第1154回 2010-11欧州カップ開幕 (1) モンペリエは予備戦で敗退、リールはプレーオフを勝ち抜く

■予備戦3回戦から参戦したリーグ5位のモンペリエ

 8月の初めにリーグ戦が開幕し、9月になると代表チームの欧州選手権予選も始まった。そして忘れてはならないのがチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグというクラブ欧州一を争う欧州カップである。
 ヨーロッパリーグは予備戦が7月の初めからすでに始まっているが、フランス勢は昨季リーグ5位だったモンペリエが7月末の予備戦3回戦からの登場となる。モンペリエの相手はハンガリーのジュール、昨季のハンガリーリーグ3位のチームであり、予備戦1回戦からの参戦であり、スロバキアのニトラ、カザフスタンのアティラウを下してきた。この段階で国内リーグも開幕していないモンペリエにとってはこのようにオフの間に国際試合での勝利で調子を上げてきたチームには用心しなくてはならない。シーズン最初の公式戦が国際試合、しかもアウエーの戦いである。しかしながら、この試合でモンペリエは前半の32分にオリビエ・ジルーがあげた得点を守りきり、1-0と先勝した。

■ホームの第2戦のPK戦で敗れてしまったモンペリエ

 この勝利で第2戦を優位に迎えることができるはずのモンペリエであったが、第2戦は予想外で苦戦を強いられる。40分にまさかの先制点を許してしまう。ところが前半ロスタイムに相手の選手がこの日2枚目のイエローカードで退場となる。数的優位に立つモンペリエは楽に追いつくと思われたが、激しい攻め合いになりながら両チーム無得点で90分経過する。2試合ともアウエーチームが1-0で勝利しているため、試合は延長戦に入る。ここでモンペリエが有利と思われたが、決勝点をあげることができず、逆に延長後半終了時にピトーが退場を命じられてしまう。120分間は圧倒的に攻め続けたモンペリエはPK戦に持ち込まれてしまう。またPK戦前にベンチメンバーのロマン・ピトーが退場処分となり、暗雲が漂う。モンペリエが先蹴であり、前回までの本連載で紹介したボスニア・ヘルツェゴビナ代表でモンペリエの主将のエミル・スパヒッチがPKを決めるが、モンペリエはその後2人が失敗し、PK戦は3-4という結果で敗れてしまったのである。

■ルーマニアの急成長チーム、バスルイと対戦するリール

 昨季のリーグ4位のリールとフランスカップ優勝チームのパリサンジェルマンはプレーオフから参戦となった。8月19日に両チームとも初戦を迎える。リールの相手はルーマニアのバスルイである。ルーマニアは前回まで紹介した欧州選手権の予選でフランスと同じグループに入っており、欧州選手権予選の前哨戦であるともいえよう。ルーマニアのクラブというとステアウアやディナモなどのブカレスト勢を思い起こされる読者の方も多く、このバスルイの名前を御存知の方は少ないであろう。それもそのはず、このバスルイは2002年設立と歴史は浅く、2005年に1部に昇格したばかりである。豊富な資金量で選手を集め、昇格してきた。1部昇格3季目にはインタートト出場権を獲得、インタートトを勝ち抜いてUEFAカップに出場している。昨季もUEFAカップを継承したヨーロッパリーグに出場しており、プレーオフに勝てば実質3年連続出場となる。

■今季初勝利で獲得したヨーロッパリーグへのチケット

 リールはこの難敵相手に8月19日に行われたアウエーの第1戦はスコアレスドローで乗り切る。リールは国内リーグでも3試合連続ドローで、この試合を含めて4試合引き分けが続き、24日の第2戦を迎えた。両チーム無得点で迎えた68分、リールはチャンスを迎える。バスルイのGKがリールのCFのムッサ・ソーの得点機にファウルを犯し、レッドカードを突きつけられる。バスルイの第2GKに対し、カバイエがPKを決めて先制、さらに80分にオーレリアン・シェジュが追加点をあげ、リールは今季の公式戦で初勝利をあげ、ヨーロッパリーグへの出場権を得たのである。(続く)

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