第1253回 2010-11フランスリーグ・フィナーレ(1) 最終節まで目が離せないリーグ戦
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■優勝争い以外に繰り広げられる争い
混戦となった今季のフランスリーグであるが、前回までの本連載でご紹介したように、最終節を残してリールが57年ぶりの優勝を果たした。マルセイユがまさかの失速をしたことに加え、フランスカップ決勝も戦ったリールが順調に勝ち点を積み上げたことから、残り2試合となった段階でリールはほぼ優勝を確実なものにした。
リーグ戦に対してファンが注目するのは優勝争いだけではない。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグという欧州カップの出場権争い、そして2部への降格争いなども最終節まで目を離すことができない。
■チャンピオンズリーグ本戦出場権を獲得したマルセイユ
欧州カップ出場権をめぐる争いは2位以内のチームにチャンピオンズリーグ本戦出場権が与えられ、3位のチームにはチャンピオンズリーグの予備戦からの出場権が与えられる。そして4位から6位までのチームにヨーロッパリーグのチケットが与えられる。
2位争い、3位争い、6位争いが注目される。2位争いは残り2試合となった段階でマルセイユがリヨンと勝ち点6差をつけていた。すなわち、マルセイユはこの段階で1位リールとも、3位リヨンとも勝ち点6の差があった。リールとの関係でいうならばマルセイユは失速したように見えるが、3位リヨン、4位パリサンジェルマンに対しては着実に差を広げていたのである。そして前々回の本連載で紹介した通り、マルセイユはバランシエンヌとドロー、優勝争いという観点では痛恨のドローであったが、チャンピオンズリーグ出場争いという点では値千金のドローとなり、第35節で本戦への出場権を獲得したリールに遅れること2節でマルセイユもチケットを確保したのである。
■リヨンとパリサンジェルマンの3位争いは最終節にもつれ込む
さて、3位争いはリヨンとパリサンジェルマンの間で繰り広げられた。残り2試合の段階で、3位リヨンの勝ち点60、4位パリサンジェルマンのそれは2ポイント少ない58である。リヨンは第37節でホームで下位のカーンと戦い、最終節となる第38節はアウエーのモナコ戦である。
一方のパリサンジェルマンは第37節はホームでのリール戦、最終節はアウエーのサンテエチエンヌ戦である。前々回の本連載で紹介した通り、パリサンジェルマンはリールと引き分けたが、リヨンは残留の危機にあるカーン相手にスコアレスドロー、結局このフランスの二大都市にあるビッグクラブは勝ち点2差で最終戦をアウエーで迎えることになった。
■レンヌとソショーがヨーロッパリーグ出場決定
そして5位と6位はすんなりと決まった。残り2試合の段階で5位レンヌは勝ち点56、6位ソショーは勝ち点52、7位ロリアンが勝ち点49であり、レンヌはすでに6位以内を確保していたが、数字の上ではチャンピオンズリーグに出場する3位の可能性もあった。今回の東日本大震災で甚大な被害のあった仙台の姉妹都市レンヌ、レンヌでは様々な支援活動が繰り広げられた。そして、日本でも放送のあるチャンピオンズリーグにレンヌが出場すれば、被災地の人たちに大きな希望と勇気を与えることができるであろう。そのような意気込みでレンヌはナンシーを迎えた。相手のナンシーはシーズンを通じて17位を維持している。18以下の3チームが降格するので、17位というのは降格すれすれのところである。しかし18位のチームとは勝ち点でわずかに1差、アウエーのレンヌ戦で難とか勝ち点をあげたいところである。
チャンピオンズリーグ出場の可能性のあるレンヌと残留をかけたナンシーの戦いはどちらが上位チームか、どちらがホームチームなのかわからない展開になった。レンヌは全く元気がなく、ボールは試合するものの、シュートはわずか4本、一方のナンシーは攻撃陣が好調で、次々とレンヌのゴールにシュートを放つ。前半に1点をあげたナンシーは後半のロスタイムにも追加点をあげ、2-0で勝利する。ふがいない敗戦を喫したレンヌは試合後は地元ファンからの猛烈なブーイングを浴びたのである。
そしてソショーは、サンテエチエンヌを迎え、2-1と競り勝ち、ロリアンがニースに敗れたため、今世紀に入ってから4回目となる欧州カップ出場を決めたのである。(続く)