第1356回 アフリカ選手権決勝トーナメント(2) ザンビアとコートジボワールが決勝進出

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■初めて開催国となった赤道ギニアとガボン

 前回の本連載はアフリカ選手権の開催国の赤道ギニアとガボンは準々決勝で姿を消してしまったが、前回の2010年大会も開催国のアンゴラは準々決勝で姿を消している。また共同開催は2000年大会(ガーナ、ナイジェリア)以来2回目のことであるが、このときはナイジェリアは準優勝、ガーナは準々決勝敗退であったが、ナイジェリアやガーナは実績のある国でガーナは3回目の開催、ナイジェリアは2回目の開催であったが、今回の赤道ギニアもガボンも初開催、それを考えてみれば準々決勝進出は評価できるであろう。

■準決勝で抜群の戦績を誇るガーナ

 セミファイナリストはコートジボワール、ザンビア、マリ、ガーナという顔ぶれになった。この中で今まで優勝経験があるのはコートジボワール(1992)とガーナ(1963、1965、1978、1982)の2か国であり、ザンビアとマリはこれまでの最高成績は準優勝である。過去の準決勝の進出回数は、ガーナが10回、コートジボワールが8回、ザンビアが5回、マリが4回となっているが、この中で準決勝にめっぽう強いのがガーナであり、これまでの10回の準決勝で敗れたのは1回だけである。それ以外の国は準決勝の相性は悪く、コートジボワールは2勝6敗、ザンビアは2勝3敗、マリは1勝3敗であり、これらの国にとって準決勝は鬼門である。

■不利という前評判を覆したザンビア

 さて、準決勝は2試合とも2月8日に行われ、赤道ギニアのバータではザンビアとガーナが戦い、ガボンのリーブルビルではコートジボワールとマリが対戦する。
 ザンビア-ガーナ戦はグループAで開催国の赤道ギニアを抑えて首位になったザンビアが移動なしで戦うとはいえ、ガーナが有利という試合前の予想であった。しかし、その下馬評を覆したのが前半8分のプレーであった。ザンビアはPKをガーナに与えてしまう。ペナルティスポットに立つのはアサモア・ギャン、アラブ首長国連邦のアルアインに所属していることから日本のファンの方々もよくご存じであり、2010年ワールドカップでの活躍は記憶に新しいところである。そして2010年のワールドカップは、大活躍の最後にウルグアイ戦の試合終了直前に獲得したPKの失敗で終わっている。ギャンはこのザンビア戦でも先制のチャンスでPKを任される。ギャンに立ち向かうザンビアのGKはケネディ・ムウィーン、2006年大会から今回まで4大会連続でザンビアの正GKとしてアフリカ選手権に出場している。ギャンはPKを失敗してしまい、この失敗がガーナには大きく影響する。PK失敗の直後にギャンは再びチャンスを得るが、得点はならず、試合は両チーム無得点のまま後半に突入する。
 後半に入ってもチャンスをつかむのはガーナであるが、たびたびシュートするものの得点には至らない。ガーナは主将のジョン・メンサーが負傷で退場する。そして意外なことに先制点は劣勢のザンビアであった。ハーフタイムから出場したエマニュエル・マユカが見事なゴールを決めて先制する。その後、ガーナは警告2回で1人選手を欠き、主力選手を次々に交代させるが同点に追いつくことはできず、ザンビアが1996年大会以来の準決勝に進出したのである。

■偉大なる10番の目の前で決勝点を入れた背番号10のジェルビーニョ

 もう1つの準決勝はコートジボワールとマリというフランスから独立した国がフランスから独立したガボンのリーブルビルで対戦する。赤道ギニアはスペインから独立した国であり、ガボンはフランスから独立した国であり、フランス色の強い一戦となった。
 試合を支配したのはオレンジのユニフォームのコートジボワール、ディディエ・ドログバ、ヤヤ・トゥーレという役者が惜しいシュートを放つが、得点には至らずスタンドからはため息が漏れる。この3万人の観衆の中にはペレとミッシェル・プラティニという偉大なる背番号10の姿も見える。そしてこの試合、試合を決めたのは背番号10であった。前半終了間際に、背番号10をつけたコートジボワールのジェルビーニョが前半終了間際に得点をあげ、この1点をコートジボワールは余裕で守りきり、2006年大会以来3回目の決勝進出となったのである。(続く)

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