第1363回 国内カップ戦でも好調なリヨンとマルセイユ(1) 苦しいカップ戦を勝ち抜いてきたリヨン
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスの国内三大タイトル
前回までの本連載ではチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の第1戦で先勝したリヨンとマルセイユを紹介したが、この両チームはフランス国内のカップ戦でも好調である。
フランスのチームにとっては、リーグ戦に、フランスカップ、リーグカップを加えたものが三大タイトルである。今季のフランス国内のタイトル争いについて、本連載では、フランスカップについては1部勢にとって初戦となるベスト32決定戦を1月に第1342回から1345回にかけて紹介し、リーグカップについてはシーズン開幕間もない7月の第1273回と第1274回で序盤戦、1月中旬の第1346回で準々決勝の模様を紹介している。
ファンにとってはリーグ戦あるいは欧州カップ戦が関心の中心であり、その合間をぬってフランスカップやリーグカップが行われているという印象を持ったファンが多いことは事実であるが、国内の三大タイトルであることは事実であり、力のないチームがジャイアントキリングを繰り返して上位進出することは不可能である。
■フランスカップ、リーグカップの試合が多数行われる1月と2月
2月末の段階でリーグ戦は38節あるうちの25節まで終了しており、約3分の2の日程を終えている。カップ戦であるが、フランスカップはベスト8が出そろっており、リーグカップは決勝進出チームが決定している。フランスカップについては1部勢は年初に行われたベスト32決定戦から参戦しており、2月の間にベスト32決定戦、ベスト16決定戦、ベスト8決定戦と3試合が行われた。また、リーグカップについては8月末に行われたベスト16決定戦から1部勢が参戦、さらに欧州カップ出場チームは10月末のベスト8決定戦から参戦している。リーグカップは1月中旬に準々決勝、さらに1月末日と2月1日に準決勝が行われている。
すなわち、年が明けてから1月と2月はフランスカップ、リーグカップの試合が多く組まれている。この国内の他のタイトル戦で力を見せつけているのがチャンピオンズリーグでも決勝トーナメントに残り、決勝トーナメントの第1戦でも先勝したリヨンとマルセイユなのである。
■カップ戦初戦はサンテチエンヌとのダービーマッチ
まず、リヨンであるが、リーグカップのベスト8決定戦はサンテチエンヌとのダービーとなる。10月26日にサンテチエンヌのジェフロワ・ギシャール競技場で行われた106回目のダービーマッチ、リヨンは前半の終盤にジミー・ブリアンが先制ゴールを決める。さらに後半に入ってもPKでミッシェル・バストスが追加点、試合終盤のサンテチエンヌの反撃を1点におさえて、勝利する。そして準々決勝は本連載第1346回で紹介した通り、昨年のリーグとカップの二冠王者のリールという難敵をホームに迎え、逆転勝ちしてベスト4に進出した。
リーグカップの準々決勝を終えてから待っていたのがフランスカップのベスト16決定戦である。相手はルション、4部リーグに相当するCFAに所属するチームである。バンデ地方にあるこのアマチュアチームはリヨンを迎えるためにナントのボージョワール競技場を借りてホームゲームを行う。1万5000人のルションのファンの声援を受けて戦う相手にリヨンは苦戦し、なかなかゴールをあげることができない。結局75分にフランス代表のバフェタンビ・ゴミがようやく得点をあげる。そしてロスタイムにはリサンドロ・ロペスの追加点でようやく安全圏に入り、準々決勝に進んだのである。
■延長戦で勝利したロリアン戦とボルドー戦
そしてリヨンにとって1月最後の試合がリーグカップ準決勝のロリアン戦であった。この試合は苦しい展開となった。ホームのロリアンが2点先制、80分を過ぎたところで2点のビハインドのリヨン。しかし、80分にアレクサンドル・ラカゼットが1点を返し、ロスタイムの94分にブリアンが同点ゴールを決めて延長戦に持ち込む。延長戦では前半にゴミが勝ち越し点をあげ、後半にラカゼットが追加点をあげ、4-2というスコアで決勝に進出したのである。
さらに一番苦しい試合が2月8日のフランスカップのベスト8決定戦のボルドー戦である。フランスカップでは組み合わせに恵まれたリヨンが初めてビッグクラブと対戦する。この試合先制点をボルドーに許す。リヨンは追いついたものの、勝ち越すことができず試合は延長戦に、延長戦でゴミ、ブリアンの連続ゴールで3-1でリヨンが勝利したのである。(続く)