第1478回 本年最終戦、イタリアとの親善試合(5) マチュー・バルブエナの活躍でイタリアに逆転勝利

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■新メンバーがなかなか定着しないフランス代表

 2010年の南アフリカのワールドカップではフランス同様にグループリーグで敗退したイタリア、前回のドイツでのワールドカップの決勝戦を争った両チームがそろってグループリーグで敗退したわけであるが、そこからイタリアは若手に切り替えたチームを編成し、欧州選手権では従来とは異なるチームカラーで決勝に進出した。
 一方のフランスは選手を交代させてはいくものの、なかなかその新しい選手が代表チームに固定しない、そこが課題である。先発メンバーのうち代表出場歴が20試合以上というのは、69試合のフランク・リベリー、46試合のパトリス・エブラ、42試合のウーゴ・ロリスだけである。残りのメンバーが最近代表入りしたというわけではなく、代表入りしてもなかなかその後継続して試合に出場しているわけではない。

■先発メンバー中10人がスペイン戦に出場

 しかし、この日の先発メンバーについて言えば、ヨアン・カバイエの負傷によって先発メンバーになったオリビエ・カプー以外の10人はマドリッドで引き分けたスペイン戦に出場している。特に守備陣に関して言えば、GKとDFは全く同じメンバーである。
 したがって、この日の出場選手はイタリア戦での活躍で、確固たる位置を築きたいところである。その中で期待されるのが、この日CFになったオリビエ・ジルーであろう。昨年、モンペリエのエースとして初優勝に貢献、そして今季はイングランドのアーセナルに移籍している。しかし、アーセナルではなかなか得点をあげることができず、出場7試合目のリーグカップでの3部チームとの対戦まで初ゴールはお預けであった。もっとも、フランスからアーセナルに移籍した大先輩のティエリー・アンリも初ゴールは9試合目のことであり、適応には時間がかかったのであろう。代表ではカリム・ベンゼマの控え選手というポジションであるが、10月は日本戦には先発出場したものの、スペイン戦は試合終盤にベンゼマに代わって出場し、貴重な同点ゴールをあげている。

■先制された直後にマチュー・バルブエナのゴールで追いつく

 スペイン、イタリアと強豪相手のアウエーゲームが続いたが、フランスはスペイン戦以上の試合運びをした。試合はフランスがボールを支配し、フランスのペースで時間が進む。しかし、先制点をあげたのはイタリアであった。35分、イタリアは、マリオ・バロテッリがサイドからリカルド・モントリーボにパス、モントリーボがステファン・エルシャーラウィにつなぎ、エルシャーラウィのシュートはウーゴ・ロリスの横を通り過ぎ、ゴールに吸い込まれる。
 しかし、フランスはすぐに同点に追いつく。マルセイユのマチュー・バルブエナがパリサンジェルマンのマルコ・ベラッティを抜く。さらにフェデリコ・バルザレッティもかわして、角度のないところからのシュートが決まる。この美しいシュートでフランスは同点に追いつく。バルブエナもジルー同様、日本戦は先発したが、スペイン戦は途中出場である。10番の位置でゲームメークを行うとともに、ゴールも狙う、そのような理想的なプレーをこの日は展開し、一気に株を上げた。

■途中出場のバフェタンビ・ゴミス、デビュー戦以来4年半ぶりのゴール

 一方、期待されたジルーは、この日は不調で、63分にバフェタンビ・ゴミスと交代する。このゴミスは出場して4分後の67分に左サイドのエブラからのパスを受け、逆転ゴールを決める。ゴミスはデシャン体制になってカムバックした選手であるが、途中出場が中心である。ゴミスの代表での得点はデビュー戦となった2008年5月27日のエクアドルとの親善試合以来、ほぼ4年半ぶりのことである。
 結局フランスは2-1とイタリアを下し、親善試合におけるイタリアとの相性がいいところを見せたが、ゲームメーカーとしてのバルブエナの才能、先制点を奪われても動じなかった精神力、ロスタイムのブノワ・トレムリナスの代表デビューが収穫であろう。フランスはこれでアウエーゲーム13戦連続無敗、今年最後の試合を勝利で飾り、次の試合は年が明けて2月6日にドイツをスタッド・ド・フランスに迎えるのである。(この項、終わり)

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