第1331回 欧州選手権組み合わせ決定 (4) 組み合わせに恵まれたフランス
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■4つのシードに分けられた参加16か国
欧州選手権の本大会の組み合わせ抽選は12月2日にウクライナのキエフで行われるが、参加16か国は前回の本連載で紹介した通り、4つのレベルのシードに分けられ、 第1シードはポーランド、ウクライナ、スペイン、オランダ、 第2シードはドイツ、イタリア、イングランド、ロシア、第3シードはクロアチア、ギリシャ、ポルトガル、スウェーデン、第4シードはデンマーク、フランス、チェコ、アイルランドとなった。
■地力に劣る共同開催2か国が第1シード、下位シードに強豪国
今回の欧州選手権は前回大会同様、共同開催で、しかもその開催国は強豪国ではない。ポーランドのFIFAランキングは66位、ウクライナは55位である。前回紹介した通り、予選を突破してきた14か国の中で最低のFIFAランキングはチェコの33位であるため、この両国は開催国でなければ、2012年の欧州選手権に出場することは不可能であったであろう。
第1シードには今大会出場国で一番強い2チームと1番弱い2チームが同居しているため、第2シード以下のチームにとっては開催国との対戦を望んでいる。一方、第2シードの中でもドイツは今大会の予選は10戦全勝、イタリアも8勝2分とともに無敗で本大会出場を決めており、通常であるならば第1シード入りして全く不思議はない実力のチームである。第2シード以外のチームにとって避けたいチームであることは事実である。さらに、本番に弱いFIFAランキング7位のポルトガルや同8位のクロアチアも第3シードに甘んじているが対戦を避けたい相手である。
■「死のグループ」に入った2008年大会のフランス
このように第1シードとなる開催国の実力が予選を経て出場するチームに比べて著しく劣ることによってシード順が実力通りになっていないのは前回の2008年大会と同様である。本連載の第791回で紹介した通り、前回大会はスイスとオーストリアの共同開催であったが、両国はシード順をつけたならば、出場16か国で最下位とブービーとなり、今回と同じ構造である。さらに2008年大会は前回優勝国を第1シードとし、2008年大会時点では力量的には第3シードにしかならないギリシャも第1シードとなった。
第1シードは1強(オランダ)3弱(スイス、オーストリア、ギリシャ)となり、フランスは運の悪いことにオランダと同じグループに入る。さらに通常であれば第1シードに入るべきだが、第2シードに格下げとなったイタリアもフランスと同じグループに入る。第3シードからはルーマニアが入るグループDは「死のグループ」となり、その結果として、フランスは本大会では1分2敗と言う成績に終わっている。
■幸運に恵まれたフランス、強豪との対戦を回避
12月2日はまず第1シードから順に抽選が行われた。開催国のポーランドはグループA、ウクライナはグループDに入ることがあらかじめ決まっており、抽選の結果、オランダがグループB、スペインがグループCに入った。
続く抽選は第4シード、フランスは幸運にもグループD、開催国のウクライナと同じグループとなり、スペイン、オランダとの対戦を回避することができた。不運に泣いたのはグループBに入ったデンマークと、グループCでスペインと対戦するアイルランドである。チェコはウクライナのグループDに入る。
第3シードの抽選に移る。ポルトガルやクロアチアとの対戦を避けたいところであるが、ポルトガルはグループBとなり、オランダ、デンマークとの対戦となる。グループCを引いたクロアチアもスペイン、アイルランドと同グループとなる。グループAにはギリシャが入る。そしてフランスのグループDには第3シード以上でフランスよりもFIFAランキングで唯一下位に位置するスウェーデンが入り、拍手で歓迎される。
残るは第2シード、ドイツ、イタリアとの対戦を回避したいと思う中で、これら2チームは最も手ごわい相手と対戦する。ドイツはグループB、オランダ、ドイツ、ポルトガル、デンマークと歴史に残る「死のグループ」を形成、イタリアもグループCとなり、スペイン、イタリア、クロアチア、アイルランドと厳しいグループとなる。グループAはポーランド、ロシア、ギリシャ、チェコと言うFIFAランキング一桁の国が不在の楽なグループとなった。
第2シードからグループDに入ったのは宿敵イングランド。ウクライナ、イングランド、スウェーデン、フランスと言うグループDの中で、FIFAランキングがフランスより上位なのは昨年の親善試合で勝利したイングランドだけである。フランスはよいくじを引いたと言えるであろう。(この項、終わり)