第1487回 欧州カップ、グループリーグ終盤戦(1) パリサンジェルマン、チャンピオンズリーグ決勝トーナメントへ
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■明暗が分かれたフランス勢
フランスからモンペリエ、パリサンジェルマン、リールの3チームが出場したチャンピオンズリーグのグループリーグ、これまでに本連載では11月初めに行われた第4節までの妙を紹介してきたが、昨季リーグチャンピオンのモンペリエは3位以下が確定、一昨季リーグチャンピオンのリールは最下位が確定と不本意な成績で残り2試合を迎える。一方、昨季リーグ2位のパリサンジェルマンは中盤戦でクロアチアのディナモ・ザグレブに連勝し、グループステージ突破に大きく前進する。
■第5節で引き分け以上で決勝トーナメントに進出の決まるパリサンジェルマン
パリサンジェルマンが属するグループAは残り2試合の段階で首位はポルトガルのポルト(勝ち点10:3勝1分)、2位はパリサンジェルマン(勝ち点9:3勝1敗)、3位はウクライナのディナモ・キエフ(勝ち点4:1勝1分2敗)、4位はディナモ・ザグレブ(勝ち点0:4敗)となっており、パリサンジェルマンは第5節のディナモ・キエフ戦で引き分け以上の成績を残せば、決勝トーナメント出場が決定する。
その決勝トーナメント出場をかけた試合は11月21日にキエフのオリンピックスタジアムで行われる。今年の欧州選手権でも決勝戦が行われた新しい巨大競技場である。ディナモ・キエフは通常はバレリー・ロバノフスキー競技場を使用しているが、ビッグゲームの時は本来はアーセナル・キエフが使用しているこの競技場を借用する。今季のチャンピオンズリーグもこのオリンピックスタジアムを使用し、大観衆の声援を受けてディナモ・ザグレブに勝利し、ポルトと引き分けている。
■リーグ戦の足踏み状態から脱したいパリサンジェルマン
そして勝ち点5差で迎えるパリサンジェルマン戦、3万6000人の観衆の前でキックオフされた。昨季ウクライナリーグ2位のディナモ・キエフは直前のリーグ戦でメフタルル・ドネツクに敗れており、ふがいない戦いをしたメンバーを入れ替えてこのパリサンジェルマンを迎える。一方、キエフに乗り込むパリサンジェルマンもホームでレンヌに敗れており、国内リーグでは3試合勝っていない。足踏み状態から抜け出すためにもキエフで勝利してリーグ戦でも抜け出したいところである。パリサンジェルマンは1994年を最後にリーグ優勝から遠ざかっているが、18年前に優勝した翌シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグでディナモ・キエフと対戦し、ホーム、アウエーとも勝利している。パリサンジェルマンもディナモ・キエフ同様、直前のリーグ戦とは4人メンバーを入れ替えての戦いとなった。
■移籍後初ゴールを決めたエセキエル・ラベッシが2ゴール
この試合、積極的に攻めたのはホームのディナモ・キエフであった。ディナモ・キエフの選手は果敢にパリサンジェルマンのゴールを狙うが、ここに立ちはだかったのがイタリア代表のサルバトーレ・シリグである。11月17日に行われたフランス代表との試合では敵役となったシリグであるが、この日のシリグは好セーブを連発、フランス人の心をとらえた。
そしてシュートの嵐を浴びていたパリサンジェルマンに好機が訪れたのは前半終了間際であった。今季のチャンピオンズリーグで得点を量産してきたズラタン・イブラヒモビッチがアシスト役に回り、エセキエル・ラベッシがディナモ・キエフのGKの頭上を越すチップキックで先制点をあげる。今季ナポリから移籍してきたアルゼンチン代表のラベッシは国内リーグ、チャンピオンズリーグを通じて初めてのゴールをあげる。これまで期待されながらなかなか得点をあげることができなかったラベッシは初ゴールまでの難産が嘘のように簡単に2得点目をあげた。
ハーフタイムをはさんで52分、ブレーズ・マツイディが相手のパスをカットし、ラベッシにパス、無人のゴールに簡単にゴールを入れる。
パリサンジェルマンはディナモ・キエフを2-0で下し、チャンピオンズリーグで通算4連勝となった。そしてこの1勝により、パリサンジェルマンで18シーズンぶりの決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)