第1133回 不振に終わった南半球遠征(5) 幻となったフランス-アルゼンチンのダブル対戦
■ノートライのスコットランドに敗れたアルゼンチン
6月19日に行われたアルゼンチンA戦に37-14と快勝したフランスのフィフティーン、今回の南半球遠征の最終戦は26日15時45分(フランス時間では同日20時45分)に行われるアルゼンチン代表とのテストマッチである。さて、アルゼンチン代表も6月は北半球の強豪とのテストマッチを行い、6月12日にはスコットランドを迎えて試合を行っている。この試合、アルゼンチンは前半に2つのトライをあげる。これ以外にPGを1本決めて13点、一方のスコットランドはアルゼンチンのゴールラインを越えることができず、ノートライであったが、SOのダニエル・パークスが3本のPGと1本のDGを決めて12点、13-12という僅差で折り返す。後半に入ってもスコットランドはトライを挙げることができなかったが、パークスのキックは冴えわたり、前半同様3本のPGと1本のDGを成功させる。一方のアルゼンチンはノートライで終了間際にPGを1本返したにとどまり、スコットランドがノートライながら24-16というスコアでアルゼンチンを下したのである。
■第2テストはアルゼンチンはノートライで連敗
そしてその翌週末、アルゼンチンAがフランスに敗れた翌日にアルゼンチン代表はスコットランドと第2テストを行う。この試合、開始早々にスコットランドがこの遠征で初めてのトライを決め、ゴールデンブーツのパークスがゴールを決めて7-0と先行する。対するアルゼンチンもキッカーは悪くない。主将のフェリップ・コンテポニが14分と21分に2本のPGを決めて1点差に迫るが、26分にパークスがPGを決めて4点差とする。アルゼンチンは60分にPGで再び1点差に詰め寄るが、74分にパークスにPGを決められ、4点差に後退する。トライで逆転できる得点差であったが、ゴールラインは遠かった。アルゼンチンはスコットランドにホームで連敗したのである。
■ベレス・サルスフィエルドの本拠地、ホセ・アマルフィターニ競技場
フランスとアルゼンチンにとってこの夏最後の戦いとなる舞台はブエノスアイレスのホセ・アマルフィターニ競技場である。この競技場はインターコンチネンタルカップで訪日したこともあるベレス・サルスフィエルドの本拠地であるが、ラグビーのアルゼンチン代表の本拠地でもある。サッカーのクラブチームの本拠地がラグビーのナショナルチームの本拠地となっていることはインターナショナルボードの国では考えられないことであろう。
■サッカーのワールドカップでは明暗が分かれた両チーム
アルゼンチンがサッカーの国であるということも忘れてはならない。サッカーのワールドカップでフランスはグループA、アルゼンチンはグループBということもあり両国の試合日程は1日違いもしくは同日に行われている。フランスは1分1敗、アルゼンチンは2勝でグループリーグの最終戦を迎える。グループリーグの最終戦はフランスの所属するグループAとアルゼンチンのグループBはいずれも22日に行われた。すでに皆様にご紹介しているとおり、フランスは南アフリカに敗れ、グループリーグで最下位に終わり、アルゼンチンはギリシャにも勝利して3戦全勝の首位で決勝トーナメントに進出する。
フランスのイレブンはエコノミークラスで帰国してしまったが、アルゼンチンは27日にグループAの2位のメキシコと決勝トーナメント1回戦で対戦する。もしもアルゼンチンが1位通過ではなく2位通過であれば、グループAの首位チーム相手の決勝トーナメント1回戦を26日の16時(アルゼンチン時間では同日の11時)に行っていた。つまり、6月26日には、サッカーがフランス時間の夕方にポートエリザベスで、ラグビーは夜にブエノスアイレスで、フランス-アルゼンチンの対戦が行われる可能性もあったのである。しかし、フランスイレブンの崩壊と、アルゼンチンの快進撃で実現しなかったのである。(続く)