第1336回 ヨーロッパリーグ、決勝トーナメントへの道(4) レンヌ、パリサンジェルマン、相次いで敗退
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■残り2試合で厳しい状況になったレンヌ
前回の本連載では第4節を終了した時点でレンヌが、前々回の本連載では第5節を終了した時点でパリサンジェルマンが、それぞれピンチに陥ったことを紹介した。今回はフランス勢2チームがこの難局でどうなったかを紹介しよう。
まず、グループIのレンヌ、アトレチコ・マドリッド(スペイン)、ウディネーゼ(イタリア)という強豪相手の苦戦はある程度想定されたことであるが、代替出場の第4シードのセルチック・グラスゴー(スコットランド)相手に2試合で勝ち点を1しか上げることができず、字背水の陣となった。決勝トーナメント進出のためにはウディネーゼ、アトレチコ・マドリッド相手に連勝し、セルチック・グラスゴーの結果次第という厳しい条件となった。
■ミッシェル・プラティニ会長の前でスコアレスドローで敗退したレンヌ
11月30日、本拠地にウディネーゼを迎える。ロリアン通り競技場には1万7000人の観客が集まり、その中にはUEFAのミッシェル・プラティニ会長の姿も見える。かつてイタリアのユベントスでチャンピオンズカップを獲得したプラティニ会長の見守る中、レンヌに立ちはだかるウディネーゼのユニフォームはそのユベントスと同じ黒と白の縦じまである。
これまでの4試合ですべて先制点を奪っているレンヌであるが、この日は先制点を奪うような出足の良さはなく、前半は無得点、そしてウディネーゼも同様に無得点でハーフタイムを迎える。勝利が必要なレンヌのリズムを変えたのは55分に途中交代して入ってきたジョナタン・ピトロイパであった。ピトロイパはブルキナファソ代表で、今季ドイツのハンブルガーSVからレンヌに移籍してきた選手である。ピトロイパの加入により目を覚まし、赤いユニフォームのレンヌは組織的なプレーをするようになったが、結局ウディネーゼから得点を奪うことができず、0-0のスコアレスドロー、これでレンヌは決勝トーナメント進出が不可能となった。
■目の前の敵以外とも戦うパリサンジェルマン
そして12月14日、グループFのパリサンジェルマンはパルク・デ・プランスにスペインのビルバオを迎える。前々回の本連載で紹介した通り、この段階でグループFはビルバオがすでに勝ち点13で首位で決勝トーナメントに進出することを確定しており、スロバン・ブラチスラバ(スロバキア)が勝ち点1で最下位が決定、勝ち点7でパリサンジェルマンとザルツブルク(オーストリア)が並んでいる。ザルツブルクは最終戦は最下位が確定したスロバン・ブラチスラバとアウエーで対戦する。パリサンジェルマンとザルツブルクが同勝ち点で並んだ場合は両チームの直接対決の結果で決まり、1勝1敗、得失点差ゼロであるが、アウエーゴールの差でザルツブルクに決勝トーナメント進出となる。パルク・デ・プランスで勝利しても、ブラチスラバでの結果によってパリサンジェルマンの運命も決まる。
■終了間際の勝ち越しも実らず、パリサンジェルマンも姿を消す
直前のリーグ戦では連勝し、好調なパリサンジェルマン、パルク・デ・プランスの満員の観客の前でこの一戦に臨む。満員のパルク・デ・プランス、開始早々に先制点を奪ったのはビルバオであった。立ち上がりの3分に先制を許したパリサンジェルマンは21分にネネのFKからボールをつなぎ、最後はハビエル・パストーレがサイドキックで同点ゴールをあげる。さらに前半終盤の41分にはネネのCKからマチュー・ボドメルがヘディングでゴールネットを揺らして逆転し、1点リードしてハーフタイムを迎える。
気になるグループFのもう1試合であるが、スロバン・ブラチスラバが立ち上がりに2点先行するが、ザルツブルクが追いつき、2-2で折り返している。このままいけば、パリサンジェルマンが決勝トーナメント進出となるが、後半52分にザルツブルクが勝ち越しゴールをあげ、パリサンジェルマンにとって心配された展開となる。
さらにパリサンジェルマンは55分に同点ゴールを許してしまい、首の皮一枚となる。パリサンジェルマンはベンチからフランス代表のギヨーム・オアロ、トルコ代表のメブート・エルディングをピッチに送る。84分にネネがPKを失敗するが、85分にはエルディングのクロスが相手のオウンゴールを呼び込んで勝ち越し、さらにロスタイムにはネネがPKを獲得し、オアロが決めて4-2と突き放したが、ザルツブルクが3-2と逃げ切ったため、同勝ち点で並び、パリサンジェルマンもグループリーグで敗退となったのである。(この項、終わり)