーはこれが5得点目であるがそのいずれもがセットプレーからの得点である。
少なくともあと2点が必要なバイエルン・ミュンヘンであるが、ゴールは遠い。そしてロスタイム突入直前の90分にはモロッコ代表のマルーアン・シャマクが広報からのロングボールに追いつき、バイエルン・ミュンヘンのGKをかわし、無人のゴールにボールは吸い込まれる。ボルドーはチャンピオンズリーグとなってから始めて決勝トーナメントに進出することになったのである。
■引き分け以上で決勝トーナメント進出となるリヨン
その翌日にはリヨンが登場する。盟主をボルドーに奪われた形であるが、欧州の舞台でボルドーに負けるわけには行かない。第3節でアウエーでリバプール(イングランド)に勝利し、第4節は地元に戻ってくる。直前のリーグ戦ではサンテエチエンヌとのダービーをアウエーで制し、リヨンの帰還を心待ちにするファンでジェルラン競技場は超満員となる。グループEは勝ち点9のリヨンを筆頭に勝ち点3ずつの差で、フィオレンチーナ(イタリア)、リバプール、デブレツェニ(ハンガリー)ときれいに並んでいる。この段階でリヨンは3位リバプールと勝ち点6差である。つまりこの試合で勝てば文句なしの決勝トーナメント進出、引き分けてもリバプールは最終節で勝ち点で並ぶのが精一杯、直接対決の結果によりリヨンが決勝トーナメント進出である。
■終了直前のロペスの同点ゴールで歓喜のリヨン
試合はリバプールが優勢に進めるが、なかなかゴールが遠く、前半を終了して両チームノーゴール。選手交代枠を先に使い切ってしまったのはリヨンの方であった。負傷もあったが、73分に3人目の交代選手シドニー・ゴブーをピッチに送り込むが、それでも無得点が続く。一方のリバプールは68分にオランダ代表の若手ライアン・バベルを投入する。そして83分にはジェルラン競技場が沈黙する。バベルが20メートルのミドルシュート、さすがのフランス代表GKウーゴ・ロリスも止められず、リヨン痛恨の失点である。 負けを誰しもが覚悟した90分、リヨンは最終ラインの選手もゴール前に上がる。その中で個人技を見せてリサンドロ・ロペスがリバプールのGKホセ・マヌエル・レイナと1対1になり、ループシュートで劇的同点ゴール。この1点はリヨンに決勝トーナメント進出のチケットをもたらしたのである。(この項、終わり)