第1333回 ヨーロッパリーグ、決勝トーナメントへの道(1) 2位で折り返した国内首位のパリサンジェルマン
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■パリサンジェルマンとレンヌが出場するヨーロッパリーグ
前回の本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグに出場したフランス勢3チームの戦いを紹介してきたが、今回からはもう一つの欧州カップであるヨーロッパリーグについて紹介しよう。今季のヨーロッパリーグについては本連載第1290回でパリサンジェルマンとレンヌが本戦に出場することを紹介してからグループリーグの戦いについて紹介してこなかったのでまとめて紹介したい。
今年で3年目となるヨーロッパリーグの大会形式は48チームが本大会に出場、4チームずつのグループリーグに分かれホームアンドアウエーで各チーム6試合戦い、上位2チームが決勝トーナメントに進出する。また決勝トーナメントにはチャンピオンズリーグのグループリーグで3位になった8チームも加わり、32チームが出場する。
■第1シードのパリサンジェルマン、第3シードのレンヌ
グループリーグの組み合わせ抽選は各チームの欧州カップでの過去の戦績を数値化したUEFAインデックスで第1シードから第4シードまでに分けられ、パリサンジェルマンは参加48チーム中8番目の成績で第1シードに入り、レンヌは第3シードとなる。ちなみに第1シードの他の11チームであるが、インデックスの成績順に紹介するとトットナム(イングランド)、PSVアイントホーヘン(オランダ)、アトレチコ・マドリッド(スペイン)、スポルティング、ブラガ(以上ポルトガル)、シャルケ04(ドイツ)、ディナモ・キエフ(ウクライナ)、FCコペンハーゲン(デンマーク)、AZアズクマール(オランダ)、アンデルレヒト(ベルギー)、トウェンテ(オランダ)と言う顔ぶれである。ヨーロッパリーグのグループリーグは予備戦やプレーオフを勝ち抜いて出場してきた38チームと、チャンピオンズリーグのプレーオフに敗れて転戦してきた10チームに分かれるが、第1シード12チームのうち、チャンピオンズリーグのプレーオフで敗れて転戦してきたチームは2チームに過ぎない。第1シードのほとんどは強豪リーグの上位チームが中心であり、この上位チームの存在がこの第二の欧州カップを支えていると言えるであろう。
フランス勢の組み合わせであるが、パリサンジェルマンはグループF、第2シードのビルバオ(スペイン)、第3シードのザルツブルク(オーストリア)、スロバン・ブラチスラバ(スロバキア)と戦う。レンヌはグループI、第1シードのアトレチコ・マドリッド、第2シードのウディネーゼ(イタリア)、第4シードのシオン(スイス)と対戦することになったが、シオンはセルティック・グラスゴー(スコットランド)
■ヨーロッパリーグのプレーオフで上昇気流に乗ったパリサンジェルマン
パリサンジェルマンは、リーグ戦第1節でロリアンに敗れ、第2節ではレンヌと引き分け、公式戦未勝利のままで、ヨーロッパリーグのプレーオフでルクセンブルクのディフェルダンジュ03と対戦し、連勝する。この勝利が起爆剤となってその後は国内リーグでも3連勝し、国内リーグで順位を4位まで上げたところで9月15日にザルツブルクとホームで対戦する。調子の波に乗るパリサンジェルマンは3-1と幸先良い勝利をあげる。その後もリーグ戦では好調であり、9月24日に敵地でモンペリエを破ってリーグ首位に躍り出るが、この勢いを欧州の舞台で活かすことができなかった。9月29日のアウエーでのビルバオ戦は0-2と敗れてしまう。もっともこのビルバオ戦の直前にはモンペリエ、直後にはリヨンとリーグ戦では難敵と対戦することから、ビルバオ戦のアウエーでの敗戦はある程度仕方のないことであろう。
■国内リーグの勢いを持ち込めず、スロバン・ブラチスラバ戦はドロー
国内でリヨン、アジャクシオに連勝し、首位固めをして臨んだ10月20日のスロバン・ブラチスラバ戦はアウエーとはいえ勝利しておきたい試合である。スロバン・ブラチスラバは守備を固め、カウンター狙い。対するパリサンジェルマンは一方的に攻めるがなかなか得点できない。そしてパリサンジェルマンは5枚のイエローカードを受け、66分にクレマン・シャントム、80分にはシアカ・ティエネがそれぞれレッドカードを提示され、9人になってしまう。パリサンジェルマンは、試合を支配しながらスコアレスドローで勝ち点1を得たにとどまり、首位ビルバオと勝ち点差3の2位で折り返したのである。(続く)