第1146回 2012年欧州選手権予選開幕 (1) ワールドカップ組から9人が復権
■ウクライナとポーランドで開催される2012年欧州選手権
悪夢のような南アフリカでのワールドカップ、サッカー界だけではなくフランス全体に大きな失望を与えたスキャンダルから75日もたたない中で2012年の欧州選手権予選が開幕する。2012年大会はウクライナとポーランドで行われ、2大会連続して共同開催となる。51チームが本大会出場の14の椅子を争う。予選は9グループに分かれ、6チームからなる6グループと5チームからなる3グループで行われ、各グループの首位9チーム、2位チームの中で最も成績の良かった1チーム、それ以外の2位チーム同士のプレーオフで4チームが久しぶりの東欧での大会に進むことになる。
予選のシード順は2006年ワールドカップの本大会並びに予選、2008年欧州選手権の本大会並びに予選、2010年ワールドカップの予選の成績で決定し、フランスは第1シードの9チームの中に入った。グループDに入り、第2シードのルーマニア、第3シードのボスニア・ヘルツェゴビナ、第4シードのベラルーシ、第5シードのアルバニア、第6シードのルクセンブルグと本大会出場を目指して争うことになった。
さて、第1シードとなったフランスであるが、このワールドカップで負った傷は深い。監督は長年批判にさらされてきたレイモン・ドメネクをようやく交代させ、ボルドーの監督だったローラン・ブランにバトンタッチされたが、新チームの第1戦はワールドカップのメンバーを全員外してノルウェーと戦い、1-2と敗れている。
■4人を出場停止処分にしたフランス
フランスは9月3日にホームでベラルーシと対戦し、7日にはアウエーでボスニアと対戦する。2年前のワールドカップ予選では初戦のオーストリア戦に敗れたことが後々まで響き、プレーオフ経由での本大会出場となった。序盤の2試合で星を落としたくないところである。ブラン監督は26日にこの2試合に臨む21人のメンバーを発表した。ワールドカップ組についてはすでに4選手が処分をフランス協会から課され、この連戦に出場できない。まず、今回の騒動の発端となったニコラ・アネルカは18試合出場停止、練習ボイコットの首謀者となった主将のパトリス・エブラは5試合出場停止、またボイコットの中心的役割だったフランク・リベリーは3試合出場停止、ジェレミー・トゥーラランは1試合出場停止となった。
■ワールドカップ組から9人、ノルウェー戦組から9人が選出
これら4人以外のワールドカップ組のうち何人入り、だれが入るのかが注目された。結論から言うとワールドカップ組からは9人がメンバー入りした。
GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソと3人全員がワールドカップ組となった。DF陣はガエル・クリシー、バカリ・サーニャの2人、そしてMFはアルー・ディアラ、アブー・ディアビ、攻撃陣ではフローラン・マルーダとマチュー・バルブエナというメンバーが南アフリカに行ったメンバーである。第2戦のボスニア・ヘルツェゴビナ戦に出場することのできるトゥーラランは選に漏れた。
それ以外の12人はノルウェー戦の際に選出されたメンバーから10人、ワールドカップにもノルウェー戦にも入っていないメンバーが2人となった。ノルウェー戦に続いて代表に選出されたのは、DFのアディル・ラミ、フィリップ・メクセス、ママドゥ・サコ、ブノワ・トレムリナス、MFはジェレミー・メネス、ラッサナ・ディアラ、ヤン・エムビラ、FWはカリム・ベンゼマ、ロイック・レミー、ギヨーム・オラオがノルウェー戦組である。
■初選出のケビン・ガメイロ、4年ぶり復帰のルイ・サア
そして注目は初めての代表招集となったケビン・ガメイロと久しぶりの代表復帰となったルイ・サアである。サアは欧州選手権を控えた2004年2月のベルギーとの親善試合で代表にデビューし、いきなり代表初ゴールをあげている。ポルトガルでの欧州選手権にも出場、そして2006年のワールドカップの予選と本大会にも出場している。スイスとオーストリアで行われた2008年欧州選手権の予選にも最初の4試合に出場しながら、11月のギリシャとの親善試合を最後に代表から遠ざかり、実に4年ぶりの代表復帰となったのである。(続く)