第1451回 欧州カップ開幕(1) リール、マルセイユ、ボルドー、プレーオフを勝ち抜く
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■チャンピオンズリーグのプレーオフから参戦するリール
前回まではワールドカップ予選でフランスがフィンランドとベラルーシに連勝したことを紹介したが、ナショナルチームに続いてクラブチームも国際試合が本格化し、9月の中旬からチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのグループリーグが始まった。
チャンピオンズリーグにはフランスからは昨季リーグのチャンピオンのモンペリエと2位のパリサンジェルマンがグループリーグから登場、3位のリールはプレーオフからの参戦となる。
プレーオフは8月下旬に10試合が行われたが、そのうち5試合は中堅国以下のリーグのチャンピオンチーム同士の対戦、残りの5試合は中堅国以上のリーグ上位チーム同士の対戦である。フランスリーグ3位のリールの相手はデンマークのコペンハーゲンである。コペンハーゲンは昨季のデンマークリーグでノアシェランに次いで2位、予備戦の3回戦から参戦し、ベルギーのクラブ・ブルージュを下し、本戦出場を目指す。
■悲願の新スタジアムがついにオープン、延長戦でリールが勝利
リールはコペンハーゲンよりもUEFAランキングで下位のため、コペンハーゲンがシード扱いとなり、本来ならば第1戦をリールで行う予定であるが、リールの新スタジアムのオープンによる影響で第1戦をコペンハーゲン、第2戦をリールで行うこととなった。8月21日のコペンハーゲンでの試合はコペンハーゲンが1-0と勝利し、8月29日のリールでの第2戦を迎える。リールは長年にわたる懸案であった新スタジアムのリール・メトロポール大競技場がようやく完成する。本来ならば今シーズンが始まる前に改選するはずであったが、度重なる工事の遅延により、こけら落としとなったのは8月17日のリーグ戦第2節のナンシー戦である。7万7500人の大観衆を集めて行われたこの試合で、リールはナンシーに先制を許すが、サロモン・カルーのゴールで追いつき、ドローに持ち込む。
このところチャンピオンズリーグのホームゲームでは勝利のないリールであるが、スタジアムも変わったことから、選手たちの意気は高い。満員の新スタジアムでの試合、ボール支配率は互角であるがシュートに持ち込む回数はリールがコペンハーゲンを圧倒した。そして前半終了間際の43分にルーカス・ディーニェがゴールをあげて、2試合通算成績でタイとなる。しかしここからリールは追加点が奪えず、90分立ったところで試合は延長戦へ。第2戦がホームとなったリールにサッカーの神様は微笑む。延長に入った105分にCKからブラジル人のデメロがゴールをあげて、2試合通算スコアを2-1とし、リールが本戦出場を決めたのである。
■8年連続で欧州カップ本戦出場のマルセイユ
一方、ヨーロッパリーグにはフランスからフランスカップ勝者のリヨンが本戦から、リーグカップ勝者のマルセイユが予備戦3回戦から、リーグ5位のボルドーがプレーオフから出場した。
マルセイユは予備戦3回戦でトルコのエスキシェヒルスポルを1勝1分で下し、プレーオフではモルドバのシェリフにも1勝1分で勝利し、8年連続の欧州カップの本戦出場を果たす。
■ロスタイムに劇的なゴールをあげたボルドー
ボルドーのプレーオフの相手はボスニア・ヘルツェゴビナのレッドスター・ベオグラード、8月23日のアウエーでの第1戦はスコアレスドロー、そして8月30日の本拠地シャバン・デルマス競技場での試合、前半のロスタイムに1点を奪われるという苦しい展開となった。後半に入って51分にヨアン・グフランのゴールで追いつくが、このままではアウエーゴール2倍ルールの適用により勝ち抜けない。71分にボルドーはジュスイエが勝ち越しゴールをあげるが、なんと89分に追いつかれてしまう。アウエーゴールの差により敗退かと思われたロスタイム、グフランがゴールをあげて、3-2と勝利し、ボルドーは本戦出場を決めたのである。
このようにプレーオフ、予備戦から今季の欧州カップに挑戦したフランス勢の3チームはすべて勝ち抜いたのである。(続く)