第1397回 フランスリーグ、フィナーレ(3) パリサンジェルマンとモンペリエの激しい首位争い

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■クラブ関係者の6割はパリサンジェルマンの優勝を予想

 前回の本連載では勝ち点1差で迎えたパリサンジェルマンとモンペリエの首位攻防戦は終盤にパリサンジェルマンがギヨーム・オラオの今季初ゴールで追いつき、ドローに持ち込んだことを紹介した。首位を奪われなかったパリサンジェルマンであるが、ホームで勝ち点3を奪い、モンペリエとの勝ち点差を広げることができなかったのは痛恨といえよう。
 この首位攻防戦の直後、フランスのスポーツ紙であるレキップ紙は各クラブの会長、監督、選手を対象にどのチームが優勝するかというアンケートを実施している。それによると60%以上の会長、監督、選手がパリサンジェルマンの優勝を予想しており、勝ち点1差のモンペリエの優勝を予想する会長、監督、選手は25%程度であった。

■ホームで圧倒的な強さを誇るモンペリエ

 しかし、今季のモンペリエはホームゲームでは抜群の強さを誇る。25節を終了した時点でホームでは12戦して10勝1分1敗、一方アウエーでは5勝4分3敗である。これだけの成績をホームゲームで残すチームは欧州でも数少ない。
 一方のパリサンジェルマンであるが、ホームでは9勝2分2敗、アウエーでは6勝4分1敗であり、両チームを比較するとホームでの戦績はモンペリエに軍配が上がり、アウエーでの戦績はパリサンジェルマンが優位である。

■モンペリエが12月中旬以来の首位奪還

 さて、大一番を終えた両チームの次の試合はチャンピオンズリーグの準々決勝第1戦をはさみ、2月25日に行われる。テレビ中継の関係でパリサンジェルマンのキックオフは他のチームより遅く、21時にリヨンで対戦する。モンペリエは19時キックオフでボルドーをホームに迎える。チャンピオンズリーグの準々決勝に進出してもおかしくはないビッグクラブの対戦となった。
 まず、モンペリエは得意のホームゲームでボルドーを1-0と下し、暫定首位となる。そして21時からジェルラン競技場で行われたリヨン-パリサンジェルマンは想像を絶する試合となった。モンペリエ戦の救世主オラオを1トップの先発で起用し、21分にオラオが先制点、しかし、来季のチャンピオンズリーグの出場を目指すリヨンがここから3点を連取、3-1と逆転する。パリサンジェルマンは前半ロスタイムにネネがリヨンのマキシム・ゴナロンに倒され、PKを獲得、ネネ自らが決めて1点差で折り返す。しかし、後半に入って57分にリヨンはジミー・ブリアンのゴールで突き放す。2点のビハインドを追うパリサンジェルマンをサッカーの神様は見捨てなかった。73分、パリサンジェルマンのシュートをリヨンのアリ・シッソコがオウンゴール、そして長いロスタイムとなった94分、オラオがゴールを決めてパリサンジェルマンは、前週のモンペリエ戦に引き続き、ゴールの応酬となった試合の最後に追いつき、4-4のドローに持ち込んだ。
 しかし、この引き分けにより、パリサンジェルマンは3戦連続して引き分けとなり、昨年末以来維持してきた首位の座を明け渡すことになったのである。

■攻撃陣が次々得点、パリサンジェルマンが1週間で首位に返り咲き

 その翌週、パリサンジェルマンは首位を奪回する。次の第26節もモンペリエがパリサンジェルマンよりも先に試合を行う。モンペリエは下位のディジョンとアウエーで対戦。ディジョンには日系人のガエル・カクタや日本人の松井大輔が所属していることから日本の皆様はこの試合結果についてはよくご存じであろう。日本のファンの期待を背負ったカクタが先制点、モンペリエは終了2分前に追いつき、勝ち点1を積み上げるにとどまった。
 そしてその翌日の3月4日、パリサンジェルマンがホームにアジャクシオを迎える。満員のファンの前でハビエル・パストーレが先制点、メネス、オラオ、ネネが得点し4-1と完勝する。オラオはこの日も得点をあげ、ネネも後半戦だけで6得点、通算得点を13得点とし得点ランキングトップのジルーに3点差に迫った。勝ち点で1モンペリエを上回ったパリサンジェルマンは首位の座を奪い返し、モンペリエ戦直後のアンケート通りになるかと思われたが、両雄のマッチレースはまだまだ続くのである。(続く)

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