第1335回 ヨーロッパリーグ、決勝トーナメントへの道(3) 4試合連続の先制点を守れないレンヌの苦闘
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■第1戦のウディネーゼ戦はアウエーで先制しながら逆転負け
前回の本連載では第5節のアウエーでのザルツブルク(オーストリア)戦のロスタイムの失点でパリサンジェルマンがピンチに陥ったことを紹介したが、もう1つのフランス勢であるレンヌもまた苦戦している。
レンヌはヨーロッパリーグの予備戦3回戦から参戦しているが、予備戦3回戦、プレーオフとも連勝し、9月からの本戦に臨んだが、強豪ぞろいのグループIでは苦戦続きである。初戦は第2シードのイタリアのウディネーゼ、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督が指揮を執ったことがあることから日本の皆様にとってはなじみの深いクラブであろう。国内リーグではこの時点でレンヌは5試合戦い、3勝1分1敗の5位とまずまずの位置にあったが、9月15日のアウエーでの試合は19分にモロッコ代表のユスフ・ハジが先制したものの、前半と後半のそれぞれ終盤に失点し、1-2と痛い黒星でスタートする。
■強豪アトレチコ・マドリッド相手に先制点を守れず
第2戦は第1シードのスペインのアトレチコ・マドリッドとの対戦である。1962年にカップウィナーズカップを獲得し、2010年には初代のヨーロッパリーグの覇者となっている名門を迎えての一戦、ロリアン通り競技場は2万5000人の観衆で膨れ上がる。第1節でセルチック(スコットランド)を下しているスペインの強豪に勝てば、レンヌは大きく前進する。前半は両チーム無得点であったが、後半に入って均衡を破ったのは56分、プレーオフのレッドスター・ベオグラード(セルビア)戦のヒーローとなったコロンビア代表のビクトル・モンターニョが先制点を奪う。2戦連続で先制点をあげたレンヌであったが、終了間際の87分に追いつかれてしまい、1-1のドロー。2戦終わった段階で勝ち点1の3位に低迷し、中盤を迎えることになった。
■幸運なオウンゴールを守れず、ドローに持ち込まれる
第3節と第4節はセルチック・グラスゴーとの連戦である。第4シードのシオン(スイス)の不祥事により代替出場してきたセルチック・グラスゴーもレンヌと同様に勝ち点1で中盤を迎える。この中盤戦では勝ち点4同士のアトレチコ・マドリッドとウディネーゼが対戦することから、レンヌはセルチック・グラスゴー戦で連勝すれば、大きくチャンスは広がる。
10月20日の第3節でレンヌはセルチック・グラスゴーを本拠地に迎える。直前のリーグ戦ではロリアンを2-0と下し、順位を5位に上げ、期待の中で、キックオフ。30分には信じられない展開でレンヌは先制する。レンヌのGKのコスティーユの蹴ったFKをセルチック・グラスゴーの左サイドDF車ドゥリがあろうことか、味方のゴールに蹴りこんでしまう。韓国代表の思わぬプレーでレンヌは先制する。しかし、この試合もまたレンヌは勝利することができなかった。70分にレンヌはFKから失点してしまい、またも先制点を守れず、1-1のドローとなり、グラスゴーのセルチック・パークに乗り込むことになったのである。
■開始2分の先制点も、逆転負け、最下位に沈む
11月3日、緑と白で塗りつくされたセルチック・パーク、レンヌは4試合連続の先制点を開始早々の2分に上げる。CKのチャンスにストッパーのアブー・マンガネがヘディングでゴール、ドーバー海峡を越えて駆け付けた約600人のファンを歓喜させる。しかし、この試合もまたレンヌは先制点を守れず、30分に追いつかれ、43分に逆転ゴールを決められる。追いつけばアウエーゴールの差で優位に立つチャンスのあったレンヌであったが、82分には3点目を奪われてしまう。この第4節を終えた段階で、レンヌは勝ち点わずかに2、最下位に沈んだのである。
第4節を終えた時点で勝ち点7でアトレチコ・マドリッドとウディネーゼが並び、勝ち点5のセルチック・グラスゴーが追う展開となったグループI、レンヌは上位相手の残り2試合を連勝しても、セルチック・グラスゴーの結果次第という苦しい状況に追い込まれたのである。(続く)