第1266回 2011年女子ワールドカップ(4) マリー・ロール・デリーのゴールで初戦は勝利
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■開幕前に行ったベルギーとの連戦は連勝
近年、力をつけ、クラブレベルでもリヨンが欧州王座になったフランスの女子サッカー、ワールドカップに向けてベルギーと親善試合を2試合行った。第1戦はベルギーのニューポートで6月15日に行われ、55分にフランスは先制されたが、その2分後にはCFのマリー・ロール・デリーが同点ゴール、そして終盤の84分にはデリーが勝ち越し点を奪い、フランスは2-1と勝利する。
第2戦は18日にフランスのカレーに舞台を移して行われた。ブルーノ・ビニ監督は前日に先発メンバーを発表し、壮行試合とあって4000人以上の観衆が集まった。不動のCFに入ったデリーがこの地元での試合でも13分に先制点を決める。18分にはCKをベルギーの守備陣が処理にもたついたところをカミーユ・アビリーが追加点。そして圧巻は前半終了間際である。39分、41分とデリーが連続ゴールをあげハットトリックを前半で達成する。
58分にデリーはベンチに下がったが、フランスのゴールラッシュは止まらない。60分にエロディ・トミス、67分にはルイーザ・ネシ、さらに69分にはサンドリーヌ・ブレティニィがゴールをあげ、終わってみれば7-0という大量得点差の試合となった。このゴールラッシュのイメージを保ったままフランスのイレブンはドイツ入りする。
■ドイツが一歩飛び出し、カナダと2番手を争うフランス
グループリーグではグループAに入る。グループAは2連覇中で、地元開催で3連覇を目指すドイツが中心である。そして北中米カリブ海からのカナダ、アフリカのナイジェリアと言うメンバーである。大会前の予想ではドイツの力がずば抜けており、2番手として世界ランキング6位のカナダと7位のフランスが争う。そしてナイジェリアは世界ランキングも27位であり、他の3チームとは力の差がある。世界ランキングの上位国の顔ぶれは、1位米国、2位ドイツ、3位ブラジル、4位日本と大陸が分散しているが、アフリカやブラジル以外の南米などのレベルは低く、ここもまた男子との大きな違いであろう。
■初戦の相手はアフリカのナイジェリア
フランスは開幕戦でナイジェリアと対戦する。昨年の男子のワールドカップでは大会初日にフランスはウルグアイと対戦しスコアレスドロー、そこからチームの分解が始まった。最大のライバルであるカナダとの対戦は第2戦、ナイジェリア相手に完勝してカナダ戦に弾みをつけたいところである。アフリカ王者のナイジェリアであるが、大会前はオーストリアを起点として親善試合を行い、ワールドカップに出場しない中央勢と対戦し、チェコには勝利したものの、オーストリア、スロバキアとは引き分け、アフリカと欧州のレベル差を痛感している。
■攻守の中心、ローラ・ジョルジュとマリー・ロール・デリーの活躍
6回目のワールドカップの開幕戦はフランスに近いジンスハイムのライン・ネッカー・アリーナである。大手IT企業が設立したクラブチームであるTSG1899ホッフェンハイムの本拠地である。試合前には男子の代表チームからのビデオメッセージを見て士気を高揚する。気温30度とやや高い温度の中でキックオフされた試合は上下青でストッキングが赤と言うフランスが序盤から攻撃を重ねる。しかしながら、なかなかフランスはゴールチャンスを演出することができない。逆に劣勢と見られていた白いユニフォームのナイジェリアが攻め込むシーンが何度か見られる。このナイジェリアの攻めを封じ込めたのがストッパーのローラ・ジョルジュである。この日が代表99試合目と言うリヨンのストッパーは「岩」という愛称の通り、ストッパーらしい働きをする。ストッパー不足に泣く男子にはうらやましい限りである。
そして後半に入り、フランス待望の先制点が生まれた。ゴールをあげたのは冒頭のベルギーとの親善試合2試合で5得点をあげたデリーである。ゴール前で特殊な才能を見せるデリーのゴールでフランスはスコアの上では苦労しながら初戦で勝ち点3をあげたのである。(続く)