第1470回 諸聖人の休暇の風物詩、BNPパリバ・マスターズ(2) ベスト8に3人が進出したフランス勢
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス勢対決は第6シードのジョー・ウィルフリード・ツォンガが勝利
11月1日の諸聖人の日の週がプチバカンスとなったフランス、この短いバカンスの間にベルシーで行われるスポーツイベントがBNPパリバ・マスターズである。前回の本連載で紹介したとおり、フランスからは3人の主催者推薦を含む8人が本戦に進出し、不戦勝を含み8人全員が2回戦に進出した。
ブノワ・ペールは第15シードの日本の錦織圭に敗れてしまったが、同じ10月30日に行われた2回戦の注目カードがジョー・ウィルフリード・ツォンガとジュリアン・ベヌトーのフランス勢同士の対決である。第6シードのツォンガは昨年は準優勝、一方のベヌトーは昨年も主催者推薦で出場し、2回戦で米国のアンディ・ロディックに敗れている。30日の夜にセンターコートで行われたこの一戦、第1セットはツォンガが6-2と先取、第2セットは逆に6-4とベヌトーが取り、試合は最終セットに。最終セットも6-6となり、タイブレイクを制したのはツォンガ、4年ぶりの優勝に向けて第1戦を突破したのである。
■シード選手に勝利したミカエル・ロドラ
ペールもベヌトーもシード選手に敗れているが、2回戦フランス勢の多くはシード選手と対戦した。ポール・アンリ・マチューは第3シードの英国のアンディ・マリーと対戦、ストレートで敗れる。ジェレミー・シェルディは第14シードでカナダのミロス・ラオニッチと対戦、第1セットをタイブレイクの末奪うが、逆に第2セットはタイブレイクの末落としてしまう。最終セットも3-6と落としてしまい2回戦敗退となる。フランス人選手で唯一シード勢を倒したのがミカエル・ロドラである。ダブルスのスペシャリストとしての印象が強いが、元パリサンジェルマンのサッカー選手を父に持ち、シングルスでも上位に進出している。ロドラは第10シードで米国のジョン・イスナーをストレートで下し3回戦進出を決めた。
その他のフランス勢であるが、ジル・シモンは第1シードのロジャー・フェデラーの欠場により2回戦の対戦相手はラッキールーザーの選手となりストレート勝ち、3回戦で錦織と対戦する。また第12シードのリシャール・ガスケは2回戦で南アフリカのケビン・アンダーソンに競り負け、初戦で姿を消す。この結果3回戦にはツォンガ、ロドラ、シモンの3人が進出した。
■幸運に恵まれて8強入りしたノーシードのジル・シモン
勝てばベスト8となる3回戦は諸聖人の日となる11月1日に行われた。この段階ともなるとシード選手が目白押しである。シモンの3回戦の対戦相手は2回戦でペールを破った錦織である。しかし、錦織は負傷により棄権、シモンが不戦勝となり、8強入りする。シモンは2008年、2009年とシード入りしていたが、いずれもベスト8入りをかけた3回戦で他のシード選手に敗れ、8強入りできなかった。2回戦でのラッキールーザーとの対戦、3回戦での相手の負傷棄権と、運に恵まれて8強入りとなった。
■シード選手2人を倒して8強入りしたロドラ
一方、ロドラは対照的な道のりで8強入りする。ロドラは第7シードでアルゼンチンのフアン・マルティン・デルポトロと対戦する。デルポトロは195センチの長身選手でありながら、フットワークも軽快で、今年夏のロンドンオリンピックでは錦織を破った万能型の選手である。32歳でベテランとなったロドラは2回戦に続くシード選手との対戦となったが、ストレートで勝利する。シード選手2人を倒したロドラは、準決勝に進出した2010年以来2年ぶりの準々決勝進出である。
ツォンガは第11シードでスペインのニコラス・アルマグロとの戦いとなる。近年のテニス界で君臨しているスペイン勢であるが、この大会で優勝したことはない。ツォンガは2セットともタイブレイクを制し準々決勝に進出、ベスト8のうち3人がフランス勢となった。昨年の今大会で8強に入ったフランス人選手は準優勝したツォンガだけであった。バカンスの中盤を過ぎた時点でのフランス勢の大活躍にパリジャンは歓喜したのである。(続く)