第1044回 チャンピオンズリーグ、グループリーグ終盤戦(4) 最終節までチケットの行方が決まらないグループC
■マルセイユが育てた池村京子
日本では年末の風物詩として定着していたインターコンチネンタルカップが、クラブワールドカップへと模様替えし、最初は日本で開催されていたが、今年はアラブ首長国連合での開催となる。昨年までのほぼ30年間、師走の日本をビッグネームが訪問したが、クラブワールドカップが開催されなくなり、大物選手を見ることができなくなったことを寂しがるファンは多いであろう。
しかし、今年の12月にビッグネームの訪日がなくなったわけではない。マルセイユが育てたビッグスターの池村京子を忘れてはならない。マルセイユからパリに移ったものの、いまだにマルセイユでも根強い人気を誇る。マルセイユで最も有名な日本関係者は中田浩二でもフィリップ・トルシエでもなく池村であろう。その池村がこの12月に日本のファン待望の訪日を果たすのである。
■序盤は出遅れながら中盤で挽回したマルセイユ
池村の訪日で日本の皆様の注目の集まるマルセイユであるが、チャンピオンズリーグのグループリーグの序盤戦では出遅れた。本連載で紹介してきたとおり、マルセイユはレアル・マドリッド(スペイン)、ACミラン(イタリア)という強豪と序盤に対戦して連敗、いきなりピンチを迎えた。ところが、第3節と第4節はFCチューリッヒ(スイス)と連戦し、連勝して2勝2敗と挽回する。そして上位シードのレアル・マドリッド、ACミランともに勝ち点を順調に伸ばすことができず、両チームとも勝ち点7であり、マルセイユとわずか1しか差がない。
マルセイユは第5節はアウエーでACミランと対戦、第6節でレアル・マドリッドとホームで対戦する。マルセイユはこの2試合で連勝すれば決勝トーナメントは確実、1勝1分でもほぼ確実である。逆に11月25日のACミラン-マルセイユ戦でACミランが勝利すれば、ACミランは決勝トーナメント進出、さらに、同日に行われるレアル・マドリッド-FCチューリッヒ戦でホームのレアル・マドリッドが勝利すれば、レアル・マドリッドも決勝トーナメント進出、マルセイユの3位以下が確定してしまう。
■先制点を許すがすぐさま追いついたマルセイユ
グループCの上位チームの本拠地で同日の同時刻にキックオフされた試合は注目を集めた。因縁の相手マルセイユとの戦いとあって、ACミランの本拠地には多くのファンが集まる。そしてファンの期待にACミランは応えた。開始早々の10分にマルセイユのママドゥ・ニアンのミスからイタリア代表のマルコ・ボレリロが先制点を奪う。しかしながら、アウエーのマルセイユも目の前でライバルの決勝トーナメント進出を阻止したいところである。先制点のきっかけを作ってしまったニアンが左サイドを攻め上がり、センタリングする。このボールをACミランのGKがはじき、今季ポルトガルのポルトから移籍してきたルーチョ・ゴンザレスがボレーでゴールネットを揺らす。
さて、もう1つのマドリッドでの試合であるが、満員のサンチャゴ・ベルナベウ競技場では、21分にゴンサロ・イグアインが先制点を決める。レアル・マドリッドは勝利しても、ACミランが勝利しなければ決勝トーナメント進出を決めることができない。マルセイユは目の前のミラノの観客だけではなく、マドリッドのファンも敵に回しての戦いとなったのである。しかしながら、マルセイユは敵地でよく守り、1-1のドローに持ち込んだのである。
■3チームにチャンスが残されたグループC
レアル・マドリッドも追加点を奪うことなく、1-0で勝利する。第5節を終えた段階でグループCは首位レアル・マドリッド(勝ち点10)、2位ACミラン(8)、3位マルセイユ(7)となり、決勝トーナメント進出のチケットをまだどのチームも獲得していない。4位のFCチューリッヒは勝ち点3で脱落するが、それ以外の3チームにチャンスが残されたのである。この時点で決勝トーナメント進出を決めたチームがないのはこのグループCとグループFだけで、混戦は最終節まで続くことになり、12月8日に2枚の一等席のチケットと1枚の二等席のチケットの行方が決まるのである。(続く)