第1338回 2部で苦戦するモナコとRCランス
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■2部リーグに注目が集まった2011年
日本では2部リーグに相当するJ2から昇格した柏レイソルがJ1で優勝、さらにクラブワールドカップでも世界4位となる快挙を収め、天皇杯の決勝が京都サンガとFC東京というJ2同士の対戦となり、2部リーグにこれまでない関心が集まっていると言えるであろう。
機を同じくしてフランスでも2部リーグへのファンの注目が集まった1年であった。
本連載でも紹介した通り、昨季の2部リーグは3部に相当するナショナルリーグから昇格してきたエビアンが優勝し、在位わずか1季で1部昇格と言う離れ業を遂げた。その一方で1部からはRCランス（Lens）、モナコという欧州カップでも活躍したチームが昇格初年のアルル・アビニョンとともに2部に降格してしまった。1部に昇格したのはエビアン、アジャクシオ、ディジョンという1部経験の少ないチームばかりであり、過年度に2部に降格したナント、メッスなども中位以下に低迷し、2部生活が続く。
■開幕から勝ち星に見放されたモナコ、最下位に低迷
この結果、今季の2部リーグは欧州カップで活躍した経験のあるモナコ、RCランス、ナント、メッスと言う顔ぶれがわずか3枚の1部復帰のチケットをめぐって争うことになった。シーズン前の予想ではモナコが1季で1部に復帰すると思われていたが、全くモナコにとっては不本意なシーズンとなった。リーグ戦開幕前に行われたリーグカップの1回戦でスダンに1-4と敗れたことについては本連載第1274回で紹介した通りであるが、リーグ戦が開幕しても勝ち星から見放され、初勝利をあげたのは第8節のことであった。同じく降格してきたアルル・アビニョンに1－0と勝利するが、その後も勝ちとは縁がなく、第10節で最下位に陥落する。2部リーグも1部リーグ同様20チームで行われるが、フランスカップやリーグカップの日程と重なり、試合消化がやや遅く、年が変わる段階で18節までしか終了していないがこの段階でモナコは1勝10分7敗と言う成績で勝ち点13で最下位のままである。
■RCランスも元気がなく15位に低迷
そしてモナコのすぐ上の順位の19位はアルル・アビニョンである。昨季1部リーグで歴史的な悪い成績を残し、2部に降格したアルル・アビニョンであるが2部に落ちても状況は変わらない。第8節でモナコに敗れてからは1勝3分6敗と目も当てられない状況で、3勝6分9敗で勝ち点15、モナコとは勝ち点2差しかない。
この両チームは昨年のグルノーブルのように2部降格初年でナショナルリーグ降格と言う不名誉な状況を継承してしまうかもしれないのである。
またRCランスも元気がない。リーグ戦では連敗スタート、9月中旬には連勝して順位を一桁まで戻したが、10月は1勝もできず、18試合終えた段階で6勝4分8敗の勝ち点22ノ15位と低迷している。そしてフランスカップも初戦に当たる7回戦で敗れ、リーグカップでも初戦はエビアンに勝ったが、ベスト8決定戦でマルセイユに0－4と大敗して姿を消している。
さらに、1部復帰を望むファンの多いナントも7勝4分7敗で11位、メッスも8勝3分7敗で8位と中位をさまよっている。
■首位になった創立100周年のクレルモン
このような状況で順位表の上位を占めるのは、10勝4分4敗で勝ち点34のクレルモンが首位である。前身のクラブからカウントすると今年創立100周年を迎えたチームであるが、1部でのプレーの経験はなく、初昇格を狙う。2位はオールドファンには懐かしいスタッド・ド・ランス（Reims）が10勝3分5敗の勝ち点1差で追っている。スタッド・ランスは1950年代のフランスサッカーを牽引したチームであり、第1回のチャンピオンズカップの準優勝チームである。さらに勝ち点30で並んでいるチームが2つあり、得失点差で3位になっているのがバスティア、今季ナショナルリーグから2部に復帰したばかりのチームであるが、1978年にはUEFAカップで準優勝している。そして4位はスダンである。
■モナコを救えるか、ロシア人富豪のドミトリー・リボロフレフ氏
このようにみると、昇格や降格がチームにプラスまたはマイナスの効果を与えているということができるだろう。そして成績不振のモナコにはロシア人の富豪であるドミトリー・リボロフレフ氏が買収するというニュースが年末に飛び込んできた。はたしてロシアン・マネーが名門の窮地を救えるのであろうか。（この項、終わり）
今年の入稿はこれが最後です。本年もご愛読ありがとうございました。読者の皆様よい年をお迎えください。
