第1150回 2012年欧州選手権予選開幕 (5) 73年ぶりの4連敗、2予選連続の黒星スタート

■73年ぶりという不名誉な4連敗

 第4シードのベラルーシに試合を圧倒しながらもチャンスをものにすることができず、0-1とホームで敗れてしまったフランス、前任のレイモン・ドメネク監督時代からの一連の流れを見ていると、この敗戦も当然のこととして受け入れる空気がフランス国内にあったことは事実である。しかしながら、新任のローラン・ブラン監督にとっては信じられない結果になってしまったとしか言えないであろう。
 世界ランキングで77位、これまでワールドカップにも欧州選手権にも本大会に出場したことがない国に負けたこと自体フランスのサッカーにとっては歴史的な汚点であるが、この試合の敗戦がいかに重いものであるか振り返ってみよう。
 まず、このベラルーシ戦の敗戦でフランスはワールドカップのメキシコ戦、南アフリカ戦、8月の親善試合のノルウェー戦に続いて4連敗となった。フランスにとって4連敗というのは1937年にオーストリア(1-2)、ベルギー(1-3)、ドイツ(0-4)、アイルランド(0-2)と4試合連続で親善試合で敗れた時以来、実に73年ぶりのことである。そしてこれはフランス代表の歴史上、最多連敗記録である。

■7試合連続白星なしは18年ぶり

 そして今回のフランスは4連敗する前にウルグアイと引き分け、ワールドカップ直前の親善試合で中国に敗れ、チュニジアと引き分け、7試合連続で勝ちから見放されている。これは1992年の欧州選手権前の親善試合から欧州選手権本大会、そしてワールドカップ予選に至るまでの9試合連続勝ち星なし以来のワースト記録である。1992年の欧州選手権予選はスペイン、チェコスロバキアという強豪と同じグループになりながら、8戦全勝を達成して優勝候補筆頭とみなされながら、大会前の親善試合から不調に陥り、スウェーデンでの本大会では伏兵デンマークに敗れてグループリーグ敗退、そしてジェラール・ウリエ監督の初陣となったパリでのブラジル戦は完敗、再起を期した1994年のワールドカップ予選でも初戦のブルガリア戦で0-2と敗れている。

■連敗スタートの新監督は過去2人だけ

 本連載第1142回で紹介したとおり、過去3人の監督(ドメネク、ジャック・サンティーニ、ロジェ・ルメール)は就任初戦は引き分けであり、その前のエメ・ジャッケ監督だけが過去20年の新監督では初戦を勝利で飾り、ジャッケ監督の前のウリエ監督、その前任のミッシェル・プラティニ監督は黒星スタートである。このように新監督にとっての黒星はそれほど恥ずかしいことではないが、この中で連敗スタートしたのはウリエだけである。さらに歴史をさかのぼっても1967年に就任したジュスト・フォンテーヌ監督(ルーマニア、ソ連に連敗)だけである。
 ただし、ウリエ監督はこの連敗スタートの後、10月に行われたワールドカップ予選のオーストリア戦に勝利してから勢いに乗り、ワールドカップ予選で5連勝し、翌年の夏のロシアとの親善試合で勝利し、6連勝を飾る。フランスはウリエ監督就任前年の欧州選手権予選当時の強さを取り戻す。しかし、秋になってからはワールドカップ予選のスウェーデン戦で引き分け、ホームで迎えたイスラエル戦、ブルガリア戦はいずれもロスタイムに決勝点を奪われ、米国行きのチケットを逃している。

■初戦黒星からプレーオフ経由で本大会出場を果たした2年前

 今回の敗戦が欧州選手権予選というタイトルマッチでの敗戦ということは重い事実である。予選の初戦で負けたのは2年前に始まった2010年ワールドカップ予選のオーストリア戦以来のことである。そしてその前の予選初戦の黒星は1994年ワールドカップ米国大会のブルガリア戦までさかのぼる。しかし、これらの試合はいずれもアウエーの試合であった。
 2010年のワールドカップ予選はドメネク監督が率いて最終的には本大会出場、一方の1994年ワールドカップ予選はウリエ監督が率いて予選落ち、ブラン監督のフランスはどうなるのであろうか。(この項、終わり)

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