第1075回 マルセイユ、リールともに2回戦進出

■過去2年、優勝チームに敗れたマルセイユ

 チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントの1回戦でフランスから出場した4チームはいずれも初戦を勝利するという幸先の良い出足となったのは本連載第1066回から第1069回で紹介したとおりである。その決勝トーナメント1回戦の第2戦がヨーロッパリーグは2月の下旬、チャンピオンズリーグは3月上旬に行われている。
 ヨーロッパリーグについては、フランスからマルセイユとリールが出場し、マルセイユはアウエーでFCコペンハーゲン(デンマーク)、リールはホームでフェネルバフチェ(トルコ)に先勝している。第2戦は第1戦の翌週の25日に行われた。
 フランス勢2チームのうち最初に登場したのはマルセイユである。19時に地元マルセイユに姿を現す。マルセイユはこのところヨーロッパリーグの前身であるUEFAカップの常連となっているが、昨年はシャフタール・ドネツク(ウクライナ)、一昨年はゼニト・ペテルブルグ(ロシア)と優勝したチームに決勝トーナメントの序盤で敗れている。1993年に八百長疑惑でタイトルを剥奪されてから国内外ともタイトルから遠ざかっているマルセイユ、そろそろタイトルを獲得したいところである。マルセイユにとってはアウエーの第1戦で3-1と差をつけて勝利しており、2回戦進出ということはほぼ確実であろう。

■久々に代表復帰したハテム・ベンアルファの先制点

 ファンの期待は2回戦進出とは違うところにあった。この日の午後、前回までの本連載で紹介した3月3日のスペインとの親善試合の代表メンバー24人が発表された。マルセイユからも3人の選手が選出された。代表では第2GKとなるスティーブ・マンダンダは想定されたメンバーであったが、FWのハテム・ベンアルファは2008年10月以来の1年5か月ぶりの復帰となり、ブノワ・シェイルーは初めての代表招集である。昨年11月のアイルランド戦の際はマンダンダ1人しか招集されていなかったことを考えれば、大躍進である。そして宿敵パリサンジェルマンからは代表に名を連ねた選手はいない。このFCコペンハーゲンとの試合をステップにして代表でもマルセイユの選手が活躍することをファンは期待している。
 そしてこの期待に応えたのがベンアルファである。左サイドの攻撃的MFの位置に入ったベンアルファは代表復帰に気を良くしたのか積極的に攻撃を仕掛ける。そして前半終盤の43分、サイドからのボールを見事なボレーシュートで先制点を奪う。ベロドロームのファンは沸き立つ。そして後半はバカリ・コネが2点を追加し、終盤のFCコペンハーゲンに1点返されたものの、第1戦と同じ3-1というスコアで連勝したマルセイユはベスト8を決定する2回戦へと進出したのである。

■アウエーでフェネルバフチェに先制点を許したリール

 一方のリールはホームで勝利したものの、2-1というスコアである。つまりアウエーの第2戦で0-1というスコアで敗れた場合、アウエーゴール2倍ルールで敗退となる厳しいスコアである。またリールでの第1戦で先制点をあげたフローラン・バルモンが累積警告でこの試合に出場できない。すなわち精神的にはリードしているとは言えない状態でリールはトルコのイスタンブール入りしたのである。
 試合はアウエーゲームであった。圧倒的なフェネルバフチェのファンがスタンドを埋め尽くす。フェネルバフチェが試合を支配し、守勢のリールが守るという典型的なホームとアウエーの関係が明確になった。そして、シナリオ通りにスコアを開いたのはフェネルバフチェであった。29分にリールが惜しいチャンスを逃し、35分にはフェネルバフチェはCKから先制点を奪う。この段階でフェネルバフチェ有利となる。

■リールから唯一代表入りしたアディル・ラミが値千金のゴール

 後半になってもスコアは動かない。このままのスコアで試合が終わればリールは敗退である。リールもよく健闘したがフェネルバフチェのゴールは遠い。
 ところが85分、リールはアウエーチームにとって理想的なシナリオを展開する。長いFKからアディル・ラミが得点をあげる。ラミはリールから唯一スペイン戦のメンバーに選ばれた選手である。この試合だけを見れば同点ゴールでしかないが、2試合を通してみれば決勝点である。ラミのゴールの直後からフェネルバフチェのファンは次々に家路につく。そしてリールはベスト16進出を決めたのである。(この項、終わり)

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