第1220回 決勝トーナメントが始まった欧州カップ (3) フランス勢は4チームとも第1戦はドロー
■ジェルラン競技場で3連敗、無得点のレアル・マドリッド
過去の対戦成績でレアル・マドリッド(スペイン)を圧倒するリヨンは、グループリーグで2位だったこともあり、ホームで第1戦を戦う。ホームアンドアウエーのノックアウト形式の場合、第1戦をホームで迎えるというのは不利と言われているが、昨年もホームの第1戦で勝利したのはリヨン、マドリッドでの第2戦をドローに持ち込むなど、近年の直接対決の成績からリヨンは自信を持ってスペインの名門チームを迎える。
レアル・マドリッドのジェルラン競技場での戦績は3戦全敗、さらに1ゴールもあげることができない、完封負け続きである。試合は前半、リヨンがペースをつかんだが、ゴールは奪えず、両チーム無得点のままハーフタイムを迎える。
■フランス代表のカリム・ベンゼマ、古巣相手に先制点
後半に入るとレアル・マドリッドの動きが見違えるように変化する。レアル・マドリッドのアルゼンチン代表アンヘル・ディ・マリアをリヨンのブラジル代表のミシェル・バストスがとめることができず、ファウルを犯してしまう。ミシェル・バストスはイエローカードをもらい、累積警告でマドリッドでの第2戦は出場停止となる。このFKをクリスチャン・ロナウドが直接ゴールを狙うが、ゴールポストに阻まれる。そしてレアル・マドリッドのドイツ代表のメスト・エジルのCKからスペイン代表のセルヒオ・ラモスがヘディングでゴールを狙うが、今度はバーに嫌われる。ワールドカップで活躍した各国代表クラスの選手が活躍するレアル・マドリッドであるが先制点は皮肉なことにフランス代表のカリム・ベンゼマ、リヨンを古巣とするベンゼマは途中から出場し、65分に先制点を奪う。本連載で紹介した通り、代表チームでは活躍するが所属チームではさっぱりというベンゼマが代表チームの両雄であるウーゴ・ロリスの股間を抜くシュートを放つ。
ジェルラン競技場で初めてレアル・マドリッドに得点を許したリヨンは、終盤攻撃陣を投入し、83分にクリスからの浮き球をバフェタンビ・ゴミスのシュートがゴールに押し込み、同点に追いつく。勝利の欲しかったリヨンだが、引き分けで第2戦に臨むことになった。
■リーグ戦後半戦で5勝1分と好調のマルセイユ
そしてその翌日はマルセイユがベロドローム競技場にイングランドのマンチェスター・ユナイテッドを迎える。マルセイユは今年になってから初めての試合となるフランスカップのベスト32決定戦では2部首位のエビアンに不覚を取ったが、リーグ戦では5勝1分と無敗であり、順位を3位まで上げている。タイトル剥奪となった1992-93シーズン以来、18年ぶりの決勝トーナメント出場に十分な上昇気流に乗ってマンチェスター・ユナイテッドを迎える。マルセイユはイングランド勢を得意としており、これまで決勝トーナメントでイングランド勢と4回対戦し、そのうち3回は勝ち抜いている。一方のマンチェスター・ユナイテッドも同様にフランス勢を得意としており、チャンピオンズリーグでのアウエーゲームを苦にしないというデータも残っている。
■マンチェスター・ユナイテッドの堅守を崩せずスコアレスドロー
しかし、マルセイユのフランス代表選手であるマチュー・バルブエナは昨年11月のイングランド戦で得点をあげており、ロイック・レミもこのイングランド戦に出場しており、精神的に優位な立場にある。このマルセイユの攻撃陣が堅守を誇るマンチェスター・ユナイテッドからゴールが奪えるかどうかが注目点となった。
そしていよいよ試合がキックオフされた。マルセイユは試合開始早々から攻勢を強めるが、得点を奪うことはできない。後半に入ってマルセイユはさらに攻撃的な布陣を敷き、マンチェスター・ユナイテッドも攻撃を仕掛けるが、マルセイユのスティーブ・マンダンダ、マンチェスター・ユナイテッドのエドウィン・ファン・デル・サールという両チームのGKが得点を許さずスコアレスドローとなる。
フランス勢4チームはいずれも引き分けで第1戦を終えたのである。(この項、終わり)