第1455回 欧州カップ開幕(5) 順調に初戦を終えたヨーロッパリーグのフランス勢
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■第1シードに名を連ね、国内リーグでも好調なフランスからの3チーム
前回までの本連載ではチャンピオンズリーグに登場したパリサンジェルマン、モンペリエ、リールのグループリーグの初戦の戦いを紹介してきたが、すべてのチームがホームで初戦を戦ったものの、勝利したのはパリサンジェルマンだけであり、モンペリエとリールは黒星でスタートとなった。
チャンピオンズリーグのフランス勢の初戦で負け越した翌日の9月20日、もう一つの欧州カップであるヨーロッパリーグのグループリーグが始まった。
フランスから出場しているのはマルセイユ、リヨン、ボルドーの3チームであり、いずれもチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグでの経験が豊富で、これらの成績を勘案して算定されるUEFA現在インデックスによるシード順では第1シードに入っている。
そしてこの3チームに共通するのは過去の欧州での実績だけではない、今季のフランスリーグの順位表を見てみるならば、リーグトップはマルセイユ、2位にリヨン、そして5位はボルドーと、いずれのチームも今季の成績もいい。参考までにチャンピオンズリーグに出場しているチームのリーグ戦での順位はパリサンジェルマンが4位、リールが11位、モンペリエが16位である。
■敵地でロスタイムに追いついたマルセイユ
国内リーグ5戦全勝のマルセイユだけがアウエーでの初戦を迎えた。かつてヨーロッパリーグを制したこともあるトルコのフェネルバフチェとの一戦は厳しい戦いとなった。マルセイユは積極的な攻撃を見せるが、先制点はフェネルバフチェ。フェネルバフチェは28分に先制点を奪い、後半に入って57分に追加点をあげて残り30分強で2-0とリードする。守りに入ったフェネルバフチェの壁を残り7分で破ったのがマチュー・バルブエナ、1点差に詰め寄ったが時計の針は90分を過ぎる。しかし、94分、満員の4万人を沈黙させるゴールをあげたのは後半早々にシュートがクロスバーをたたいたアンドレ・アユー。アユーの同点ゴールでマルセイユは初戦を2-2のドローに持ち込んだのである。
■安定した試合運びのリヨンは初戦勝利
リヨンはチェコのスパルタ・プラハをジェルランに迎える。チャンピオンズカップの最終年の1991-92シーズンにマルセイユを下し、マルセイユでは黒い水曜日と今でも語り継がれるが、国内リーグでは4勝1分と無敗のリヨンが圧倒する。リヨンは積極的に攻撃を仕掛けるが、スパルタ・プラハのGKの好守にはばまれ、なかなか得点をあげることができない。前半は両チーム無得点に終わるが、リヨンの攻撃陣で輝きを放ったのがバフェタンビ・ゴミスである。しばしばスパルタ・プラハのGトマーシュ・Kバツリークと1対1となる。ソノゴミスは59分にようやくゴールネットを揺らす。CKをファーポストからヘディング、1-0とスコアボードを動かす。これで呪縛から逃れたリヨンはその3分後、今度はゴミスがアシストし、リサンドロ・ロペスが追加点を決める。一方、スパルタ・プラハは77分に1点を返すが、リヨンは安定した試合運びで2-1と初戦を飾ったのである。
■今季最高の出来で大勝したボルドー
現在リーグ5位のボルドーも2勝3分と負けなしである。ボルドーはベルギーのクラブ・ブルージュを迎える。両チームとも訪日経験があることから日本のファンの皆様には身近な存在であろう。ボルドーは国内リーグでの好調さを維持し、クラブ・ブルージュを一蹴する。前半13分にルドビック・サネが先制点、27分位はヨアン・グフランが追加点をあげて、2-0とリードして折り返す。後半も立ち上がり早々にクラブ・ブルージュが47分にオウンゴール、さらに66分にはジュシェが4点目をあげる。一方のクラブ・ブルージュはシュートわずか1本と沈黙し、ボルドーが4-0と今シーズン最高の出来でヨーロッパリーグのグループリーグの初戦を飾る。
フランスから出場した3チームはランキングだけではなく、今季の好調さからも頂点に立つ可能性があると期待してよいであろう。(この項、終わり)