第1496回 競り合う3強、勝ち点38で折り返す(3) ダービーマッチを制したリヨンを追うパリサンジェルマン

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスを代表するダービーマッチ、サンテチエンヌ-リヨン戦

 12月第2週の週末に行われたフランスリーグ第16節、ライバル関係にあるパリサンジェルマンとマルセイユは欧州カップのグループリーグの最終戦の流れをそのまま引き継ぎ、パリサンジェルマンは勝利したが、マルセイユはクラブ史上に残る大差での連敗となった。
 この第16節、ファンが最も注目したのはパリサンジェルマンでもマルセイユでもない。それはサンテチエンヌとリヨンの試合である。複数のプロチームのある都市のないフランス、ダービーマッチというとパリサンジェルマンとマルセイユというフランスを代表する大都市のクラブの対戦を想定される方も多いだろうが、両チームは地理的には遠く離れており、ダービーマッチとは言えない。日本においてライバル関係にある読売巨人軍と阪神タイガースの試合はダービーマッチとはいえない。
 このようなフランスにおける最大のダービーマッチはローヌ地方にあるリヨンとサンテチエンヌの試合である。サッカーはフランス全土で普及している競技であるが、あえてどの地域がサッカーどころかというとリヨンのあるローヌ県、サンテチエンヌのあるロワール県、このあたりが最もサッカーが盛んである。1960年代から1970年代にかけてフランスサッカーをリードした緑に軍団サンテチエンヌ、2000年代にフランスサッカーの盟主となったリヨン、両チームの対戦は今回が105試合目となった。

■注目は両チームのセンターフォワード

 この段階で首位リヨンと4位サンテチエンヌの勝ち点差は5、ホームのサンテチエンヌが勝利すれば一気に首位に近づき、首位戦線は混とんとしてくる。両チームの注目選手はセンターフォワードである。リヨンは連続試合得点中のフランス代表のバフェタンビ・ゴミス、そしてサンテチエンヌは23歳のガボン代表のピエール・エメリック・オーバメヤン。ゴミスはここまで10得点で得点ランキング2位、オーバメヤンは8得点で4位だが、得点に関しては決定力が高く、得点だけではなくアシストも多い。

■荒れる試合、ミッシェル・バストス復活の一撃

 急勾配が名物のサンテチエンヌのジェフロワ・ギシャール競技場はサンテチエンヌのファンだけではなくリヨンのファンも集まり注目の一戦を見守った。試合は互角の展開となったが、両チームとも得点源のセンターフォワードまでボールをつなぐことがままならず、ゴール前の攻防に乏しい試合となった。逆に後半55分、リヨンのムハマド・ダボがサンテチエンヌのマックス・アラン・グラデルに頭突きを見舞い、レッドカードで一発退場。1人少なくなったリヨンはその10分後、ミッシェル・バストスが25メートル以上の距離のあるFKを直接決める。途中出場してきたサンテチエンヌのアレハンドロ・アロンソが84分、85分と立て続けて警告を受け、出場10分未満で退場となり、人数的にも互角になり、リヨンが1-0と逃げ切ったのである。
 勝利したリヨンは勝ち点を34に伸ばす。2位のパリサンジェルマンと3位のマルセイユは勝ち点29で並んでおり、リヨンは前半戦3試合を残して2位に勝ち点で5の差をつけたが、残り3試合で混戦模様となった。

■得点王争いで独走するズラタン・イブラヒモビッチのハットトリック

 第17節はフランスリーグとしては珍しく平日に行われた。リヨンがサンテチエンヌを下した2日後には次節が始まり、パリサンジェルマンが登場する。パリサンジェルマンはアウエーでバランシエンヌとの対戦である。4日前にパルク・デ・プランスで4-0とエビアンを下したパリサンジェルマンの勢いは止まらなかった。正確には得点王争いで2位ゴミスに4点差をつけて独走するズラタン・イブラヒモビッチの勢いである。28分に先制点、49分に追加点、54分に3点目、なんとハットトリックである。さらにエセキエル・ラベッシが追加点をあげ、4-0と大勝、リヨンと勝ち点2差に迫り、得失点差はついに+20(リヨンは+14)と大台に乗せたのである。(続く)

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