第1204回 ファイナリストが決まったリーグカップ (2) 欧州カップ組、ジャイアントキリングを阻止
■欧州カップ組6チームがシード
前回の本連載では今季のリーグカップにおいて、7月から8月にかけて行われた1回戦と2回戦で3部リーグに相当するナショナルリーグ勢が活躍し、9月に行われたベスト16決定戦ではナショナルリーグや2部のチームが1部のチームを次々と倒し、夏から秋にかけてジャイアントキリングが続出したことを紹介した。このリーグカップは新年に行われたフランスカップのベスト32決定戦の伏線となっていたといえよう。
ただし、このリーグカップは1部リーグのチームにシード制を設けている。1部20チームのうち欧州カップに参戦している6チームがシードされ、9月下旬に行われたベスト16決定戦を戦うことなくベスト8決定戦から参戦する。欧州カップは9月の中旬に2試合予定され、欧州カップ出場チームの負担を減らすために、シードされている。
チャンピオンズリーグを戦っているマルセイユ、リヨン、オセール、そしてヨーロッパリーグを戦っているパリサンジェルマンとリール、そして予備戦3回戦で敗れてしまったモンペリエもシードされている。昨季のリーグ5位までのチームとフランスカップで優勝した昨季リーグ13位のパリサンジェルマンがシードされ、10月下旬に行われるベスト8決定戦から参戦する。
■シード6チームのうち3チームが2部以下のチームと対戦
このシード6チームのうちモンペリエを除く5チームはチャンピオンズリーグあるいはヨーロッパリーグのグループリーグと並行した日程でこのリーグカップを戦うことになる。9月28日に組み合わせ抽選が行われたが、昨季のリーグ上位4チームはお互いに対戦しないようにシードされた。しかしながら、リヨンとパリサンジェルマンが参戦した初戦で激突するという組み合わせが生まれてしまった。また、リールも1部のカーンとの対戦となった。それ以外のチームはマルセイユがギャンガン、オセールがバスティアとナショナルリーグ勢、モンペリエが2部のアジャクシオとの対戦となる。
欧州カップを戦っているチームにとっては3週連続して平日に試合を行うことになり、このリーグカップはその第2週目となる。
■マルセイユ、虎の子の1点を守りきり初戦突破
10月26日にはモンペリエが2部のアジャクシオを迎え、2-0と順当な勝利でスタートする。
ジャイアントキリングという意味で注目のナショナルリーグの2チームが欧州カップ組のマルセイユ、オセールに挑戦する試合は10月27日に行われた。マルセイユはチャンピオンズリーグではスパルタークモスクワ(ロシア)、チェルシー(イングランド)に敗れているが、国内リーグでは持ち直し、チャンピオンズリーグのグループリーグでも第3節でジリナ(スロバキア)に勝利しており、上々の成績の中でギャンガンに乗り込む。ところが、満員のファンの声援を受けたギャンガンが試合を支配し、マルセイユは苦戦する。
しかしながら、前半終了間際の43分、ガーナ代表のアンドレ・アユーが値千金のゴールを決める。マルセイユは途中でステファン・エムビアとエデュアルド・シセの2人を負傷退場で欠くという厳しい試合だったが、この1点を守りきり、初戦を突破したのである。
■オセールは完勝、警備員1人が負傷
そしてもう1チーム、ナショナルリーグのクラブの挑戦を受けたのがオセールである。オセールはチャンピオンズリーグでは「死のグループ」に入り苦戦している中で、バスティアをホームに迎える。この試合でオセールは序盤の8分に先制点を決めると、24分にも追加点をあげ、バスティアが後方からのタックルで27分に1人目の退場、36分に2人目の退場をしたこともあり、圧倒的に有利に試合を進め、後半にも2点を追加して4-0と大勝し、2部以下のチームと対戦した3チームはすべてベスト8に進出したのである。
なお、オセールでの試合にはバスティアから200人近くのサポーターが押し寄せ、警備員とのトラブルがあり、警備員1人が負傷するという事件があった。リーグカップの存在意義が問われている中で、下位のリーグのチームが上位のチームと対戦する際にサポーターが熱狂できるということはうれしいことであるが、警備員との小競り合い、そして負傷ということは決して許されることのない事実であろう。(続く)