第1258回 フランス代表の東欧3連戦(3) ベラルーシ戦は痛恨のドロー

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今予選で唯一の黒星はホームのベラルーシ戦

 今年のフランスサッカーのシーズン最後のイベントとなる東欧3連戦、その最初の試合がベラルーシとの欧州選手権予選という大一番となった。ベラルーシについては本連載第1148回と第1149回で昨年9月にスタッド・ド・フランスで行われた試合について紹介したが、フランスは試合を支配しながらもセルゲイ・キスリャクのゴールによって0-1と敗れている。フランスとベラルーシの対戦はこれまでにこの1試合だけであり、フランスはベラルーシに負けたことしかない。さらにこの敗戦は今回の欧州選手権予選でフランスの唯一の黒星である。

■フランス戦勝利後に躍進したベラルーシ

 スタッド・ド・フランスでフランスに勝利したベラルーシは、当時はフロックと思われたが、その後もルーマニアに引き分けるなど、グループDではフランスと勝ち点4差の2位につけている。また昨年11月にはオマーンと親善試合を行い4-0で勝利したことは同じアジアの日本の皆様ならばよくご存じのことであろう。FIFAのランキングも昨年9月の78位から今年2月には36位まで上昇している。3月下旬にはアルバニア、カナダに敗れ、現在の世界ランキングは53位である。しかしながら、半年で25位も順位をあげたベラルーシ、しかも本拠地での戦いは要注意である。
 ベラルーシは多数の選手が負傷のためメンバーから外れており厳しい戦いが予想される。先発メンバーのうち4人が代表歴一桁というメンバーでフランスに挑む。一方、主将は30歳のベテランでこの試合が代表70試合目というセルゲイ・オメリアンチュクである。そしてこの若手の多いメンバーを率いるのが東ドイツ出身のベルント・シュタンゲである。シュタンゲ監督は2004年2月にイラク代表を率いて日本を訪問していることから日本の読者の皆様はよくご存じであろう。ベラルーシ代表監督に就任したのは2007年7月のことであり、就任5年目を迎える今年は欧州選手権、ワールドカップ予選を通じて初めての予選突破を勝ち取りたいところである。フランスにホームゲームで勝利すれば、勝ち点差で1に迫ることができる。

■21歳でストッパーの先発メンバーとなったママドゥ・サコ

 ベラルーシの本拠地はミンスクのディナモ競技場である。2万人の観衆で満員となる。フランス代表のメンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、アディル・ラミ、ママドゥ・サコ、エリック・アビダル、守備的MFは右に主将のアルー・ディアラ、左にアブー・ディアビ、攻撃的MFは右にフローラン・マルーダ、左にフランク・リベリー、中央にサミール・ナスリ、1トップはカリム・ベンゼマである。昨年9月の先発メンバーと比較すると半数以上の6人が入れ替わっている。
 サコはこれが代表2試合目であるが、デビュー戦のイングランド戦は途中出場であり、これが初めての先発となる。21歳のストッパーの先発はフランス代表の歴史で3番目に若い。1番若いのがパトリック・バティストン、2番目がマキシム・ボッシと並べばサコの輝かしい将来が期待できる。

■試合を支配するもドロー、2回の対戦で白星なし

 しかし、サコにとってはつらい初先発となった。20分には相手のFKからアビダルがオウンゴールで、先制を許してしまう。フランス代表としては2009年9月のルーマニア戦のジュリアン・エスクーデが記録して以来のこととなる。しかし、フランスは22分に右サイドに回ったマルーダがサーニャとワンツーパスで前進、最後はベンゼマからのパスを受けてマルーダが同点ゴールを決める。先制点を奪われると弱いのがこのところのフランスであるが、この同点ゴールで逆転は確実と思われた。圧倒的にボールを支配するがなかなかシュートまで持っていくことができず、ハーフタイム。ハーフタイムにはボールボーイがピッチの上でサッカーを始めるという牧歌的な光景が繰り広げられる。
 後半もフランスは試合を支配するが、昨年9月の再現となり、負けこそしなかったが引き分けに終わる。フランス代表が2試合以上戦い、白星がないのはこのベラルーシだけである。東欧3連戦の第1幕は重い幕開けとなったのである。(続く)

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