第1386回 フランスカップに驚きのファイナリスト(5) クビリー、85年ぶりに決勝に進出
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ナショナルリーグで首位争いをするGFCOアジャクシオ
フランスカップ史上初めて、3部リーグに所属するチームが2チーム準決勝に残った。クビリー、GFCOアジャクシオの順に4強入りを果たし、ナショナルリーグ勢同士の準決勝対決もあるかと思われたが、準決勝の組み合わせ抽選は準々決勝最後のパリサンジェルマン-リヨン戦の際に行われ、GFCOアジャクシオ-リヨン、クビリー-レンヌとなった。
GFCOアジャクシオ-リヨン戦は4月19日に行われ、その翌日にクビリー-リヨン戦が行われる。直前のリーグ戦でルーアンに勝利し、ナショナルリーグで暫定首位となったGFCOアジャクシオはフランスカップには5回戦から参戦し、ここまで8勝して準決勝に進出した。年が明けて1部勢が参戦してからはベスト32決定戦でトゥールーズ、準々決勝でモンペリエという1部勢を下したほか、ベスト16決定戦では2部のトロワを破り、すでに力は2部以上といえるであろう。さらに年末に行われた8回戦からは5試合連続シャットアウト勝ち、この中には先述の3つのプロチームも含まれている。
■カップ戦二冠を狙うリヨンが後半にゴールラッシュ
対するリヨンはリーグ戦4位であり、春になってから調子をあげているものの、残り7試合で首位モンペリエとは勝ち点13の差があり、優勝は少々厳しいところである。しかし、リヨンは週末にはリーグカップの決勝を控えており、フランスカップとリーグカップのカップ二冠を狙っている。選手層が厚いこともあり、今季のリヨンはリーグ戦以外の国内外のカップ戦で好成績を収めている。
この日のリヨンで出色の出来だったのが右サイドのジミー・ブリアンである。このところレミ・ガルド監督のシステム変更により先発メンバーから外れていたブリアンであるが、この日は先発メンバーとしてチャンスを作る。この日は満員となったアジャクシオのフランソワ・コティ競技場の熱狂的なファンの応援でなんとかGFCOアジャクシオはリヨンの攻撃をはねかえすが、前半終盤の38分、アレクサンドル・ラカゼットへの背後からのタックルでアントニー・コリネが一発退場となる。前半は両チーム無得点だったものの、後半の59分にラカゼットのゴールで口火を切るとリヨンのゴールラッシュが始まり、リサンドロ・ロペス、グルニエ、バフェタンビ・ゴミスと得点し、リヨンが4-0と勝利し、フランスカップとリーグカップの決勝に進出した史上5度目のチームとなったのである。
■2年前にレンヌに勝利したクビリー
その翌日、クビリーがカーンのミッシェル・ドルナノ競技場にレンヌを迎える。実はこのカードは2年前のベスト8決定戦の再現であり、その時はルーアンで試合が行われ、クビリーが1-0と勝利している。本連載ではクビリーの過去のフランスカップでの活躍については紹介したが、逆にレンヌはカップ戦で下位のクラブに2たび敗れることが多い。2009年5月9日には決勝で当時2部のギャンガンに敗れ、その翌年にはリーグカップのベスト16決定戦でナショナルリーグに降格したギャンガンに敗れている。2006年12月にはリーグカップの準々決勝でスタッド・ド・ランスに敗れ、2011年にはフランスカップのベスト8決定戦でまたも敗れている。
■後半ロスタイムにクビリーが決勝点
そして今回も歴史は繰り返した。レンヌは8分にメブルート・エルディング、ジョナタン・ピトロワパという他国代表選手のシュートがこぼれたところをトップ下のジュリアン・フェレが得点し先制する。前半はレンヌが1点リードして折り返したが、クビリーは後半に入って63分、クロスをカリム・エルーアが決めて同点に追いつく。ここから試合はクビリーのものになる。延長戦かと思われた後半ロスタイムの93分、小柄なアントニー・ローがレンヌのストッパーのジョン・ボーイと倒れながらのシュート、レンヌのGKのブノワ・コスティルは届かず、決勝点となる。
クビリーは1927年以来85年ぶりの決勝進出となるが、1932年にフランスにプロサッカーが誕生してから1部リーグ以外のチームとして15回目の決勝進出となり、さらに3部以下のチームの決勝進出は5チーム目である。
4月28日のリヨンとクビリーの間の決勝が楽しみである。(この項、終わり)