第1393回 欧州選手権に向けて代表候補を発表(1) 12人の国外組を先行して発表

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■5月9日に国外のクラブの候補選手を発表

 シーズンも佳境を迎え、フランスのクラブにとって残るタイトル争いはリーグ戦だけとなった。6月からは4年に1回、オリンピックイヤーに行われる欧州選手権が行われる。今年もチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグで上位に進出できなかったフランスのサッカーファンは、ポーランドとウクライナで行われる欧州選手権での代表チームの活躍を今から楽しみにしている。
 シーズン終了後の6月8日に開幕する欧州選手権に向けて各チームは5月29日に最終メンバーを発表するが、ローラン・ブラン監督は5月9日に国外のクラブに所属している選手12人を候補として先行して発表した。

■他国よりもリーグ終了の遅いフランスリーグ

 フランスリーグは5月20日の日曜日に全日程が終了するが、フランス代表選手が所属する欧州の強国のリーグの日程はこれよりも早く終了するところが多い。イングランドのプレミアリーグ、イタリアのセリエA、スペインのリーガエスパニョーラは1週間早い5月13日、そしてドイツのブンデスリーガは2週刊早い5月5日に最終節が行われる。これらのリーグは、5月19日に決勝が行われるチャンピオンズリーグの決勝に自国のクラブが進出することを想定しているといえよう。しかし、もちろんこの早目の日程終了は欧州選手権に出場する選手にとっては好都合であろう。
 フランス代表となる選手を抱えるクラブがシーズン終了後に行う親善試合にフランス代表選手を帯同させないこと、十分に休養を取らせることなどを目的に国外のクラブの選手を先にリストアップしたわけである。

■12人の国外組のリスト

 その国外組の中から12人の選手が選ばれた。DFはフィリップ・メクセス(イタリア:ACミラン)、アディル・ラミ(スペイン:バレンシア)、ユーネス・カブール(イングランド:トットナム)、パトリス・エブラ(イングランド:マンチェスター・ユナイテッド)、ガエル・クリシー(イングランド:マンチェスター・シティ)、ローラン・コシエルニー(イングランド:アーセナル)の6人、MFはヨアン・カバイエ(イングランド:ニューカッスル)、フローラン・マルーダ(イングランド:チェルシー)、サミール・ナスリ(イングランド:マンチェスター・シティ)の3人、FWはフランク・リベリー(ドイツ:バイエルン・ミュンヘン)、カリム・ベンゼマ(スペイン:レアル・マドリッド)、ハテム・ベンアルファ(イングランド:ニューカッスル)の3人である。
 所属リーグはイングランドのプレミアリーグが8人、スペインのリーガエスパニョーラが2人、イタリアのセリエAとドイツのブンデスリーガがそれぞれ1人である。この12人全員が欧州選手権のメンバーとしてエントリーされるわけではないが、ほぼ半数の選手が国外のクラブに所属することになろうであろう。

■南アフリカ組以外で戦った2010年8月以来の招集となるハテム・ベンアルファ

 この中で最大の驚きはベンアルファであろう。チュニジア系のベンアルファは天才少年と注目を集め、若干15歳で黄金時代が始まったばかりのリヨンとプロ契約する。17歳で1部リーグの試合に出場し、2006年にはドイツワールドカップに出場するチュニジア代表からも声がかかったが、辞退している。ドイツワールドカップ後の2007年10月の欧州選手権予選のフェロー諸島戦で代表にデビューし、相手が弱く、6-0と大勝した試合だったとはいえ、代表デビュー戦でゴールを決めている。2008年の欧州選手権までに予選3試合、親善試合3試合に出場したが、スイスとオーストリアで行われた欧州選手権の本大会のリストから漏れている。
 その後は代表から招集されることがなかったが、1度だけチャンスが訪れた。2010年のワールドカップで大会期間中に練習をボイコットした選手は処分を受け、2010年8月のノルウェーとの親善試合は「南アフリカ組」以外で編成しなくてはならなくなった。このときにベンアルファはほぼ2年ぶりに代表に招集されている。この試合は1-2と敗れたが、フランスの1点はベンアルファのゴールである。
 2010年にマルセイユからニューカッスルに移籍したが、移籍直後の10月に骨折し、ほぼ1年後の2011年9月に久しぶりに試合に出場しており、今季は26試合に出場し、代表の候補メンバーに入ったのである。(続く)

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