第1400回 フランスリーグ、フィナーレ(6) パリサンジェルマン、8年ぶりの大勝でモンペリエを追走
おかげさまで第1400回の連載を迎えることになりました。第1223回の連載を終えたところで、東日本大震災が発生しましたが、その後も日本の読者の皆様に支えられて、連載回数を重ねることができました。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読よろしくお願いいたします。
■首位争いをする2チームと4日間で連戦するマルセイユ
3月中旬からリーグ戦、フランスカップで勝ちから遠ざかっていたパリサンジェルマン、第31節でマルセイユに勝利し、勝ち点63でモンペリエと並んだ。この時点でモンペリエは第30節を消化しておらず、延期となった第30節はパリサンジェルマンに勝ち点で追いつかれた3日後の4月11日に敵地ベロドロームでマルセイユと戦う。すなわちマルセイユは4日間の間に2位と首位のチームと連戦し、首位攻防のキャスティングボートを握る立場にあった。この試合でモンペリエが4点差以上で敗れた場合、パリサンジェルマンは得失点差でモンペリエを上回り、首位の座が転がり込んでくる。
■パリサンジェルマンの例外的な祈りも通じず、マルセイユ完敗
この日はフランスカップ準決勝のクビリー-レンヌ戦も行われたが、モンペリエとマルセイユだけではなく、パリサンジェルマンのファンにとっても注目の一番となった。そしてパリサンジェルマンのファンにとっては最大のライバルのマルセイユの勝利を願わずにはいられない皮肉な試合となった。
しかしながら、パリサンジェルマンのファンの極めて例外的な祈りも、3月以降1試合引き分けただけで残りは全敗という極度のスランプに悩んでいるマルセイユには届かなかった。マルセイユは試合は支配し、シュートを放つものの、7分にディジミ・トラオレがペナルティエリア内でハンド、これをユネス・べルアンダがたやすく決める。マルセイユは33分にブランドンのパスを受けたエムビアがヘディングでシュートを決め同点に追いつくのが精一杯であった。後半に入ると、モンペリエがベロドロームを沈黙させる。オリビエ・ジルーが今季19点目のゴールで勝ち越し、70分にはジルーのパスをべルアンダが決めて3-1と勝利し、パリサンジェルマンに勝ち点で3、得失点差で6の差をつける。
■降格圏内のチームにアウエーで取りこぼした第32節
しかし混戦は続く。第32節はモンペリエもパリサンジェルマンも4月15日に試合を行ったが、モンペリエは18位のロリアンと17時キックオフ、パリサンジェルマンは最下位のオセールと19時キックオフとなる。両チームとも降格圏内のチームとのアウエーでの戦いとなったが、降格圏内のチームが首位争いをするチーム相手に地元で意地を見せる。まず、ロリアンはモンペリエ相手に2-1と勝利する。ライバルマルセイユのふがいない戦いによって首位が遠ざかったに見えたパリサンジェルマン、最下位のオセール相手に勝てば勝ち点で並び、スコア次第では首位奪還も夢ではない。パリサンジェルマンは23分にネネが先制点、試合も支配していたがシュートに結びつかず、逆にオセールのシュートの嵐となる。最低でも勝ち点3を獲得し、首位モンペリエに勝ち点で並びたかったパリサンジェルマンであるが、終了間際の86分、オセールのアントニー・ルタレックに同点ゴールを許し、勝ち点1を得るにとどまった。
■8年ぶりの大勝でモンペリエに得失点差で1差に迫ったパリサンジェルマン
続く第33節もモンペリエがパリサンジェルマンよりも先に試合を行う。土曜日の4月21日にバランシエンヌを迎えたモンペリエはスレイマン・カマラが5分に挙げた1点を守り、今年になってホームのリーグ戦は8戦8勝、地元ファンを歓喜させ、翌日に試合を行うパリサンジェルマンに勝ち点で5の差をつけたのである。
暫定とはいえモンペリエと勝ち点5の差、そしてチャンピオンズリーグの本戦出場を狙う3位リールは勝ち点2の差に迫るというプレッシャーの中でパリサンジェルマンは本拠地パルク・デ・プランスでソショー相手に今季最高の試合を魅せる。6分にハビエル・パストーレが先制点、12分にソショーにいったん追いつかれたものの、25分にチアゴ・モッタがネネのFKからヘディングで勝ち越し点を入れると、ジェレミー・メネスが追加点、ネネがさらに2点を加え、ハットトリックを達成、さらにロスタイムにはシルバン・アルマンがゴールを決めて6-1と大勝する。
パリサンジェルマンは勝ち点でモンペリエと2差、そして得失点差でも1差と迫ったのである。パリサンジェルマンがリーグ戦で6得点したのは8年ぶり、その時の相手はモンペリエ、首位争いは続くのである。(続く)