第1201回 早くも大荒れのフランスカップ (3) 格下のチーム相手に大苦戦したナンシーとブレスト

■下位のリーグのチーム相手に負け越した初日と2日目の1部勢

 例年ジャイアントキリングが話題となるフランスカップのベスト32決定戦、1月7日から始まったが、1試合だけ行われた初日の7日にはトゥールーズが敗れ、32試合のうち22試合が行われた土曜日の8日には1部勢が15チーム登場したが、そのうち勝ち抜いたのはわずか7チームにしか過ぎなかった。もちろん、1部勢同士の戦いでリーグ上位のパリサンジェルマンに敗れたランス、リヨンに敗れたカーンはリーグ戦でも低迷し順当な結果であるが、下位のリーグのチームと対戦した11チームのうち過半数の6チームが敗れ去った。最初の2日間の1部勢で格下のリーグのチームとの対戦成績は、5勝7敗と2つも負け越してしまっている。

■早くもジャイアントキリングのタイ記録に並ぶ

 過去のベスト32決定戦のジャイアントキリングの歴史を紐解くと、1部勢が9チーム姿を消したのがこれまでの記録である。1999年と2003年がそれに該当する。今年の場合、まだ4チームが登場していない段階で過去の記録に並んでしまった。また、下位のリーグのチームに1部勢が敗れたのもこれまでの記録は2003年の7チーム、これまた4チームがまだ戦っていない段階でタイ記録になってしまった。
 今年のベスト32決定戦は例外的に1試合だけ15日に行われ、実質的な最終日は8試合が行われる8日の日曜日である。
 この8日に登場する1部勢を時間ごとに紹介すると、14時30分にナンシーがアウエーで4部に相当するCFAのオーリャックと対戦、15時からはブレストが6部に相当するDHのイッシー・レ・モリノーとアウエーで対戦、17時45分にはレンヌがナショナルリーグのカンヌを迎え、そして1部勢20チームのしんがりとして20時45分から始まる結びの一番に登場するのは昨年のリーグチャンピオンであるマルセイユであり、2部のエビアンの本拠地を訪れる。
 つまりこの日登場する4チームはいずれも下位のリーグのチームと対戦するわけであり、首尾よく4チームがそろって勝利すれば1部リーグとして不名誉な記録はタイ記録にとどまる。

■ナンシー、2点のリードを守れず、PK戦で辛勝

 プレッシャーの中でナンシーはオーリャックに乗り込む。オーリャックは今年のフランスカップは4回戦から登場し、8回戦まで5試合勝ち抜いてきたが、5試合とも相手は6部に相当するDH以下のチームばかりであった。したがってこれが初めてのプロチームとの対戦である。ナンシーは昨年もフランスカップではジャイアントキリングにあい、足元をすくわれないように気を引き締める。
 そして、ナンシーは前半に2点を先行して、楽勝かと思われたが、今年のフランスカップは1部勢が受難である。オーリャックは52分と58分にかつてニースにも所属したことのあるカメル・ラルビが連続ゴールをあげて追いつく。試合は120分間戦ってもその後両チームノーゴール、PK戦でベスト32の座をかけて戦うことになった。ナンシーのGKはかつてニースでラルビのチームメイトでもあったダミアン・グレゴリニ、主将でもあるグレゴリニが活躍し、ラルビがPKを失敗し、ナンシーは薄氷の勝利となったのである。

■6部のチーム相手に大苦戦した姿をテレビ中継されたブレスト

 イッシー・レ・モリノーも3回戦から登場、初戦となる3回戦こそPK戦による勝利であったが、オーリャック同様、ここまでの6試合の相手がいずれも格下というドローにも恵まれた。さらに恵まれたのはこのホームゲームがテレビ中継される。テレビ中継もあることからブレスト出身のミス・フランスが試合前のセレモニーに姿を現した。そしてブレストも格下のチーム相手に苦戦し、両チーム無得点のまま延長戦に突入する。延長前半の99分にブレストがようやく決勝点をあげて1部の意地を見せた。
 このようにナンシーもブレストもかなり下のレベルのリーグのチーム相手に大苦戦しており、2部のチームと戦うレンヌ、マルセイユの戦いが注目されたのである。(続く)

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