第1516回 ナイジェリア、3度目の優勝(3) 決勝戦はグループCの再戦、ナイジェリア-ブルキナファソ

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■対照的なプロフィールの4強

 準決勝に進出した4チームはナイジェリア、マリ、ガーナ、ブルキナファソと西アフリカ勢が独占した。ガーナとマリはグループB、ブルキナファソとナイジェリアはグループCから勝ち抜いてきたチームであり、2つのグループから4強を独占するのは珍しいケースである。フランスから独立したマリとブルキナファソ、英国から独立したナイジェリアとガーナ、そして監督についてはマリとブルキナファソは外国人監督で、マリはフランス人のパトリス・カルトロン、ブルキナファソはベルギー人のポール・プットである。ナイジェリアとガーナは自国人監督であり、ナイジェリアはステファン・ケシ、ガーナはジェームズ・クウェシ・アッピアである。準決勝はマリ-ナイジェリア、ブルキナファソ-ガーナという組み合わせであり、フランスから独立した国と英国から独立した国、外国人監督対自国人監督という構図になった。

■欧州各国のリーグの選手の活躍でナイジェリアが圧勝

 2月6日に行われた準決勝2試合は開催国が出場していなくても満員になった。ダーバンで行われたナイジェリアとマリの試合、ナイジェリアは13年ぶり、マリは41年ぶりの決勝進出をかけて戦う。マリがいい立ち上がりを見せたものの、欧州のビッグクラブで活躍する選手をそろえたナイジェリアの攻撃力が爆発する。チェルシー(イングランド)のビクトル・モーゼスが起点となり、25分にはブラガ(ポルトガル)のウワ・エチエジルが先制点、2点目はディナモ・キエフ(ウクライナ)のブラウン・イディエが決め、前半終了間際の44分にはスパルタク・モスクワ(ロシア)のエマニュエル・エメニケが3点目を入れて勝負あった。後半に入って60分にはCSKAモスクワ(ロシア)のアーメド・ムサが4点目を入れる。マリは75分にレンヌのシェイク・ディアラが1点を返すのが精一杯であった。ナイジェリアは準優勝した2000年大会以来の決勝進出を決め、1994年以来19年ぶりの優勝を目指すことになった。

■悪コンディションで行われたもう1つの準決勝

 準決勝のもう1試合はネルスプロイトで行われた。前回大会準優勝のガーナと初の決勝進出を目指すブルキナファソの戦いである。この試合会場は2010年のワールドカップでも使用されたムボンベラ競技場であるが、芝の状態は非常に悪いものであった。大会前は南アフリカで最も良い芝生と言われたが、降雨によりグラウンド一面はきのこだらけになる。また、この試合を裁く審判も中立ではなく、ガーナ寄りの判定が散見された。このような悪いコンディションであったが、準決勝を勝ち抜いたのはブルキナファソであった。

■PK戦を制し、ブルキナファソが初の決勝進出

 12分にPKにより先制したのはガーナであった。前半は1-0とガーナがリードして折り返したが、60分にブルキナファソはマルセイユに所属するシャルル・カボレがアリスティド・バンセにつなぎ同点に追いつく。試合はこのまま延長戦となる。105分にはブルキナファソのプレジュス・ナクルマがゴールネットを揺らすが、ファウルがあったということでゴールは認められなかった。ブルキナファソのイレブンにとっては不満の残る中で延長後半終了のホイッスルが鳴る。
 決勝進出はPK戦に委ねられることになった。先蹴はガーナ、しかし最初のキッカーが失敗する。後攻のブルキナファソは最初の2人が成功させるが、3人目が失敗、3人目の終わったところで両チーム2人が成功で並ぶ。ガーナの4人目のキックはゴールの枠から外れ、失敗。一方ブルキナファソの4人目のバンセが成功、ガーナの5人目のキックは失敗、ブルキナファソがPK戦を制した。ブルキナファソのこれまで最高の成績はフィリップ・トルシエが率いた1998年の4位であり、決勝進出は初めてのことである。
 決勝戦はナイジェリアとブルキナファソの戦いになり、グループリーグの再戦となったのである。(続く)

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