第1230回 ルクセンブルク、クロアチアと連戦 (3) 7年ぶりに対戦するクロアチア

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■東欧勢対策として選んだクロアチア

 昨年のワールドカップの際の練習ボイコットで処分を受けたパトリス・エブラ、とフランク・リベリーを復帰させ、2月のブラジル戦を欠場していたサミール・ナスリも起用するという攻撃的布陣でルクセンブルクと戦ったフランスであるが、2-0というスコアにとどまった。ファンはこの得点差が欧州選手権予選の順位に得失点差などに影響するという心配よりは、むしろチームの状態に対する若干の不安感を持ったであろう。
 そのルクセンブルク戦の4日後、フランスは地元に戻り、クロアチアと親善試合を行う。
この親善試合の相手にクロアチアを選んだのは、東欧勢としてフランスと同じグループDのルーマニア、ボスニア対策である。2年前のワールドカップ予選でもフランスはセルビアに首位の座を譲り、アイルランドとのプレーオフに回っている。東欧勢対策という点からクロアチアを相手に選んだわけであるが、クロアチアは欧州選手権予選ではグループFで3勝1分と首位を走っていたが、3月26日にアウエーとはいえグルジアに0-1と敗れており、首位に座をギリシャに奪われている。

■今でも語り草となるクロアチアとの初対戦

 クロアチアとフランスはこれまでに4回対戦しており、フランスが3勝1分と負けなしの成績を残している。最初の対戦は1998年ワールドカップの準決勝である。地元開催と言っても前評判の高くなかったフランスと初出場のクロアチアが準決勝に進出すると大会前に予想したファンは多くなかった。この試合ではクロアチアが先制し、フランス危うしと思われたが、フランスの危機を救ったのがリリアン・テュラムの2ゴールである。フランス代表歴142試合という数字を誇るテュラムであるが、DFということもあり、あげた得点はわずか2得点であるが、いずれもこのクロアチア戦の後半の2得点なのである。
 この試合で忘れてはならないのが、フランスが2-1と逆転した直後の74分に現在の代表監督のローラン・ブランが退場処分を受けたことである。大会前の親善試合では主将を任されることもあったブランであったが、準決勝の退場処分で決勝戦のブラジル戦には出場することができなかったのである。

■最後の対戦は7年前の欧州選手権グループリーグ

 そして2度目の対戦は翌年秋の親善試合で、絶頂期にあったフランスはクロアチアをホームで3-0と一蹴する。さらに半年後はクロアチアのザグレブで親善試合を行い、この時もフランスが2-0と勝利する。そして4回目であり最後の対戦は本連載第344回と第345回で紹介した2004年欧州選手権のグループリーグでの対戦である。グループリーグ初戦を宿敵イングランドと戦い、後半ロスタイムの劇的な逆転劇で勝ち点3を獲得したフランスは第2戦のクロアチア戦に勝利すれば決勝トーナメント進出が決まるところであったが、この試合はクロアチアに2度のリードを許しながら2度追いつき、2-2のドローに終わる。フランスは最終戦のスイス戦に勝利してグループリーグを首位で突破したが、準々決勝で伏兵ギリシャに敗れ、ポルトガルの地を去ったのである。
 それ以来クロアチアとは7年ぶりの対戦となる。すでに2004年のポルトガルでの戦いを知っている選手は現在のフランス代表にはいない。逆にこの最後のクロアチア戦に出場した選手は6年前の1998年の初対決に出場した選手が、テュラム、ファビアン・バルテス、マルセル・デサイー、ジネディーヌ・ジダン、ダビッド・トレゼゲ、ティエリー・アンリと6人もいる。

■4年ぶりの檜舞台での活躍を期すクロアチア

 フランスのファンにとっては1998年のワールドカップ準決勝での印象が強いが、クロアチアは初めてのワールドカップで3位に入ったが、その後のワールドカップでは期待されながら良い結果を残すことができず、2010年大会は初めて本大会出場を逃している。
 欧州選手権もデビュー戦となった1996年大会でベスト8に進出している。2008年大会ではグループリーグで3戦全勝しながら、決勝トーナメント1回戦でトルコにPK負けしており、4年ぶりの檜舞台での活躍を狙っているのである。(続く)

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