第1089回 リヨンとボルドー、準々決勝で対戦(3) リヨン、歴史的な試合で先勝

■国内では振るわないリヨン、リーグ首位を狙うボルドー

 チャンピオンズリーグでのフランス勢同士の初対戦、リヨンとボルドーの戦いは、3月30日にリヨンで第1戦、4月7日にボルドーで第2戦が行われることになった。
 昨季ボルドーにリーグチャンピオンの座を奪われたリヨンは、チャンピオンズリーグのグループリーグではグループ2位で突破したものの、国内リーグでは対照的な成績である。リーグ戦では今季は10月に首位に立ったことはあったものの、その後成績を落とし、6位で折り返している。年が明けてもリーグ戦では上昇気流に乗ることがなく、さらにフランスカップ、リーグカップからは1月下旬に姿を消している。結局リーグ6位のままでこのボルドー戦を迎えた。
 一方のボルドーは昨年のリーグチャンピオンであり、今季もリーグ首位を走る。しばしば首位の座を譲ることはあったが必ず3位以内におり、このリヨンとの戦いを迎える前の3試合は2分1敗とやや停滞気味の成績であるが、リーグ2位で決戦の日を迎える。

■リヨンでのリーグ戦はアウエーのボルドーが勝利

 気になるリーグ戦での両チームの対戦であるが、昨年12月13日の第17節で両チームはリヨンで戦い、ボルドーでの戦いは4月17日の第33節で予定されている。昨年12月のリヨンで戦った際は、拮抗した戦いが続き、終了4分前にボルドーのマルーアン・チャマクが決勝点をあげ、1-0と勝利している。リヨンにとっては10月17日のソショー戦以来、今季2回目のホームでの敗戦となった。
 リーグ戦での新旧王者の戦いとなったこの試合、リヨンのジェルラン競技場はリーグ戦での試合をしのぐ37,859人の観衆で満員となった。この37,859人は、フランス人のガブリエル・アノーが創設したチャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ)での初めてのフランス勢対決に立ち会い、時代の証人になったのである。

■チームのプランが対照的なリヨンとボルドー

 その初のフランス勢対決、リヨンとボルドーのチームのプランは少々異なる。王者の座を奪われたとはいえ、リヨンは豊富な人材を抱える。したがって、リーグ戦とそれ以外の試合でメンバーを入れ替えることができるという利点がある。逆にボルドーはリーグ戦とそれ以外の試合でメンバーをあまり入れ替えないで戦う。リヨンはチャンピオンズリーグ用に特別に準備した青いユニフォーム、ボルドーは通常のアウエーの試合で着用する赤地に白い縦線の入ったユニフォーム、チャンピオンズリーグは通常のリーグ戦とは別のものであると考えるリヨンと、通常のリーグ戦の延長と考えるボルドーとの考え方の違いが、ユニフォームにも現れている。

■ウーゴ・ロリスの好セーブ、リサンドロ・ロペスの2ゴールでリヨンが勝利

 さて、超満員のジェルラン競技場で試合はキックオフされた。名古屋では2日前にスタッドジェルランが5戦連続で1番人気に推されながら、6着に沈んでいる。ボルドーは立ち上がりから積極的にリヨンのゴールを攻め、得点機もつかむがオフサイドフラッグが上がる。反対に先制点を奪ったのはリヨンであった。ボルドーのゴール前に放り込まれたFKをボルドー守備陣がうまく処理できず、ミカエル・チアーニのクリアボールがリヨンのDFのマチュー・ボドメールに渡ってしまう。ボドメールがあげたクロスをリサンドロ・ロペスが先制点に結びつける。
 一方のボルドーもすぐさま追いつく。14分にゴール前にヨアン・グルクフがあげたボールをチャマクがクリスと競り合ってヘディングでゴールに押し込んだ。チャマクはリーグ戦に続いて、リヨンでゴールをあげる。
 試合は激しいながらも好ゲームとなる。両チームのGKのウーゴ・ロリス、セドリック・カラッソともにフランス代表のメンバーであり、南アフリカに向けて好セーブを連発する。特にリヨンのGKロリスのスーパーセーブは代表でのレギュラーの座は渡さないというデモンストレーションになった。そして、先に2点目を許したのはボルドーのカラッソであった。32分、リヨンのミッシェル・バストス・フェルナンデスが勝ち越し点を決める。
 後半に入ってボルドーは優勢に試合を進め、ボールを支配する。ここで功を奏したのがリヨンの選手起用である。リーグ遷移は出場していない選手の運動量は落ちず、ボルドーの得点機をつぶす。77分にはボルドーのマチュー・シャルメがクロスボールを手でとめてしまい、PKを献上、このPKをリサンドロ・ロペスが決め、3-1でリヨンは歴史的な試合を制したのである。(続く)

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