第1159回 2010-11欧州カップ開幕 (6) 第1シード相手にリールは敗れ、パリサンジェルマンは勝利
■ヨーロッパリーグで第2シードになったフランス勢
チャンピオンズリーグのフランス勢の初戦はリヨンが勝利したが、マルセイユとオセールは黒星スタートとなった。そしてヨーロッパリーグも忘れてはならない。
今季で2シーズン目となるヨーロッパリーグは48チームが本戦に出場し、4チームずつ12のグループリーグに分かれてホームアンドアウエー方式で戦う。各グループの上位2チームおよびチャンピオンズリーグのグループリーグで3位となった8チームを合わせた32チームが年明けからの決勝トーナメントに進出する。
フランスからはパリサンジェルマンとリールが本戦に勝ち残り、両チームとも第2シードとしての参戦となり、48チームが一斉に9月16日に初戦を戦う。
■序盤の2失点が重くのしかかったリール
リールはグループC、第1シードのスポルティング・リスボン（ポルトガル）、第3シードのレフスキー・ソフィア（ブルガリア）、第4シードのゲント（ベルギー）と対戦する。リールの初戦はホームにスポルティング・リスボンを迎える。2000-01シーズンでリーグ3位になり、翌季のチャンピオンズリーグに出場したのが最初の欧州挑戦となった名門リール、その後はしばしば欧州の舞台に登場し、健闘している。一方のスポルティング・リスボンはベンフィカ、ポルトとともにポルトガルの三大勢力であり、欧州カップの常連として活躍してきた。1964年には決勝でハンガリーのMTKブタペストに再試合の末競り勝ってカップウィナーズカップを獲得し、2005年にはUEFAカップで決勝に進出し、ロシアのCSKAモスクワに敗れている。
いずれも昨季の国内リーグの成績は4位である。リールのホームゲームは仮住まいが定着してしまったビルヌーブ・ダスクのリール・メトロポール競技場、早く本来の本拠地で欧州カップを戦いたいところである。リールにはローラン・ブラン新体制となったフランス代表に2人の選手を送り込んでいる。アディル・レミとヨアン・カバイエである。フランスリーグの初代王者であるリールはかつては多くの代表選手を輩出したが、1980年代以降は途絶えてしまい、レミとカバイエは30年ぶりにこのチームが生んだ代表選手である。ところがカバイエは本調子ではなくベンチからのスタートとなる。
1万5000人の観衆を集めたホームゲームであったが、リールは調子が出ず、11分に先制を許し、34分にも追加点を許してしまう。ホームで2点のリードは予期せぬ展開であった。そして39分にリールのルディ・ガルシア監督はこの試合が今季初出場となりリズムに乗ることができなかったステファン・デュモンをあきらめ、ベルギー代表のエデン・アザールを投入する。このアザール投入が試合の流れを変える。後半に入って57分にピエール・アラン・フローが反撃のゴール、そして、73分にはカバイエも投入したが、同点ゴールは遠く、結局1－2とリールは初戦を落としてしまったのである。
■1982年ワールドカップ準決勝の舞台、セビリア
そしてパリサンジェルマンはグループHでこちらも初戦は第1シードのセビリア（スペイン）が相手である。リールと異なるのはアウエーでの試合であるということ、そしてキックオフの時間が21時5分とリールでの試合が終わったころに始まる。
セビリアの本拠地はサンチェス・ピスファン競技場、フランス人にとっては忘れられない1982年ワールドカップの準決勝のフランス－西ドイツ戦の舞台である。スペイン代表も不敗神話を誇るこの競技場に3万人の観衆があるまった。2006年、2007年とUEFAカップを連覇している強豪チーム相手のアウエーゲームとあってパリサンジェルマンは守りを固めてカウンターアタックに活路を見出すというホームアンドアウエー方式の定石で戦った。
■堅守速攻の定石通りの戦いで勝利したパリサンジェルマン
試合は予想通りセビリアが攻め、パリサンジェルマンが守るという構図になった。前半は両チーム無得点、残り45分にセビリアは何点取ることができるのか、パリサンジェルマンはこのままのスコアで逃げ切ることができるのか、という展開になった。そして76分、ペギー・リュインデュラのセンタリングをブラジル人のネネが左足でシュートし、パリサンジェルマンは敵地の1点を守りきり、幸先よく第1戦を白星で飾ったのである。（この項、終わり）
