第1307回 欧州選手権予選フィナーレ (1) 攻撃陣のキープレーヤーを欠く最終決戦

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■勝ち点1差で首位をキープしているフランス

 欧州選手権予選は昨年9月に始まり、初戦のベラルーシ戦で敗れ、どうなることと思われたフランス代表であるが、その後持ち直し、首位をキープしたまま、最後の10月の2試合を迎えることになった。
 さて、この段階での順位と上位陣の残り試合をさっそく確認しよう。首位はフランスで勝ち点17(5勝2分1敗)、それを王委はボスニア・ヘルツェゴビナで勝ち点16(5勝1分2敗)、3位がルーマニアで勝ち点12(3勝3分2敗)、4位が残り1試合のベラルーシで勝ち点12(3勝3分3敗)、5位はアルバニアで勝ち点8(2勝2分4敗)、最下位が残り1試合のルクセンブルクで勝ち点4(1勝1分7敗)である。数字の上では3位のルーマニアまでにプレーオフ出場権のある2位以内の可能性が残されている。
 また、上位陣の残り試合はフランスが10月7日にホームでアルバニア、11日にホームでボスニア・ヘルツェゴビナと対戦、2位のボスニア・ヘルツェゴビナは10月7日にホームで最下位ルクセンブルクと対戦、11日にアウエーでフランスと対戦する。3位のルーマニアは10月7日にホームでベラルーシ、11日にアウエーでアルバニアとの対戦となる。

■注目の大一番は7日のフランス-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦

 数字の上では3位のルーマニアにまで可能性があると先述したが、ルーマニアが2位以内に入るためには1位のフランスと2位のボスニア・ヘルツェゴビナのいずれかが残り2試合を連敗し、ルーマニアが連勝しなくてはならない。しかしフランスとボスニア・ヘルツェゴビナはいずれも7日に下位チームとホームで対戦するため、ルーマニアの2位以内の可能性は少ないであろう。 フランスとボスニア・ヘルツェゴビナは本大会出場あるいはプレーオフ出場権のある2位以内はほぼ手中にしているが、2位になった場合は11月にプレーオフを戦わなくてはならない。プレーオフではUEFAの発表する国別ランキングでフランスは上位にあることから、プレーオフに回った場合はシード権を得ることが予想されるが、2年前のアイルランドとの2010年ワールドカップのプレーオフでの苦い経験を考慮すれば、ぜひとも1位になりたいところである。
 そしてこの上位2か国を7日にホームでの対戦を済ませてから、11日に直接対戦し、おそらくはここで雌雄を決することになる。したがって、どうしても注目すべきは11日のフランス-ボスニア・ヘルツェゴビナ戦になってしまうが、フランスはその前の7日のアルバニア戦で確実に勝ち点3をあげておけば、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は引き分けに持ち込めばよい。

■10月の決戦に臨む23人

 この10月の連戦に向けてローラン・ブラン監督は23人のメンバーを発表した。GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、セドリック・カラッソの3人、DFはパトリス・エブラ、エリック・アビダル、ユネス・カブール、アントニー・レベイエール、アディル・ラミ、ローラン・コシールニー、マチュー・ドビュッシーの7人、MFはアルー・ディアラ、ヤン・エムビラ、サミール・ナスリ、フローラン・マルーダ、ヨアン・カバイエ、マルバン・マルタン、マチュー・バルブエナ、ジェレミー・マチューの8人、FWはジェレミー・メネス、ケビン・ガメイロ、ロイック・レミー、バフェタンビ・ゴミス、ジブリル・シセの5人である。

■負傷者続出の中で悩むローラン・ブラン監督

 頭の痛いことに負傷者が続出した。なんといっても痛いのはブラン監督になってからこの1年間、1トップとしてゴールを量産してきたカリム・ベンゼマがメンバーに入れないことである。さらにフランク・リベリーも負傷により離脱、ゴールゲッターと攻撃の起点となるコンビがメンバーに入ることができなかった。さらにはサイドバックのバカリ・サーニャも負傷している。このほかにヨアン・グルクフ、フィリップ・メクセスなども負傷からカムバックすることができなかった。
 そしてメンバー入りした23人も体調が万全というわけではない。アビダル、コシールニー、ガメイロは負傷を抱えながらの代表入りであり、11日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦をターゲットとするのであれば、7日のアルバニア戦は大事を取ってメンバーから外れるであろう。このようなことも考慮し、ブラン監督は7日のアルバニア戦のメンバー、システムを決定したのである。(続く)

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