第1321回 米国、ベルギーと親善試合(1) 最後にプレーオフを逃したベルギー

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■プレーオフ開催予定日に行う親善試合

 来年、ウクライナとポーランドで開催される欧州選手権、フランスはボスニアヘルツェゴビナとの直接対決を引き分けでしのぎ、グループ首位の座を守って本大会出場を決めたことは本連載第1311回で紹介したとおりである。
 本選出場を決めたことにより、フランスは11月のプレーオフは免除となった。したがって、この日程を親善試合に充てることになり、フランス協会は早速動いた。プレーオフは11月11日と15日に予定されているため、この両日ともスタッド・ド・フランスが使用可能である。フランスの対戦相手は3パターン想定できる。第1にフランスと同様に欧州選手権予選でグループ首位となって本大会出場を決めた国、第2として欧州選手権予選でグループで3位以下になり、出場権を逃した国、そして3番目として欧州域外でこの日にワールドカップ予選などの予定されていない国である。

■予選トップ組との対戦かなわず、米国、ベルギーと対戦

 本来であれば、フランスと力量が拮抗しているであろう第1の欧州選手権予選突破組と対戦したいところであるが、9月の段階で予選突破を決めている国はすでにその段階からマッチメーキングに着手している。したがって、フランスは第2、第3のグループから対戦相手を探すことになった。
 その結果、11月11日には米国を迎え、11月15日にはベルギーを迎えることになった。ベルギーに関しては欧州選手権予選で2位に入ったチームと同等と考えるべきであろう。

■第4シード、連敗からのスタートから立ち直ったベルギー

 長い間、フランスのよきライバルとして対戦してきた「赤い悪魔」も近年は欧州や世界のひのき舞台からは遠ざかっている。今回の欧州選手権予選ではグループAに入る。グループAの第1シードはドイツ、第2シードはトルコ、第3シードはオーストリアであり、ベルギーは屈辱の第4シードである。これ以外に第5シードとしてカザフスタン、第6シードとしてアゼルバイジャンの間で争われた予選でベルギーは、昨年9月3日の初戦はホームでドイツに0-1と敗れ、9月7日のアウエーでのトルコ戦も2-3と連敗し、国民に失望感を与えたが、フランス同様、ここから挽回し、あわや、という活躍を見せる。10月に入り、カザフスタンとのアウエーの試合で2-0と勝利し、ホームでのオーストリアとの争いは壮絶な点の取り合いとなり、4-4というハイスコアでのドローとなる。
 年が明けて3月にはアウエーでオーストリアに2-0と勝利し、第3シードのオーストリアに勝ち越す。格下のアゼルバイジャンを4-1と一蹴する。シーズン終了を迎えた段階でベルギーの戦績は3勝1分2敗であるが、このグループAはドイツが圧倒的に強く、全勝をキープしている。2位に入れば最低限プレーオフへの出場が可能である。第3シードのオーストリアを蹴落としたベルギーにとって標的はこの時点で第2シードのトルコである。トルコは格下のアゼルバイジャン相手に黒星を献上しており、この時点で3勝2敗である。トルコとのホームでの戦いは6月7日、この試合は1-1のドローとなり、消化試合数が1試合多いベルギーは暫定で2位をキープ。

■秋の陣、熾烈な2位争いもドイツに敗れ、予選敗退

 9月、10月はベルギーとトルコの間で激しい2位争いが展開された。9月2日にトルコはカザフスタンに勝利、ベルギーはアゼルバイジャンにアウエーで引き分け、ここで逆転される。9月6日は、ベルギーは試合がなく、トルコはオーストリアとスコアレスドロー。
 いよいよ10月の2試合に両国の運命は委ねられた。10月7日にトルコがドイツに敗れ、ベルギーがカザフスタンを下し、ベルギーが勝ち点1差で2位に浮上する。最終日にベルギーはドイツとアウエーで対戦、トルコはアゼルバイジャンを迎え撃つ。全勝を狙うドイツは4日前のトルコ戦同様、勝利し、アゼルバイジャンに勝利したトルコが2位になった。
 ベルギーは十分にプレーオフに出場する力を持ちながら、予選で敗退したのである。(続く)

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