第1085回 マルセイユ、久しぶりのタイトル獲得 (3) マルセイユとボルドーが決勝に進出
■ラグビーの都トゥールーズに乗り込んだサッカーの都のチーム
リーグカップ準決勝は2月3日のトゥールーズ-マルセイユ、2月17日のロリアン-ボルドーの2試合になった。準々決勝の最後の試合は2月2日に行われており、その翌日に準決勝が行われることになる。マルセイユ、ボルドーは前回の本連載で紹介しているとおり、国内3タイトルすべてに勝ち残っている上に欧州カップでも決勝トーナメントに進出しており、このような変則的な日程にならざるを得ない。
準決勝の第1試合はラグビーの都トゥールーズでサッカーの都のチームを迎えて行われた。今年の6か国対抗はフランスが全勝優勝を果たしており、この段階ではまだ6か国対抗は序盤戦であったが、フランス全体としてサッカーよりラグビーに関心が集まる時期である。その中でトゥールーズの市営競技場には2万6000人と言う大観衆が集まった。今季のリーグカップが例年と違う盛り上がりを見せていることを示している。トゥールーズにあるラグビーチーム、スタッド・トゥールーザンは数々の国内外のタイトルを獲得しているが、サッカーチームであるトゥールーズFC(TFC)は1957年のリーグ優勝が唯一のタイトルである。つまりマルセイユは準々決勝のリール戦に続き、近年国内では上位にあるもののタイトルからは半世紀以上遠ざかっているチームと連続して対戦することになったのである。
■ブランドンの2得点で延長戦を制したマルセイユ
リーグ戦では中位にあるトゥールーズであるが、ライバルはサッカーのチームだけではない。ラグビーのスタッド・トゥールーザンはこのマルセイユを迎える試合の直前の週末に、欧州カップでグループリーグを首位で突破、準々決勝に進出している。ワールドカップイヤーにサッカーの意地を見せたいところである。
試合の鍵を握ったのは両チームのCFであった。トゥールーズはフランス代表のアンドレ・ピエール・ジニャック、マルセイユはブラジル人のブランドンが攻撃陣の中心に陣取った。試合はアウエーのマルセイユが支配する。しかしながら前半は両チームとも無得点であった。
後半に入って先手を取ったのはホームのトゥールーズであった。ジニャックが放ったシュートは準々決勝で負傷したスティーブ・マンダンダに変わってゴールを守るエリントン・アンデラーデを交わして先制点となる。そして時計の針は進み、トゥールーズが決勝進出かと思われたが、86分にブランドンが同点ゴールを決め、試合は延長戦となる。そして延長前半が終わろうとしている105分にまたもやブランドンが得点をあげる。規定の90分、延長戦の120分、それぞれ5分前にゴールをあげたのはママドゥ・ニアンに代わってCFに入ったブランドンであり、ディディエ・デシャン監督の選手起用が当たったのである。
■2002年の決勝の再戦となったロリアン-ボルドー戦
そしてもう1つの準決勝がロリアン-ボルドー戦である。ロリアンは1月27日の準々決勝でリヨンに勝利してからリーグ戦では1勝1分1敗という成績で順位は9位のままである。一方のボルドーはリーグ戦では首位をキープしているが、2月2日の準々決勝でスダンに勝った後、リーグ戦でレンヌに敗れる。実に昨年11月以来13勝2分という連続無敗街道を走ってきたがついにストップ、その次に試合もモナコに敗れ連敗、ようやく2月14日のサンテエチエンヌ戦で快勝し、ロリアンに乗り込む。このカードは2002年のリーグカップ決勝の再現であり、その時はボルドーがパウレタの活躍で勝利している。
■ボルドー大量点で逆転勝ち
先制は地元ロリアンであった。CKからヘッドでつないだところで、最後はローラン・コシールニーがゴールに押し込む。それに対して反撃をボルドーは試み、ところがそのコシールニーが23分には自陣のペナルティエリア内でボルドーのマルーアン・シャマクを倒してしまいレッドカードを突きつけられ、退場し、ボルドーにはPKが与えられる。このPKをウェンデルが決めた後はボルドーのゴールラッシュとなった。29分にはシャマク、81分にはウェンデル、89分にはヨアン・グルクフと大量4点をあげる。ボルドーは難なくロリアンを下し、決勝に進出したのである。(続く)