第1288回 ラグビーワールドカップ、30人の代表が決定(2) アイルランドに連勝、30人のメンバーを発表
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■イタリア戦の敗戦後、ベテラン選手を追放
6か国対抗では3月12日のイタリア戦で1点差とはいえ、初黒星を喫したフランス。フランスにとって残された試合はホームでのウェールズ戦のみ、このウェールズ戦に向けてマルク・リエーブルモン監督はベテラン選手をメンバーから外す。圧倒的な人気を博すナンバー8のセバスチャン・シャバル、本連載でも何度も登場した得点源のヤニック・ジョージオン、FBのクレモン・ポワトルノーなどのベテランに対し、リエーブルモン監督は「もう2度と代表に呼ばれることはないだろう」と断言する。
ローマの悪夢のちょうど1週間後に7万9000人以上の観衆を集めた満員のスタッド・ド・フランス、イタリア戦と5人を入れ替えたフランスは3トライをあげ、ウェールズをノートライに抑えて28-9と完勝する。3勝2敗でイングランドに次ぐ2位の座を保ちはしたが、リエーブルモン監督のベテラン外しは国内の大きな議論を呼ぶことになった。リエーブルマン監督は2007年の就任以来、多くの選手を起用し、選手選出に一貫性がないという批判が絶えなかったが、今回はレギュラーとして定着しているメンバーをワールドカップ半年前になって追放してしまった。
■5月に選出された32人
ワールドカップイヤーの今年、フランス代表は3月の6か国対抗終了後は、8月まで試合がない。5月のシーズン終盤の段階でフランスはワールドカップに向け32人の代表候補選手を発表した。
FWは18人、BKは14人が選出されただ、やはりジョージオン、シャバル、ポワトルノーの名前はリストから外されていた。プロップは6人が選出され、ファビアン・バルチェロ、トマ・ドミンゴ、ジャン・バプティスト・プー、リュック・デュカルロン、ニコラ・マス、シルバンマルコネ、フッカーはウィリアム・セルバ、ディミトリ・サルゼウスキーの2人、ロックはパスカル・パペ、ジュリアン・ピエール、ロマン・ミロシュルスキ、リオネル・ナレの4人、フランカーとナンバー8の第3列はジュリアン・ボネール、イマノル・アリノルドキ、ティエリー・デュソートワール、フルジャンス・ウドラオゴ、ラファエル・ラカフィア、ルイ・ピカモールの6人である。ラカフィアは最年少の22歳で代表歴はなく驚きの選出である。
BKは、スクラムハーフはモルガン・パラとディミトリ・ヤシビリ、スタンドオフはダビッド・スクレラとフランソワ・トラン・デュックとそれぞれ2人が選ばれる。センターはファブリス・エストバネ、マキシム・メルモス、ダビッド・マルティ、オーレリアン・ルージェリの4人、ウィングとフルバックのバックスリーはアレクシス・パリソン、バンサン・クレルク、マキシム・メダール、ヨアン・ウジェ、セドリック・エイマン、ダミアン・トライユという6人である。
この中には負傷中の選手もおり、5月下旬の代表合宿に出場しない選手もいたが、リエーブルモン監督は追放したベテランを呼び戻すことなく、合宿を終え、8月の親善試合に臨んだ。
■ボルドーとダブリンで行われたアイルランド戦に連勝
親善試合の相手はアイルランド、13日にボルドー、1週間後の20日にはアイルランドのダブリンとホームアンドアウエーで戦う。13日のボルドーでの試合、フランスは22歳のラカフィアが代表にデビューする。フランスは春先の6か国対抗に続き、19-12と勝利する。 そして20日、フランスはダブリンでワールドカップ前最後の試合に臨む。この連戦は選手のセレクションが目的であるため、ボルドーでの第1戦と先発メンバーは大幅に入れ替わり、13人が新たな先発メンバーとなる。フランスは骨折により戦列を3か月離れていたルージェリを起用し、アイルランドはボルドーでの試合で出場しなかったブライアン・オドリスコルをそれぞれセンターで起用する。また、フッカーはセルバが負傷から復帰ならず、サルゼウスキーが第1戦に続いて先発する。フランスはアイルランドに26-22と連勝した。
■2人のプロップが外れ、ニュージーランド行きの30人が決定
この翌々日に30人のメンバーが発表された。マルコネとドミンゴという2人のプロップがニュージーランド行きのリストから外れた。マルコネは35歳、代表84回の大ベテラン、プロップとしてはフランス代表史上最多キャップを誇るが涙を飲む。そしてドミンゴは練習中の負傷が大会までに間に合わないと判断された。
フランスのワールドカップ初戦は9月10日、相手は日本である。(この項、終わり)