第1354回 フランスに寒波襲来、フランスリーグに影響
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■真上からの太陽のもとで行われているアフリカ選手権
先月末から本連載ではアフリカ選手権を紹介してきた。今回の開催国は赤道ギニアとガボンという赤道直下の国である。アフリカ選手権は、例年1月下旬から2月中旬にかけて開催されているが、欧州とは異なる熱い気候の中での戦いとなる。今大会の行われている赤道ギニアやガボンの気温は30度前後になり、例年にもまして熱い戦いが繰り広げられている。フランスをはじめとする欧州のクラブに所属している選手にとっては年末年始の中断から明けたばかりで気候の異なる環境での試合となる。しかし、選手は環境の変化を苦にせず、生き生きとプレーしている。
■欧州の寒波、フランスにも広がる
アフリカ選手権のため約60人の選手を派遣したフランスサッカー界であるが、彼らを送り出した直後の1月末から厳しい寒波が襲ってきた。今年は例年よりも寒さは厳しくないといわれていたが、1月末から気温が例年を下回るようになった。欧州の寒波はまず東欧を襲い、1月末からフランスなど西欧にも襲来、2月に入ってからフランスはほぼ全土が1日中氷点下という状態が続いている。東欧ではホームレスなどが多数この寒さのため死亡しており、フランスでもホームレスの収容のための特別施設の設置などの緊急措置を行い、イール・ド。フランスでは約4000人のホームレスを受け入れる体制が整っている。
■フランスの電力供給もピンチ
さて、この寒さで気になるのが電力の供給である。今回の寒波は東欧・中欧から広がってきたわけであるが、この寒波で欧州のエネルギー網に大きな混乱が生じている。エネルギーは国家の重要な戦略であり、旧ソビエト連邦時代は同じ国であったロシアとウクライナであるが、ソビエト連邦解体後は両国はエネルギー供給力で格差があり、エネルギー不足に直面するウクライナはロシアからエネルギー供給を受けるが、今回の寒波でロシアからのエネルギー供給が滞ったウクライナでは多数の凍死者を出してしまっている。
今回の寒波は大きな脅威である。暖房需要によるエネルギー消費はうなぎのぼりとなり、国内のガス需要は2月1日に過去最高の数値を記録した。ガス供給に関してフランスは、ロシアで生産されてウクライナを経由してくるガスを輸入しており、東欧における寒波の影響も受けているのである。
フランスは電力源を原子力に依存しているが、電力需要も逼迫し、ガス同様に過去最高の数字を更新する勢いである。フランスでこれまでの電力消費のピークは2年前の冬、2010年12月のことである。このときはピークを超える電力消費を避けるために、約200万世帯が計画停電となった。そして今回も特に送電網が発展していないブルターニュ、南仏での停電が危惧されており、週明けの2月6日の月曜日には過去最高の電力消費が予想されることから、フランスでは節電の呼びかけが行われている。
■寒波により、リーグ戦の開始時間の変更、試合の中断や延期
この寒波はもちろんサッカーの世界にも影響を与えている。2月4日と5日の週末にはフランス各地でリーグ戦が行われる予定であったが、1部リーグは土曜日の4日の夜と日曜日の5日の夜に夜に試合が予定されていたが、10試合のうちのサンテチエンヌ-ロリアン、ディジョン-バランシエンヌ、ナンシー-レンヌの3試合は試合開始を夜から気温のまだ高い昼の時間帯に早めた。しかしサンテチエンヌのジョフロワ・ギシャール競技場では氷点下4度という条件でキックオフされたが、試合開始10分で寒さのため試合が中断、延期となった。ソショー-リール戦、カーン-オセール戦も寒波によるグラウンドコンディション不良のため延期となった。
2部リーグは10試合のうち、2月3日夜に予定されていたアンジェ-モナコ戦、2月4日の昼に予定されていたラバル-メッス戦、ツール-ルアーブル戦、6日の夜に予定されていたルマン-ナント戦という西部の内陸部での4試合が延期となった。
この寒さ、いつまで続くのか。真夏の暑さの赤道直下で行われているアフリカ選手権をテレビ観戦していると、切に寒波の辛さを感じるのである。(この項、終わり)