第1090回 リヨンとボルドー、準々決勝で対戦(4) リヨン、準々決勝4度目で初めて突破
■失速気味のボルドー
チャンピオンズリーグでのフランス勢同士の初めての対決となったリヨン-ボルドー戦であるが、旧王者であるリヨンがホームで3-1と先勝した。第2戦はその1週間後の4月7日に行われた。準々決勝と準決勝は第1戦と第2戦のインターバルが1週間となる。
第1戦を1-3と落としたボルドーは2-0で勝利すれば、逆転して準決勝進出となる。ところがボルドーには勢いがない。3月30日にリヨンとの試合の3日前にはスタッド・ド・フランスでのリーグカップ決勝でマルセイユと対戦し、この試合は本連載題1086回で紹介したとおり、1-3で敗れている。奇しくもリヨンでの試合と同じスコアである。そしてリヨン戦の4日後にはリーグ戦第31節のナンシー戦をホームで戦う。(第30節のバランシエンヌ戦はリーグカップと日程が重なり延期されている)ボルドーはこの試合で元気なく、リーグ中位以下のチームに1-2と競り負けている。その結果、リーグ順位は4位にダウンしてしまっている。ボルドーにとってリーグ順位が4位と言うのは今季最低の成績である。
■上昇気流に乗るリヨン
一方のリヨン、ボルドーとの第1戦の段階でのリーグ戦順位は6位であり、ボルドーよりも下の順位であった。ところが、ボルドー戦の4日後のリーグ戦はアウエーでレンヌと対戦し、前半に先制を許しながら、後半に入って2得点をあげ、逆転勝利、リーグ順位を一気に2位まで上げ、ボルドーを逆転する。
このように勢いに乗るリヨン、試合消化数がリヨンに比べて2試合少ないとは言え順位を落としたボルドー、対照的なチーム状態で第2戦の日がやってきた。
■逆転を狙うボルドー、大胆な選手起用
会場のシャバン・デルマス競技場の観衆は31,962人、リヨンでの試合より少ないとはいえ、超満員である。両チームとも第1戦と同じユニフォームを着用し、ボルドーは赤地に白い縦縞で25年ぶり、リヨンは濃い青いユニフォームで初めての準決勝進出を目指す。ボルドーはこの試合思い切った選手起用をする。それは主将を務めていたマチュー・シャルメをベンチに下げたことである。シャルメは第1戦で痛恨のハンドで2点差をつけられる原因を作ってしまった。その精神的なショックもあることからシャルメに代わりに右サイドDFにはサネを起用、主将はアルー・ディアラが務める。また右サイドのFWにはウェンデルを使い、右サイドは大きくメンバーを変える。
キャプテンマークを付けたアルー・ディアラはかつてボルドーにも所属した選手である。44分にアルー・ディアラは強烈なロングシュートを放つがクロスバーを直撃する。
■マルーアン・チャマクの5点目でホーム5連勝のボルドー、得失点差に泣く
そして、ボルドーは皮肉なことに左サイドが機能した。前半終了間際の45分、ブノワ・トレムリアスとジュシエのワンツーからチャンスを作り、マルーアン・チャマクがゴールを決め、先制点をあげる。チャマクは今季のチャンピオンズリーグでは大活躍であり、5得点目である。準々決勝終了時におけるチャンピオンズリーグの得点ランキングは、1位が8得点のリオネル・メッシ(バルセロナ)、2位が7得点のクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリッド)、3位が5得点のニクラス・ベントナー(アーセナル)とウェイン・ルーニー(マンチェスター・ユナイテッド)、そしてチャマクの3人である。つまりチャマクは欧州では五指に入るストライカーなのである。絶好調のストライカーを有するこのボルドーは残り45分で1点を奪えば、準決勝進出となる。一方のリヨンはシドニー・ゴブー、リサンドロ・ロペスを累積警告で欠く陣容であり、ゴールは遠い。
逆にリヨンは失点をこの1点に抑えればクラブ史上初の4強入りである。リヨンでキープレーヤーとなったのはGKのウーゴ・ロリスであった。第1戦に続き、獅子奮迅の活躍でボルドーの攻撃を防ぐ。後半は両チームともゴールネットを揺らすことなく、試合終了の笛が鳴り響く。1-0で勝利したボルドーは今季のチャンピオンズリーグのホームゲームで5連勝したが、得失点差で及ばず、準決勝への道は断たれた。逆にリヨンは4回目の準々決勝で初めて厚い壁を乗り越えたのである。(この項、終わり)