第1072回 スペインと親善試合(3) 好調エバートンを支えるルイ・サア、3年ぶりの復帰
■ワールドカップ予選に出場したジャン・アラン・ブームソンとフランク・リベリー
前回の本連載ではこのスペイン戦にメンバー登録された24人、アイルランド戦と入れ替わった7人を紹介した。新たに加わった7人のうち、前回紹介したブノワ・シェイルーとミカエル・チアニのように初めての代表入りというケースもあるが、久しぶりの復活と言うケースもある。
5人の復帰組のうち、ジャン・アラン・ブームソン、フランク・リベリーはワールドカップ予選に出場している。ブームソンは2008年10月11日のルーマニア戦に出場している。リベリーは終盤こそ負傷で戦線から離脱したが、6試合に出場しており、攻撃のキーマンである。
アディル・ラミは2008年3月のイングランド戦の際にフランス代表に招集されているが、結局同時期に行われたフランスA'代表のマリ戦に出場している。ハテム・ベンアルファもワールドカップ予選には出場せず、2008年10月14日のチュニジアとの親善試合以来の出場を目指す。
■3年4か月ぶりに代表に招集されたルイ・サア
5人の復活組の中で最も長いブランクの後に復活してきたのがルイ・サアである。サアは2006年11月15日のギリシャとの親善試合以来、3年4か月ぶりの代表入りである。当時マンチェスター・ユナイテッドに所属していたサアは同じプレミアリーグのエバートンに移籍し、今季が3シーズン目である。
エバートンに移籍してからはほぼ2試合に1得点というそれまでにはないハイペースでゴールを量産している。プレミアリーグはマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシー、リバプールの四強時代が続いてきたが、今季のエバートンは好調でこの四強の一角を崩す勢いである。サアはジャンプ力に優れ、ゴール前での反応も31歳になった今も衰えることはなく、エバートン躍進の原動力となっている。サアはフランス代表に欠如しているゴール前での強さを補う存在となろう。そして4年前のドイツでのワールドカップではメンバー入りしており、南アフリカへのチケットをつかむことを虎視眈々と狙っている。
■今回も声がかからなかったパトリック・ビエイラ
一方、今回こそ復活なるか、と期待されながら24人のリストに入らなかったのがパトリック・ビエイラである。2008年の欧州選手権、今回のワールドカップ予選には出場こそないものの、一昨年のルーマニア戦の際には代表に招集され、キックオフ直前までメンバー表に載っていた。そして昨年6月のナイジェリアとの親善試合には主将として出場している。フランス代表がふがいない試合をするたびに真っ先に名前があがるのが33歳のビエイラである。昨年12月まではイタリアのインターミラノに所属していたが、出場機会に恵まれず、年初にイングランドのマンチェスター・シティに移籍している。マンチェスター・シティでは4試合に出場している。ビエイラはセネガルのダカール出身であり、初めてアフリカで行われるワールドカップへの出場を期待していたであろう。フランスのサッカーファンにはビエイラの復帰を期待する声が少なくなかった。しかし、今回もレイモン・ドメネク監督はビエイラをクレールフォンテーヌに招集しなかった。おそらく、ブルーのユニフォーム姿のビエイラを見ることはないであろう。
■最後の5試合は勝ち星なし、無得点に終わったビエイラ
ビエイラはこれまでに代表の試合に107試合出場している。また2006年のワールドカップ以降は出場した試合すべてで主将を務めている。ところが、近年の代表戦での戦績は振るわず、107試合目のナイジェリア戦は0-1で敗れ、106試合目のウルグアイ戦(2007年11月19日)はスコアレスドロー、そしてその前のスペイン戦(2008年2月6日)は0-1の敗戦など、負けまたはスコアレスドローが続き、差代表出場102試合目のスロバキアとの親善試合(2007年8月22日)を最後に勝利から見放されている。ビエイラは自らの代表キャリアの最後の5試合は2分3敗、さらに5試合連続でノーゴールと言う結果に終わっている。このまま代表から引退することは本人にとってもファンにとっても悔いの残ることになるであろう。(続く)